自社の顧客対応の品質を向上させたいけれど、何から手をつければいいのかわからない、という方も多いのではないでしょうか。そこで、顧客対応に高い評価を得ている、人気のインテリア雑貨ECサイト「アンジェweb shop」の取り組みについて、インタビューしてきました。
今回は、10年以上アンジェのお客様サポート業務に従事し、顧客対応業務に精通されている、アンジェweb shop カスタマーサポート部マネージャーの山中様にお話を伺いました。
目標対応時間を設け、社内ルールを決める
カスタマーサポートチームのスタッフは全10名で、パートさんとアルバイトさんがメインで業務にあたってもらっています。1日にお客様からいただくお問い合わせの件数は、お電話が30~50件、メールが120件くらいですね。以前と比べると、お問い合わせの件数自体は、これでもかなり減らすことができました。
お問い合わせ1件当たりの目標対応時間や、メール作成時のルールについて
お客様からいただくメールの中でも、ご不便をお掛けしている内容には3分以内に一時返信をすること、また、お電話が鳴ったら2コール以内に出ること、という社内ルールがあります。やはりお問い合わせに迅速に対応するためには、定量的な目標を設定したほうが良いと思います。
お問い合わせをくださるお客様は必ず何かしらの不安を感じていらっしゃるはずですので、問い合わせを受けたショップ側の対応として、まず、「いただいたお問い合わせをきちんと確認しました」ということを迅速にお伝えする必要があります。中には、商品に関するお問い合わせはメーカーへの確認が必要な場合もありますが、一次回答をした後にも、お電話やメールにてお客様へ状況を報告するようにしています。
また、メールで返信を差し上げる際には、主に文面のテンプレートを使用しますが、全てのメール対応がテンプレートの文面そのままになってしまうと、人が介在する価値がありませんし、わざわざアンジェへお問い合わせをいただいたお客様の声を台無しにしてしまいかねませんので、テンプレートをベースにして文面に少しアレンジを加えてから返信しています。
方法は様々ですが、普段、自分が買い物をするときにされて嬉しい対応を実践したい、ということが根底にありますね。
入社後3ヶ月間は、メール対応の研修期間
アンジェでは、新しくカスタマーサポートチームに配属されたスタッフは、すぐにはお客様へのメールを送信できません。入社後3ヶ月間は研修期間として、新人スタッフが作成したメールの文面を先輩スタッフがチェックしたり、先輩スタッフが過去に送ったメールの文面を確認したりして、ノウハウを学んでもらいます。入社後1ヶ月が経過した頃から、文面のテンプレートをベースにしたメール対応を担当してもらい、テンプレートに頼らない個別対応が必要なお問い合わせメール対応については、3ヶ月経過後に担当してもらうようにしています。スタッフ毎に個人差はありますが、3ヶ月を経過すると先輩スタッフのチェックが無くとも、お客様へ失礼の無いご案内ができるようになります。
今は、インターネットを日常的に利用しているお客様が多いため、いただいたお問い合わせに対する回答やご提案内容をいかにわかりやすくお伝えできるか?ということが非常に重要ですし、表現のニュアンスも変化していると感じています。
いきなり3分は難しくても、「1時間以内に一時返信する!」という目標なら頑張れるような気がします!
スタッフ間のコミュニケーションが円滑なチーム作りを
目標は、実店舗と同じ接客水準
アンジェはもともと実店舗があり、web shopは後からスタートしています。カスタマーサポートが目指しているのは、それと同じ接客水準です。つまり、「対面を感じてもらえる顧客対応」です。普段、利用している実店舗には、馴染みの店員さんがいて、気軽に相談ができますよね?アンジェweb shopでも、それを実現したいと考えています。ネットショップは非対面の接客の場ですが、リピーターのお客様から、お問い合わせの際にスタッフを指名してご連絡を下さることがあるんです。非常に嬉しいですね。
スタッフ間のコミュニケーションを円滑に
チームのマネージャーとして特に気を配っているのは、お客様一人に対してカスタマーサポートチーム全体で対応する、ということです。具体的には、お問い合わせに対応するスタッフが一人で答えを出すのではなく、どのような考えのもとにお客様へ提案を行うのか、過去に同じような問い合わせに対応したことはなかったのか、不安や疑問があれば他のスタッフに意見を聞くべきですし、スタッフ間でそうしたコミュニケーションを取りやすい環境を作るということです。加えて、よくある対応例のような形で、各スタッフが持っているノウハウや知恵を共有して、チーム全体の力を底上げしていくことが大切だと考えています。
また、お客様に「前よりも良くなった!」と思っていただけるためにできることはないか?と常にスタッフが思考する文化がアンジェには根付いています。行動指針を示したマインドカードというものを全スタッフが持っており、そこに記されている「すべてにホスピタリティ。」というマインドを社員、アルバイトスタッフを問わず全員で共有できていることも強みです。
システム導入により、顧客対応業務を効率化する
問い合わせ管理システムを導入したことも大きかったです。カスタマーサポートチームでは、メールディーラーを利用しています。この結果、作業となる部分を短縮して、出来る限り早くお客様へコンタクトを取れるようになりました。中でも、次の3点は非常に便利になりました。
お客様との過去のやりとりをすぐに確認可能
問い合わせ管理システムを導入して、お客様との今までのやりとりをすぐに確認できるようになりました。また、同じお客様がPCと携帯電話で異なるアドレスを使われている場合にも、両方を表示して確認できますし。たとえば、昨日スマホからお問い合わせいただいたお客様が、ご注文前に再度PCアドレスからお問い合わせをいただいたときにも、すぐに同じお客様と認識した上で対応ができます。その際に、別のスタッフが対応していてもすぐに内容を確認できる、という点で、一貫性を保った対応が可能になりました。
テンプレートの管理と問い合わせの傾向分析が可能に
メールの返信に使用するテンプレートの管理もとてもラクになりました。アンジェでは、現在200種類以上のメールテンプレートを使い分けているのですが、以前はスタッフによって使用するテンプレートがバラバラだったり、一度作られたまま文面が更新されていないものが散在していました。
それが、メールディーラー導入後は1カ所にまとめて管理できて、案内する内容や文言を変更したりするのが楽になりました。
まず、メールディーラーの中でお問い合わせの内容別にフォルダを分けて、さらに内容に応じて子フォルダで分類します。その各フォルダの先頭にアルファベットを記載しておいて、メールテンプレート名の先頭にも同様に対応したアルファベットを付けておくことで、それぞれのお問い合わせに対して、どのテンプレートを使用すればいいのか、わかりやすくしています。これで、テンプレートの選択ミスはなくなりますし、メールの対応も早くなりました。
集計機能をスタッフのシフト管理にも活用
さらに、日々お客様からどんなお問い合わせをいただくことが多いのかを簡単に集計できるのも便利ですね。たとえば、注文内容の変更に関するお問い合わせが今月は多かった、ということであれば、FAQページに「注文内容の変更について」というようなコンテンツを追加しよう、というように細かな改善に役立てられています。
また、各スタッフがどのくらいお問い合わせのメール対応に時間がかかっているのか、という集計も使っています。たとえば、スタッフの出勤シフトを組むときにも、新商品を発売する時期は問い合わせが増えそうだから、たくさん対応できそうなスタッフ中心にシフトを組もう、といったように活用しています。
カスタマーサポートチームは、直接お客様の声を知ることができる部門です。人にしかできないことがたくさんありますし、その部分はアンジェの強みとして今後も突き詰めてやっていきますが、システム化できる部分はシステムに任せてしまうべきですね。
本日は貴重なお話をいただき、ありがとうございました!
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