前回に続き、「ECサイトにおけるカスタマーサポート業務」の秘訣を掘り下げてお聞きしました。
そもそもECサイトにおけるコールセンターはどういった位置づけでしょうか?
よくあるご質問として、「ECサイトで購入するお客様は電話対応を好まないのでは?」というお話をいただくことがあります。当社のカスタマーサポートの場合、電話とメールの両方で対応しておりまして、それぞれの商品やお客様ごとにお問い合わせの傾向を分析しているのですが、必ずしもネット経由のお客様だからと言って電話での対応を好まないということはないと思います。
その一例として、当社ではこれまで累計で100社を超える通販企業のサポートを行っているのですが、全体的に「40代以上のユーザーはPCを長時間操作したがらず、面倒であれば、いっそ電話したい」という傾向が見られます。
上記の顧客層は、可処分所得が高いため、主要ターゲットと位置付ける企業様も多いかと存じますが、こういった層に対して電話やメールなどで適切な対応を行うことで機会損失をなくしていくというのは非常に重要です。
実際に当社では、きっかけはクレームであっても電話対応でしっかりした対応を行うことでそのまま追加でご注文いただくようなケースもあります。これによりLTV(LifeTimeValue)が伸びることも顕著に見られますし、ロイヤルカスタマー創出の近道でもあります。やはり基本の考えとしてアナログでもデジタルでもしっかりと「接客」していくことが大切と考えています。
先ほどのお話で原則としてシェアード(複数人対応)制での対応を行われているとのことでしたが、商品知識のバラつきや情報の伝達など難しい点も多いかと存じます。
たしかにおっしゃる通りシェアード制に関しては上記のような課題が発生しやすいかと存じます。そのために弊社で取り組んでいることは主に以下2点です。
(1) 個々のスタッフのスキル向上
(2) ツールを活用した情報共有の徹底
(1)の「個々のスタッフのスキル向上」に関してですが、弊社の場合、スタッフの採用時にタイピングテストを実施しています。ECサイトの場合、電話を受けながらカートの管理画面などを扱う場面などが頻繁に発生するため、一定以上のPCスキルが必須となるためです。
これによりスタッフ個々人のPCスキルが一定以上の水準となるため、「あのカートシステムはAさんしか対応が出来ない」といった事態は発生しないようにしています。
(2) の「ツールを活用した情報共有の徹底」に関してですが、当社はお客様との応対履歴など含め、全て一括のデータベースで管理を行っております。これにより案件に関わる全てのスタッフが同じ情報を共有することができます。
例えばシフトなどで対応を引き継ぐケースでも、口頭でのやりとりで引き継ぐのではなく、データベースを経由した引き継ぎとなりますので、所謂「伝言ゲーム」のように伝える内容が曖昧になることなく、組織全体で情報をしっかり共有することが出来ます。
今後カスタマーサポートにおいて注目されている領域はありますでしょうか?
海外では一般的になりつつありますが、電話とメールの中間として「チャット対応」が今後5年以内に世の中の「あたりまえ」になってくると考えています。今やメール対応は世間の「あたりまえ」です。スマートフォンの浸透により電話とデジタル端末の境目が曖昧になりつつあります。LINEやfacebookメッセンジャーのような、個人間のチャットが当然になっている現在において、ふとしたきっかけで企業のチャット対応が広がると考えています。
同じお客様であっても、それぞれの状況に応じて電話・メール・チャットなどそのときどきでコミュニケーションの手段が変わってくることが想定されます。
また現状のsiriのように音声認識・入力などの技術が発達すると想定されます。10年後にはロボットが音声対応するコールセンターが増え、対応自体が自動化していく可能性はあると考えています。
常にユーザーの状況は変化していきますので、その時々に応じて企業として適切なサポート体制を構築していくことが必須と言えます。
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