カスタマーサポートに必要なスキルとして、コミュニケーションスキルや電話応対力などが挙げられます。従業員のスキルを向上させるには、研修を実施することやマニュアルを充実させることなどがポイントです。
本記事では、カスタマーサポートに必要なスキルの概要や、充実させるためのコツについて詳しく解説します。
カスタマーサポートとは
カスタマーサポートとは、お客様からの問い合わせに対応する業務、あるいは組織のことです。
顧客満足度や顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)を向上させるためには、カスタマーサポートを充実させることが欠かせません。顧客満足度はお客様が会社の商品やサービスに対してどれくらい満足しているかを示した指標、顧客体験はお客様が商品の購入を通じて体験することを指します。
また、カスタマーサポートはお客様と直接関わるため、会社のイメージを左右する重要な部署ともいえるでしょう。
なお、カスタマーサービスはカスタマーサポートと同じような場面で使われる言葉です。カスタマーサポートとカスタマーサービスの区別の仕方は、会社によって異なります。
カスタマーサポートに必要なスキル
カスタマーサポートに必要なスキルは、主に以下のとおりです。
- コミュニケーションスキル
- 電話応対力
- 問題解決力
- 交渉力
- タスク管理力
- 知識量
各スキルについて解説します。
コミュニケーションスキル
カスタマーサポートには、相手とスムーズに情報を共有したり、意思疎通を図ったりするコミュニケーションスキルが求められます。
コミュニケーションスキルを身につけていれば、お客様から「どのような不満を抱えているのか」「自社に対して何を求めているのか」などを上手に聞き出せます。また、お客様がすぐ理解できるように、うまく解決策を説明できるでしょう。
電話応対力
カスタマーサポートには、電話応対力も欠かせません。なぜなら、カスタマーサポートの部署では、お客様から電話で問い合わせを受ける機会が少なくないためです。
電話応対力には、適切な言葉遣いが求められます。日常生活で何気なく使用している言葉でも、本来は誤用であったり失礼であったりすることがあるため、カスタマーサポートに携わる従業員はビジネスシーンに適した言葉遣いを身につけておくことが必要です。
また、忍耐力やストレス耐性も、電話応対力に関連します。お客様からクレームが寄せられることもあるため、ストレスを溜め込んでしまうと適切な応対ができません。
なお、近年はカスタマーサポートにおいて、電話だけでなくメールで対応しなければならない場面も多いです。メール対応能力のポイントについては、後ほど詳しく解説します。
問題解決力
話をただ聞くだけでなく、どのようにして解決するか(問題解決力)もカスタマーサポートには求められます。問題を解決するためには、お客様が目指すゴールを理解した上で、それに適した回答を得られる場所、だれが対応すべきなのかなどを検討することが必要です。
また、だれもが理解・納得できる解決策を提示するためには、論理的思考(ロジカルシンキング)をしなければなりません。論理的思考とは、物事を体系的に整理し、筋道を立てて矛盾しないようにする考え方を指します。
さらに、問題解決にあたって、お客様の視点で考えることも重要です。会社側の視点だけで物事を考えると、お客様の納得がいく答えは導けないでしょう。
交渉力
場合によって、交渉力がカスタマーサポートに必要とされることもあります。交渉力とは、自社とお客様の利害関係を調整し、双方が納得できるゴールを目指して合意を得るための話し合いをできる力のことです。
お客様からクレームや要望があった場合に、会社は必ずしもすべてに応えられるとは限りません。そこで、交渉力を発揮して、自社とお客様両方が納得できる落とし所を見つけることが重要です。
また、カスタマーサポートで新たなプランや商品を案内する際は、お客様に意思決定してもらうための提案力・営業力が求められます。提案力は、ヒアリング力や課題解決力などを含む総合的な力です。
タスク管理力
同時刻に、お客様からさまざまな問い合わせが寄せられることもあるため、タスク管理力もカスタマーサポートに必要です。
タスク管理力が欠けている場合、問い合わせの件数が増えると混乱し、全体像や何を優先すべきかを見失う可能性があります。その点、マルチタスクをこなす能力があれば、同時期に複数のお客様から問い合わせを受けた場合でも動揺せず冷静に処理できるでしょう。
ただし、タスク管理力・マルチタスク能力があるからといって、無理に多くの案件を受け持つことは禁物です。自分で対応しきれない量を抱えてしまうと、お客様を待たせて迷惑をかける可能性があります。
知識量
カスタマーサポートには、知識量も必要です。自社の商品やサービスについて十分に理解していなければ、お客様から質問されても答えられないでしょう。
また、自社の商品・サービスだけでなく、業界の知識や一般常識などが役に立つこともあります。知識量が豊富な方が、お客様が抱える課題に対して、解決策を導きやすくなるでしょう。
また、近年はカスタマーサポートにデジタルリテラシーも求められます。デジタルリテラシーとは、デジタル技術に関する知識を持ち、活用方法を理解していることです。
会社によって、SNSでお客様からの問い合わせに対応するケースもあります。そのため、カスタマーサポートの担当者は各種ツールを使いこなすスキルが必要です。
カスタマーサポートに向いている人
必要なスキルを踏まえ、カスタマーサポートに向いている人の特徴として、以下の点が挙げられます。
- 人と接することが好き
- 冷静に対応できる・切り替えが上手
- 丁寧に説明できる
カスタマーサポートは、お客様と接する機会の多い仕事です。人と接することが好きな人はコミュニケーションスキルも高く、お客様とスムーズにやり取りできる可能性があります。
また、カスタマーサポートの仕事をしていると、お客様からクレームを受けることもあるでしょう。冷静に対応できる人や切り替えが上手な人は、クレームを受けても引き続き冷静に業務をこなせます。
さらに、丁寧に説明できる人もお客様に好印象を与えられるため、カスタマーサポートに向いているでしょう。
カスタマーサポートの従業員を育成する方法
カスタマーサポートの従業員のスキルを向上させるための育成方法として、以下が挙げられます。
- 知識の定着を図る
- 研修を実施する
- 関連するマニュアルを作成する
それぞれ確認していきましょう。
知識の定着を図る
従業員の知識の定着を図ることが、カスタマーサポートのスキルを向上させるために必要です。
自社の商品やサービスについて熟知していなければ、お客様の満足のいく回答を出すことは困難です。自分の質問に対して、納得いく回答を得られなければ、顧客満足度が低下するでしょう。
そこで、従業員に対して自社の商品・サービスについて理解するよう促すことが大切です。具体的には、従業員自身で使用して「使い方が難しいところはないか」「操作を間違いそうな場所はないか」などを確認してもらうといった方法があります。
また、インターネットを通じた学習形態(eラーニング)を従業員に推奨すれば、スキマ時間を活用して効率的に学習可能です。
研修を実施する
研修を実施することも、カスタマーサポートの育成方法のひとつです。入社・配属されたばかりの従業員に対し、社会人として必要なビジネスマナーや言葉遣い、電話応対の基本などを教えれば、お客様へ悪い印象を与えないようにできます。
また、説明力やロジカルシンキングなどを鍛える研修を実施することもポイントです。お客様が抱える課題をスムーズに解決できるようになるでしょう。
さらに、従業員が各種ツールを使いこなせていない場合や、従業員によってデジタルリテラシーやデジタルスキルに差が生じている場合は、デジタル関連に特化した研修を実施することも大切です。
関連するマニュアルを作成する
関連するマニュアルを作成することも、カスタマーサポートの従業員を育成する方法のひとつです。
カスタマーサポートの業務において、スキルや経験次第で従業員間の対応品質に差が生じることがあります。そこで、マニュアルを整備して受け答えの例(トークスクリプト)をいくつかまとめておけば、経験の浅い担当者でもある程度スムーズに対応できるようになるでしょう。
また、カスタマーサポートは幅広い知識を持っていなければなりません。マニュアルがあればだれでも必要な情報をすぐに参照できるため、上司や他部署に確認する手間や時間を省けます。
さらに、クレーム対策としてもマニュアルの作成が有効です。過去のトラブル事例をまとめておけば、従業員はある程度イレギュラーな対応に備えられます。
カスタマーサポートの仕事内容
ここで、カスタマーサポートの仕事内容を整理しておきます。仕事内容は、主に以下のとおりです。
- 問い合わせにメール・電話などで対応する
- メールや電話でお客様に提案する
それぞれ解説します。
問い合わせにメール・電話などで対応する
カスタマーサポートの中心業務は、お客様対応です。お客様から電話やメールなどで問い合わせがあった場合に、対応してお客様の課題を解決します。
また、お客様対応を通じて収集した情報や「生の声」を関連部署や上司などに報告することも大切です。カスタマーサポートはお客様と接する機会が多い分、会社の業務を改善するための材料を集められます。
さらに、お客様対応に関連する情報を管理すること(顧客管理)も、カスタマーサポートのひとつです。顧客情報を整理しておけば、会社がスムーズに状況を分析できるでしょう。
そのほか、よくある質問を自社ホームページのFAQとしてまとめたり、従業員がスムーズに業務をこなすためのマニュアルを作成したりすることも、カスタマーサポートの仕事内容として挙げられます。
メールや電話でお客様に提案する
受動的な対応だけでなく、能動的にお客様と接することが業務に含まれる会社もあるでしょう。具体例として、メールや電話によるお客様への商品・サービスの提案が挙げられます。
カスタマーサポートがお客様に提案する仕事は、とくにカスタマーサクセスとの関係が深いです。カスタマーサクセスとは、自ら積極的に動き、お客様の成功体験をアシストする行動・業務を指します。
たとえば、自社サービスの利用を始めたお客様へ定期的に連絡して「不便なこと・困っていることはないか」を尋ね、課題を解消することがカスタマーサクセス業務のひとつです。お客様の悩みを解決することが、結果的に自社サービスの解約率低下にもつながります。
カスタマーサポートのメール対応のコツ
会社によって、メール対応がカスタマーサポート業務の中心になることもあるでしょう。メール対応のコツは、主に以下のとおりです。
- わかりやすい文章を作成する
- 問い合わせ内容をメールに記載する
- 早めの回答を心がける
- 相手を不快にさせないよう工夫する
それぞれ詳しく解説します。
わかりやすい文章を作成する
お客様にわかりやすい文章を作成することが、カスタマーサポートにおけるメール対応のコツです。
社内で毎日当たり前のように使っている言葉でも、お客様に伝わるとは限りません。専門用語・業界用語ばかりで意味をとらえにくいメールを送ると、お客様に不快な印象を与えたり、課題解決までに時間がかかったりする可能性があります。
一度メールを作成したら、お客様目線で読み直すようにしましょう。お客様には伝わらないような用語が見つかったら、言い換えるか、補足するなどの工夫が必要です。
問い合わせ内容をメールに記載する
問い合わせ内容をメールに記載することも、メール対応のコツです。
時間や日にちが経過していると、お客様が自身の問い合わせ内容をすぐに思い出せない可能性があります。その点、「どのような件についての回答なのか」がメールに明記されていれば、お客様もスムーズに問い合わせ内容を把握できるでしょう。
問い合わせ内容は、件名に記載するケースもあれば、本文に記載するケースもあります。件名であれば「〇〇に関するお問い合わせにつきまして」、本文であれば「お問い合わせいただきました〇〇の件について、ご案内申し上げます」などと記載するとよいでしょう。
早めの回答を心がける
早めの回答を心がけることも、カスタマーサポートのメール対応において重要です。回答が遅れると、お客様からの信頼を落として顧客満足度が低下したり、クレームにつながったりすることもあります。
ただし、状況によってすぐに回答することが難しいケースもあるでしょう。内容を精査せずに慌てて不十分な回答をすると、かえってお客様に不快な思いをさせることもあります。
そこで、迅速な回答が難しい場合は一次回答・一次返信を心がけることがポイントです。一次回答とは、メールを受信した旨をお客様に伝えるため、回答に時間がかかる点や回答時期の目処などを盛り込んだメールを返信することを指します。
相手を不快にさせないよう工夫する
相手を不快にさせないよう工夫することも、カスタマーサポートにおけるメール対応のコツです。
言葉遣いが不適切だと、相手に失礼な印象を与えます。こちら側に非がある場合はきちんと謝罪する、伝えにくい内容がある場合はクッション言葉を活用するなどを心がけましょう。
また、二重敬語を避ける、尊敬語・謙譲語・丁寧語の違いを理解するなど、敬語の基本を押さえておくことも必要です。
メール共有システムもカスタマーサポートに役立つ
カスタマーサポートを充実させるには、メール共有システムの活用も有効です。メール共有システムとは、チームで分担してメール対応する業務のために開発されたシステムで、問い合わせ窓口の対応やカスタマーサポートといった幅広い分野で利用されています。
メール共有システムがカスタマーサポートに役立つ主な理由は、以下のとおりです。
- 対応漏れを防げる
- メール対応の質を向上できる
- 問い合わせ内容を分析できる
各理由について、詳しく解説します。
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理由1:対応漏れを防げる
お客様への対応漏れを防げる点が、メール共有システムがカスタマーサポートに役立つ理由のひとつです。
メール共有システムのステータス管理機能・担当者振り分け機能を活用すれば、すべてのメールを対応状況に応じて振り分けられます。お客様からのメールに現在だれが対応しているのか(対応していないのか)をひと目で把握できるため、未対応で放置されているメールがあればだれかが迅速に気づくでしょう。
カスタマーサポートにおける対応漏れの発生件数を減らせば、顧客満足度の向上にもつながります。
理由2:メール対応の質を向上できる
カスタマーサポートにおけるメール対応の質を向上できる点も、メール共有システムが役立つ理由です。
カスタマーサポートの部署では、経験やスキルによって従業員のメールの質に差が生じることがあります。その点、メール共有システムを活用すれば経験やスキルを持つ従業員のメール内容を参考にできるため、全体のメール品質の底上げにつながるでしょう。
また、「申請・承認」機能を用いて上司が経験の浅い従業員のメールを事前にチェックすることで、質の低いメールがお客様に届くことを回避できます。
理由3:問い合わせ内容を分析できる
お客様の問い合わせ内容を分析できる点も、メール共有システムがカスタマーサポートに役立つ理由です。
メール共有システムには、システム上で問い合わせ内容を手軽に集計したり、分析したりする機能もあります。分析結果を参考にすることで、今後どのようにカスタマーサポート業務を進めるべきか決めやすくなるでしょう。
たとえば、特定の分野に関する質問が集中しているのであれば、ホームページやサービス内にFAQコンテンツを設けることで業務の効率化を図れます。また、担当者ごとのデータを集計し、今後どのように従業員教育を図るべきかを考えるための検討材料にできるでしょう。
カスタマーサポートのスキルは伸ばせる
カスタマーサポートには、コミュニケーションスキル・電話応対力・問題解決力・知識量などさまざまなスキルが必要です。会社が従業員のスキルを伸ばすために、研修を実施する、関連するマニュアルを作成するなどの方法があります。
また、カスタマーサポートでメール対応する際は、わかりやすい文章で相手を不快にしない、質の高いメールを作成することが大切です。そこで、メール共有システムを自社に導入すれば、従業員が作成するメールの質を向上させられます。
株式会社ラクスの提供する「メールディーラー」は、info@やsupport@など共有メールアドレスやメーリングリスト宛に届くメールを複数名で対応・管理することに特化した、メール共有システムです。カスタマーサポートにおけるメール対応の品質向上を目指している場合は、ぜひ資料をご請求ください。
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