単価向上とは、商品やサービスの1つあたりの値段である「単価」を上げることです。売上アップに密接に関わる要素であるため、そのために必要な付加価値や、単価向上を図る方法を押さえておく必要があります。購入単価を上げる方法もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
単価向上は売上アップに密接に関わる要素
単価向上は、売上アップに密接に関わる要素です。ここでは、単価の定義や、単価アップに必須の付加価値について解説します。
単価とは
そもそも「単価」とは、商品やサービスの1つあたりの値段のことです。単価を高く設定すれば、売上はもちろん利益もアップさせることが可能です。
単価は売上や利益に密接に関わる重要な要素であるため、多くの会社は商品やサービスの単価を上げるためのさまざまな施策を講じています。
単価アップのための付加価値は2種類
単価アップのために商品やサービスにつける付加価値には、「機能的価値」と「情緒的価値」の2種類があります。付加価値とは、会社が自社の商品やサービスに対してつける、他社にはない新たな価値のことです。2種類の付加価値について、それぞれ解説します。
機能的価値
機能的価値とは、商品やサービスの機能や利便性などのことです。例えば自動車の場合は、操作性や馬力、燃費などが機能的価値にあたります。
機能的価値は、数値化できる客観的な指標であり、商品やサービスの優劣をつけやすい点が特徴です。そのため、多くの会社が機能性の高さを追求する傾向にあります。しかし、機能的価値のみで優位に立ったとしても、競合他社の努力によって、いつかは自社を上回る商品やサービスが出回る可能性が高いという側面を有します。
情緒的価値
情緒的価値とは、お客様が商品やサービスに対して抱く心理的な価値のことです。「ブランドイメージ」や「感動体験」などの言葉に置き換えられます。
自動車で例えると、情緒的価値に該当するのは、「高級感がある」「乗っているとかっこいい」といったイメージです。このような商品やサービスを購入したり利用したりすることで得られる幸福感や高揚感、優越感を情緒的価値と呼びます。
商品やサービスの単価向上を図る方法
商品やサービスの単価向上を図る方法として挙げられるのは、主に以下の方法です。
- 商品やサービスの品質の見直し・向上
- ブランド価値の向上
- 商品パッケージの改良
- コンテンツの品質の向上
- お客様サポートの充実化
各方法について解説します。
商品やサービス品質の見直し・向上
商品やサービス品質や機能を見直し向上させることで、単価向上が実現します。
具体的には、商品であれば「機能の見直し」「素材の改良」「デザインの改良」などを行うことが一般的です。サービス品質の見直しを行う際は、「接客レベルの改善」「サービス提供時間の拡大」「アフターサービスの充実」「商品の配送や返品対応の迅速化」などに取り組むケースが多いでしょう。
ブランド価値の向上
ブランド価値の向上も、単価向上に寄与します。ブランドの価値が高まると、単価が高くてもお客様に買って購入してもらえる可能性が高まるためです。
ブランド価値の向上は、獲得を目指すお客様の層に合ったブランディング戦略やブランドストーリーを構築し、広告やマーケティング活動によって広めていく方法が主流です。
ブランド価値が高まると収益性も上がることが多いため、商品改良や新たな研究開発などの投資を行えます。結果として、競合他社との差別化は図りやすくなり、さらなる単価向上につながります。
商品パッケージの改良
商品パッケージのデザインや素材の改良や商品名の変更も、単価向上につながる効果的な取り組みの1つです。これらの取り組みによって、商品自体の価値が向上することは珍しくありません。結果的に単価向上が実現します。
商品パッケージや商品名は、商品の魅力に大きな影響を及ぼします。パッケージが魅力的であれば、注目されることが増え、魅力的な商品として認識されるでしょう。また、商品名が商品の特徴を上手く捉えていたり覚えやすかったりする場合、売上が上がりやすくなります。
コンテンツの品質の向上
コンテンツマーケティングを行う会社は、コンテンツの品質向上が商品やサービスの単価向上につながる可能性があります。コンテンツマーケティングとは、オウンドメディアやSNS、メールマガジンをはじめとした「コンテンツ」を作成・配信することで購買につなげる、マーケティング手法のことです。
高品質なコンテンツはお客様の関心を惹きつけ、会社やブランドへの愛着や信頼性を高める役割を果たします。コンテンツの品質を向上させるためには、「公式ホームページのクオリティを高める」「専門家監修のもとSNS投稿を作る」「メールマガジンの内容をお客様のニーズに合わせる」などの方法があります。
お客様サポートの充実化
商品やサービスの単価向上を目指すなら、お客様サポートを充実させることも効果的な手段の1つです。商品やサービスに関する問題が発生した場合に迅速かつ丁寧に対応し、お客様の不安や不満を解消できれば、お客様満足度の向上につながります。
具体的には、「サポートセンタースタッフの応対レベルの向上」「オンラインカスタマーサポートの充実」などにより、お客様の満足を引き出せるでしょう。
お客様の購入単価が下がる要因
売上や利益の拡大を図るためには、商品やサービスの単価向上に加えて、1人のお客様が1回あたりの買い物で支払う平均金額である、「購入単価」にも目を向ける必要があります。そのためには、購入単価が低下してしまう要因を把握しておく必要があります。購入単価が低下してしまう要因は、主に以下のとおりです。
- お客様1人あたりの購入金額の減少
- お客様1人あたりの購入数の減少
- 計画性のない値下げ
- 商品やサービスの品質の低下
各要因について解説します。
お客様1人あたりの購入金額の減少
お客様1人あたりの商品の購入金額の減少は、購入単価が下がる要因の1つです。
例えば、商品の購入個数を増やすことを目的として、安い価格帯のラインナップを増やした際に起こりうる現象といえます。集客や既存の商品とのセット購入などが狙いであっても、売れ筋商品が単価の安い商品に移行してしまうリスクと隣り合わせであることに注意が必要です。
明確な戦略がないにもかかわらず、やみくもに商品単価を下げることは避けるのが賢明です。結果的に購入単価の減少につながりかねません。
お客様1人あたりの購入数の減少
お客様1人あたりの購入数が減少するケースでも、購入単価が下がりやすいと考えられます。
例えば商品単価を無理に上げた場合、いつもはまとめ買いをしているお客様が、「まとめ買いは厳しくなったから、とりあえず1つだけ買おう」と考える状況が想定されます。この場合、購入数も購入単価も下がってしまう可能性が高いでしょう。
商品の値上げに踏み切る際には、価格設定が適正かどうか精査する必要があります。原材料の高騰など値上げを余儀なくされるケースでは、お客様の納得を得られるように理由を説明するとともに、適切な価格設定を行うことが重要です。
計画性のない値下げ
計画性のない値下げは、購入単価の減少を引き起こします。値下げを行うと、売上は一時的に増える可能性が高いです。しかし何度も値下げが繰り返されると、値引きを期待して定価では買い控えを行うお客様が増えるでしょう。
また値下げは、お客様が商品やサービスに抱く価値を低下させるリスクがある点にも注意しましょう。商品を値下げすると商品の品質に疑いを持たれ、「値下げ後の価格が適正だ」と捉えられる場合もあります。
商品やサービスの品質の低下
お客様が商品やサービスの品質が低下したと感じた場合も、購入単価は減少します。
商品やサービスの品質低下を実感したお客様は、ブランドや店舗への信頼を失うでしょう。そして、A商品の品質が下がったと感じたお客様は、次回以降はA商品を買い控えるだけでは済まないことがほとんどです。そのブランド自体への信頼を失うため、A商品以外の購入も控えると考えられます。
お客様の購入単価を向上させる方法
お客様の購入単価を向上させるのに効果的な方法は、主に以下のとおりです。
- まとめ買いを推奨する
- 上位商品をおすすめする(アップセル)
- 関連商品をおすすめする(クロスセル)
- 価格設定を「松・竹・梅」で設定する
- リピーターのお客様に特別な提案をする
- 決済の選択肢を広げる
それぞれの内容について解説します。
まとめ買いを推奨する
購入単価を向上させるために有効な方法として挙げられるのは、まとめ買いの推奨です。購入意思の強いお客様に対して、「3個セットで20%OFF」や「5,000円以上の購入で送料無料」など、まとめ買いを条件とした割引や送料無料を提示する方法がおすすめです。
また、以下のような提案型のセットを用意するのも、まとめ買いを促すのに有効な方法といえるでしょう。
- 初心者向けの道具を揃えた「はじめてセット」
- 入学準備に必要なグッズを集めた「入学セット」
- お酒とお酒に合うつまみを組み合わせた「晩酌セット」
- 年末の大掃除に必要なグッズをまとめた「大掃除セット」
上位商品をおすすめする(アップセル)
お客様が購入を検討している商品やサービスよりも、より上位のものをおすすめする、いわゆる「アップセル」と呼ばれる方法も、購入単価の向上に効果的です。
例えば、お客様が入会を検討しているのが、平日の日中のみ通い放題の月額1万円のフィットネスクラブのコースだったとします。これに対して、「土日も含めて通い放題の月額1万5,000円のコースのほうが、日程の選択肢が多い分長続きしやすい」といった説明をし、当初の予定よりも高単価なコースへの入会を促すことを指します。
このほか、アップセルに該当する例として以下のような例も挙げられるでしょう。
- 10万円のパソコンの購入を検討しているお客様に、より機能性の高い13万円のパソコンの購入を検討してもらう
- 結婚式の料理について標準的なプランを検討しているお客様に対し、よりグレードの高いプランを提案する
- 年会費無料のクレジットカードの契約を検討中のお客様に、ゴールドカードの特典の魅力をアピールする
アップセルの成功には、お客様に「少々高くても、上位商品やサービスにしたほうがメリットが大きそうだ」と納得してもらえるような、適切な理由づけが求められます。
また、おすすめした上位商品やサービスに対する割引キャンペーンの適用や、購入後のサポートの充実化なども検討の余地があるでしょう。
関連商品をおすすめする(クロスセル)
お客様が購入しようとしている商品と関連する、別の商品を提案し合わせて購入してもらう「クロスセル」という手法も、購入単価の向上に寄与します。
ECサイトで、「この商品を購入した方はこちらの商品も購入しています」といった表示を目にしたことがある方もいるでしょう。そのほか、以下のようなアプローチもクロスセルにあてはまります。
- ハンバーガーを注文したお客様に、ドリンクの注文をすすめる
- スマートフォンの購入を決めたお客様に対し、スマホケースや表面を保護するカバーなどの関連商品を提案する
- ワイン売り場に、ワインによく合うチーズも一緒に並べる
クロスセルは、自分では気づいていない価値を提供できる可能性があり、お客様満足の向上につながる手法といえます。成功させるためには、お客様のニーズを分析し正しく把握することが不可欠です。
価格設定を「松・竹・梅」で設定する
購入単価の向上のための施策として、商品やサービスの価格を「松・竹・梅」の3つに設定することもおすすめです。
3つの価格帯を提示されると、多くの人は真ん中の「竹」を選ぶ傾向にあります。これは、「松竹梅の法則」や「極端性回避の法則」と呼ばれる法則を利用した手法です。この法則を利用して、自社が売りたい価格帯の商品を「竹」の価格で設定するのがポイントです。
例えば、ランチセットが800円と1,200円の2種類だった場合、800円のセットが売れ筋になる可能性が高いでしょう。しかし、さらに1,800円のセットが加わると、真ん中の1,200円のセットを選ぶお客様が増える傾向があります。結果的に、2種類のみの価格設定をしていたときに比べて1,200円のセットの販売数が増えるため、その分単価向上につながるでしょう。
リピーターのお客様に特別な提案をする
リピーターのお客様への特別な商品やサービスの提案を行うことも、購入単価向上のための手法の1つです。
メルマガやキャンペーンなどによって、一般的には案内をしていない特別な商品やサービスをご案内するケースが多くみられます。早期に完売が予想される新商品をメルマガ読者のみに先行案内をしたり、数量限定の商品を特別なお客様のみに販売したりするなど、特定のお客様に優越感を与えるアプローチが効果的といえるでしょう。
リピーターのお客様に対しては、とくに丁寧な対応が不可欠です。例えば、大量にメールが届くネットショップでは、心がけや運用方法だけでミスを防ぐには限界があるため、「メールディーラー」の活用をおすすめします。
メールディーラーは、株式会社ラクスが提供する、クラウド型のメール共有管理システムです。チーム全員のメールの対応状況を見える化させ、二重対応をはじめとしたミスを防ぎます。
メールディーラーの詳しい機能などを知りたい方は、以下のフォームからお問い合わせください。
決済の選択肢を広げる
とくに高価格帯の商品を扱っていて、さらなる購入単価向上を図るなら、クレジットカードやID決済の導入が欠かせません。
現金を持ち歩く必要がなくすぐに決済が可能であり、サブスクリプションと呼ばれる定期購入商品やサービスの毎月の決済でも利便性が高いことがメリットであり、購入単価に影響します。キャッシュレス決済のキャンペーンへの参加によって、さらなる購入単価アップも見込めます。
【業界別】お客様の購入単価を向上させるアイディア
ここからはアパレル業界と飲食業界を例に挙げて、業界別の購入単価を向上させるアイディアをご紹介します。
アパレル業界
アパレル業界でお客様の購入単価を上げるには、以下のような取り組みが有効といえるでしょう。
- コーディネート提案によってまとめ買いを促す
- 商品を購入したお客様に対し、より高いセレクト商品を提案する
- 商品ラインナップを拡大する
- ディスプレイの工夫によりマネキン買いなどにつなげる
お客様が購入を検討しているアイテムに合う、別のアイテムも一緒に提案する「コーディネート提案」により、まとめ買いを促すことが可能です。例えば、仕事で着るためのボトムスを探しているお客様に対して、ボトムスと相性がよくプライベートでの着回しにも活躍するトップスも合わせて提案できれば、まとめ買いにつながる可能性があります。
また、ショップのオリジナル商品を購入したお客様に、価格帯がワンランク高いセレクト商品の提案ができれば、購入単価の向上が見込めます。
商品のサイズや色などのラインナップの拡大も、購入単価をアップするための有効な施策です。お客様が商品を気に入ったとしても、体型に合ったサイズがなければ購入には至りません。しかし、サイズ展開が豊富であれば購入してくれるでしょう。また、色展開が豊富な場合、「この色も色違いで購入しよう」と、購入単価が上がる可能性が高まります。
そのほか、ディスプレイの工夫によって、マネキンに着せている洋服を一通りすべて購入する「マネキン買い」にもつながります。
飲食業界
飲食業界で購入単価を上げるのに効果的な施策は、主に以下の2つです。
- 注文する品数を増やしてもらう
- メニュー単価をアップする
注文する品数を増やしてもらうためには、「頼む予定はなかったが、つい頼んでしまった」という「ついで買い」に導きましょう。例えば、メニュー表に「とりあえずの一品」「しめの一品」などタイミング別におすすめの料理を記載する方法があります。また、「季節限定」「数量限定」といったように希少性をアピールするメニューを掲載することも、購買動機につながります。
メニュー単価をアップすることも、検討の余地があるでしょう。単なる値上げは敬遠される可能性がありますが、人気メニューをリニューアルやグレードアップするなどして金額を上乗せすると、割高感が薄れ受け入れられやすくなります。
単価向上以外で売上を上げる方法
単価向上は売上アップを実現する要素ではあるものの、状況によっては値上げを避けたほうがよい場合もあります。このような場合は、単価向上以外で売上を向上させる方法を検討しましょう。単価以外で売上を上げる方法としては、以下の2点が挙げられます。
- 新規のお客様を獲得する
- 既存のお客様のリピート率を向上させる
各方法について解説します。
新規のお客様を獲得する
売上は「お客様の数×購入単価」で計算されるため、売上アップを目指すのであれば、お客様の数を増やすための取り組みも欠かせません。
商品やサービス、ブランドの認知度を高めるためのプロモーション活動やオンラインマーケティングの実施、新たなお客様の獲得を狙うための商品やサービスの展開などが求められます。さらに、お客様に知り合いを紹介してもらったり、口コミの投稿を依頼したりする方法も効果的です。
既存のお客様のリピート率を向上させる
売上アップを図るには、既存のお客様のリピート率を向上させることも重要です。新規のお客様の獲得は時間とコストがかかるため、一度利用していただいたお客様に「また利用したい」と思ってもらえるような施策を講じるほうが、効果性が高いといえます。
商品やサービス内容の見直しや、SNSやメルマガなどでお得な情報の発信を行い、お客様のリピート率を向上させましょう。
「配配メール」なら、定期的なメール配信で生じるさまざまな手間を軽減できます。例えば、特定の日にちにシナリオに沿ったメール配信をしたり、過去のデータをもとに分析した、開封しやすい時間や曜日をヒートマップ形式で表示したりすることなどが可能です。
また、お客様にリピーターになってもらうためには、メール対応ひとつをとっても丁寧な対応が求められます。大量にメールが届くネットショップなどで二重対応をはじめとするミスを防ぐには、クラウド型のメール共有管理システムである「メールディーラー」の活用がおすすめです。チーム全員のメールの対応状況を見える化させ、二重対応をはじめとしたミスを防ぎます。
メールディーラーの詳しい機能などを知りたい方は、以下のフォームからお問い合わせください。
単価向上を図り売上アップを実現させよう
単価向上とは、商品やサービス1つ分の値段である「単価」を上げることを指します。単価向上は売上アップにつながりますが、値上げに納得感がない場合、お客様が遠のく原因になるでしょう。商品やサービスの品質の見直しやブランド価値の向上、お客様サポートの充実化などとセットで行うことが求められます。
また、売上を上げるためには、お客様の購入単価を上げるための施策も欠かせません。購入単価を向上させるには、まとめ買いの推奨やアップセル・クロスセル、リピーターのお客様への特別な提案などが有効です。
お客様にリピーターになってもらい、その後も継続的にご利用いただくには、メール対応においても丁寧な対応が求められます。二重対応をはじめとしたミスを防ぐ必要があるため、メール共有管理システム「メールディーラー」の活用をおすすめします。
効果的な施策の実行によって、単価向上を図り売上アップを実現させましょう。
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