人手不足などで顧客対応が行き届かない場合、カスタマーサポート代行サービスに外注するという方法があります。外注により、自社の社員はコア業務に専念でき、顧客対応のプロによる質の高い応対が期待できるという点がメリットです。
本記事では、顧客対応で外注できる業務や費用、メリットや注意点を解説します。
顧客対応(カスタマーサポート)は外注した方がいい?
顧客対応(カスタマーサポート)は売上向上のために重要な業務であり、対応の質が良くないと、顧客満足度が下がり、会社の信用も損なわれます。
しかし、人手不足やノウハウがないなどの理由で、顧客からの問い合わせなどに十分な対応ができないこともあるでしょう。
そのような悩みを解決できるのが、顧客対応の外注です。カスタマーサポートはタイミングによって業務内容が異なり、お客様からの問い合わせ対応や注文の受注など、さまざまな対応を行います。
カスタマーサポートの代行サービスにはこれらの業務を外注でき、顧客対応の経験が豊富なプロが適切な対応を行います。
近年は、顧客対応に手が回らないという課題を解決する目的や、自社の社員を本来注力させるべき企業経営の核となる業務に集中させるといった目的で、カスタマーサポートの代行サービスを利用する企業も増えている状況です。
顧客対応に関するよくある課題
顧客対応は重要な業務ですが、さまざまな課題を抱える企業は少なくありません。ここでは、顧客対応によくある課題をみていきましょう。
人手不足で対応が追いつかない
近年の労働人口の減少で人手不足に悩む企業は多く、問い合わせに対応が追いつかないという実情があります。電話を長く待たせてしまったり、メールでの問い合わせにすぐ回答できなかったりするとお客様は離れてしまい、ビジネスの機会損失につながるでしょう。
稼働人数に対して許容範囲を超えてしまうと、対応の品質が下がり、クレームにつながる可能性もあります。
また、顧客対応の業務は、お客様のニーズに対して柔軟かつ的確な対応が必要です。そのため、対応力があり、コミュニケーションスキルが高い人材を揃えなければなりません。採用の段階で十分な検討が必要であり、採用後も育成に時間が必要です。人材を揃えるハードルは高いといえるでしょう。
離職率が高い
人材の確保が難しいだけでなく、離職率が高いという課題もあります。
顧客対応ではさまざまなお客様とのやりとりがあり、悩みや問題に寄り添った対応が必要です。マニュアル通りの対応で済む場面は少なく、あらゆるお問い合わせに応えるためには柔軟な対応ができなければなりません。クレーム対応が必要になる場面もあるでしょう。
求められる知識量や対応範囲は広く、ストレスを抱えることも少なくありません。その結果、心身に負担を感じて離職するケースもあります。
また、人手の足りない職場では1人で多くの対応をしなければならないこともあります。負担が大きくなり、ストレスが蓄積して離職を選ぶ人もいるでしょう。
顧客対応はストレスフルな業務というイメージが強いため、求人に集まりにくいという課題もあります。
採用・教育コストが増大する
顧客対応は人材が定着しにくいため採用コストがかかり、採用するごとに教育も必要です。
カスタマーサポートは営業のように直接利益を生み出す部門ではありませんが、品質向上のために十分な時間をかけた教育が必要です。採用や研修・育成に多くのコストをかけなければなりません。
人材の入れ替わりが激しければ、それだけコストは増大します。定着率が悪ければ、いつも経験が浅くスキルが不足するスタッフが顧客対応している状態になるでしょう。コストばかり増大し、顧客対応の質はいつまでも向上しないという事態になってしまいます。
人材が辞めては新たに採用するという繰り返しになる場合、根本的な対策が必要です。
顧客対応で外注できる業務
人手不足や離職が多いなどの課題を解決するためには、顧客対応の外注を検討することも必要です。カスタマーサポートの一部を外注するだけでも、課題の解決につながるでしょう。
ここでは、顧客対応で外注できる主な業務を紹介します。
電話サポート
顧客対応で外注できる業務のひとつが電話サポートです。電話サポートの外注は、お客様からの問い合わせに対応するインバウンド業務と、企業側からお客様に架電するアウトバウンド業務があります。
インバウンド業務は、主に次の業務があげられます。
- 企業への問い合わせ対応
- 商品・サービスに関する問い合わせ
- クレーム対応
インバウンド業務の対応内容は幅広く、高い対応スキルが求められます。カスタマーサポートの代行サービスでは電話対応のノウハウを熟知したオペレーターが担当するため、質の高い顧客対応が期待できるでしょう。
コール数や契約するオペレーター数などで料金が異なるため、外注する際は、現在の入電数や問い合わせ内容を分確認しておくことが必要です。
インバウンド業務は、コールセンターとして電話サポート全般を業務委託している企業も少なくありません。
アウトバウンド業務は、主に次の業務があげられます。
- 新商品・新サービスの案内
- 商品・サービスに関するアンケート
- 見込み客・休眠顧客へのアプローチ
- 市場調査
アウトバウンド業務はマーケティングのひとつであり、高い接客スキルが必要です。外注することで、より多くの架電とプロによる営業トークによる効率的な顧客獲得が期待できるでしょう。
注文窓口
注文窓口の業務も顧客対応の外注ができます。主に、次のような業務があげられます。
- ECサイトや通販などの注文受付
- ホテルの予約受付
- イベントの予約受付
注文窓口は繁忙期やイベント開催の時期など、一定の期間のみ人が足りないという場合もあり、人材を雇用するよりも外注に委託した方が効率的です。
1ヶ月単位など、必要な時期だけ依頼することもできます。短期のアルバイトなどを募集する際の採用コストや手間もかかりません。
外注では、受付だけでなく発送業務まで対応しているケースもあり、商品が注文されてから、お客様の手元に商品が届くまでのフルフィルメント業務を請け負う代行サービスもあります。
問い合わせへの対応やアフターフォロー、メール・チャットへの返信、在庫確認といった一連の業務を依頼することも可能です。
ヘルプデスク
商品の操作や修理、故障などに関するテクニカルサポートやヘルプデスクも、外注できる業務です。ヘルプデスクは365日24時間対応や夜間・休日対応など、さまざまな形式で依頼できます。
ヘルプデスクを専門的な知識を持つ代行サービスに委託することで、お客様の問題を迅速に解決することが可能です。
また、ヘルプデスクは専門的な知識が必要であるため、問い合わせ対応がベテランの社員に偏る属人化が起こりやすい傾向にあります。属人化すると、社員の退職や異動があった場合に対応できる社員がいなくなることもあるでしょう。外注により、このような属人化も解消できます。
ヘルプデスク業務を外注する場合、パターンとしては自社内で対応してもらうオンサイト運営か、外注先が運営施設を用意して業務を請け負うオフサイト運営の2種類です。
オンサイト運営は情報共有をしながら、緊急時に迅速に対応することができます。社内にヘルプデスクがある場合には、増員のために依頼することもできるでしょう。
オフサイド運営は、自社で座席などのスペースや機材を用意する必要がないことがメリットです。問い合わせが多く、常時複数のオペレーターが常駐する必要のあるヘルプデスクの外注に適しています。
顧客対応を外注する費用
顧客対応を外注する場合の費用は、月額固定制と従量課金制の2つのパターンに分けられます。それぞれの内容をみていきましょう。
月額固定制
月額固定制は、毎月の固定料金が設定された契約です。コストが予測しやすく、予算計画を立てやすい料金体系です。
定額料金のため、予期しない費用が発生するリスクを抑え、財務管理がしやすいでしょう。また、固定料金のため、外注する件数が多い月でも追加料金の心配がありません。
一方で、件数が少ないときでも固定料金がかかるため、ケースによってはコストパフォーマンスが悪いこともあります。顧客対応の件数が多く、常に安定したサポートが必要な業務に適している料金体系といえるでしょう。
従量課金制
従量課金制は、サービスの利用量に応じて料金が変動する料金体系です。実際に利用した量に応じて料金が反映されるため、件数が少ない場合には月額固定制よりもコストを抑えることができます。時期により業務量が変動する場合にも対応しやすく、柔軟な予算管理をできる点がメリットです。
ただし、利用が多い月には高額な料金が発生するリスクがあることは把握しておかなければなりません。顧客対応に人材を雇用するほどの業務量ではなく、時期によって重点的な対応が必要になるといった場合に適しています。
月額固定制と従量課金制のいずれの料金体系でも、毎月の料金のほかに初期費用がかかることは確認しておきましょう。初期費用は業務導入時に必要なシステムや機材、オペレーターの研修などにかかる費用が含まれています。
顧客対応を外注するメリット
顧客対応の外注は、社員がコア業務に専念できるなど、さまざまなメリットがあります。外注するメリットについて、詳しくみていきましょう。
コア業務に専念できる
顧客対応を外注することで、自社の社員は利益に直結するコア業務に集中できます。経営に直結する課題への対応もできるでしょう。その結果、業務効率が向上し、生産性を高めることができます。
これまで顧客対応にあてていた時間を新商品・サービスの開発や改善にあてることもできるでしょう。販促活動や売上アップにつながる活動に、より多くの時間を使えます。
社員がそれぞれの専門分野で能力を最大限に発揮できるため、業務のパフォーマンスも向上します。結果として、業績アップや競争力の強化を促し、企業の成長につながるでしょう。
また、顧客対応を外注すれば、採用や教育の手間やコストが発生しないこともメリットです。時期や業務量の変動に合わせ、新たに雇用する必要もなくなります。採用活動や教育にあてていた時間もコア業務に集中することができ、企業全体の生産性が向上するでしょう。
顧客対応のプロに依頼できる
顧客対応の外注では経験豊富なプロのオペレーターに業務を委託できるため、応対の品質が向上する点がメリットです。自社で人材確保ができないときや、顧客対応の体制が整っていない場合、外注に依頼した方が対応の質が高まるでしょう。
顧客対応の代行サービスは顧客対応の業務に特化して教育を受け、経験を積んだスタッフが対応するため、迅速かつ適切な対応が期待できます。
とくにクレーム対応は顧客満足度に影響するため十分な経験や対応のスキルが必要であり、外注するメリットは大きいでしょう。
自社で経験の浅い社員が顧客対応する場合、クレームに対して適切に対応できない場合もあります。お客様にネガティブな感情を与え、企業の信頼を損ねることにもなるでしょう。
外注によりプロのオペレーターに依頼できれば、そのような事態を避けられます。
また、電話がなかなかつながらない、問い合わせの返事が遅いといった状態を解消できるのもメリットです。
質の高い顧客対応や迅速な対応ができれば、顧客満足度が高まり、企業への信頼や愛着といった顧客ロイヤリティの向上につながります。企業への信頼度も上がり、全体的なイメージアップになるでしょう。
顧客対応の外注では、24時間対応や短期間のみの依頼もできます。緊急性の高い案件も受付でき、新規顧客の獲得や契約につながるケースもあるでしょう。ビジネスチャンスを逃すこともありません。
問い合わせ内容を記録できる
顧客対応の外注で、問い合わせ内容を記録できるのもメリットです。
問い合わせがあったときは、お客様から後日あらためて問い合わせがあったときなどのために、必ず履歴を残しておかなければなりません。しかし、自社で顧客対応する場合、忙しいときは記録を忘れてしまうことも起こりがちです。
問い合わせの件数が増えると情報が分散し、顧客の正しい情報や履歴の確認が難しくなります。必要な情報を見つけられないと、対応を忘れたり二重回答したりなどの問題が生じやすくなるでしょう。対応履歴を正しく確認できないために、間違った内容で回答してしまうこともあります。
質の高い顧客対応を行うためには、問い合わせ履歴をしっかり記録し、管理しなければなりません。
外注すれば、問い合わせ記録をすべて残してもらうことができ、あとから履歴を確認できます。再度の問い合わせにもスムーズに対応でき、問い合わせ内容やクレームを分析することで、顧客応対や商品・サービスの改善にもつながるでしょう。
顧客対応を外注するデメリット
顧客対応の外注には、社内にカスタマーサポートのナレッジが蓄積されにくいなど、デメリットもあります。どのようなデメリットがあるのか、詳しくみていきましょう。
社内にナレッジが蓄積されない
顧客対応を外注すると、業務に携わる機会が少なくなるため、自社にナレッジが蓄積されないというデメリットがあります。将来的に自社で顧客対応をする計画の場合、古いナレッジのままではスムーズな対応ができません。
問い合わせ対応やヘルプデスクの対応業務では、日々の対応で得られるさまざまな知識や情報があります。外注することでこれらの知識・情報が得られず、自社の問題解決能力が低下するというリスクもあるでしょう。
外注する場合も、業務全体を任せて自社は関与しないという丸投げは避け、ナレッジをフィードバックしてもらう体制が必要です。
代行サービスとやり取りする担当者を選び、定期的に業務に関するコミュニケーションを取りながら、状況を正しく把握するとよいでしょう。担当者は、委託する業務の全体像を把握し、進捗状況も確認するようにします。
担当者を選ぶ際は、将来業務を引き継いで運用できる人材を選ぶことも大切です。代行サービスとのコミュニケーションは、双方の認識をすり合わせるという意味でも大切です。顧客対応の方法など、自社のルールに認識の相違がないようにしていかなければなりません。
認識の相違が生じて間違った対応をしてしまい、クレームにつながるといったことのないよう、外注先とは頻繁にコンタクトを取るようにしてください。
お客様の声が企業に届きにくい
顧客対応を外注することは、顧客の声が届きにくいというデメリットがあります。顧客対応は商品開発やサービス改善につながる情報が集めることができる重要な機会です。
自社で顧客対応する場合は直接お客様の声を聞いて対応するため、意見や要望をすぐに改善に役立てることができます。
しかし、外注の場合はお客様の声を確認するまでにタイムラグが発生し、迅速な対応ができません。外注先が間に入ることでお客様との間に距離が生まれ、熱意も伝わりにくくなるでしょう。
直接対応することでお客様の真意が伝わり、適切な対応ができる場合もあります。お客様との直接のコミュニケーションができないという点は、外注の最大のデメリットといえるでしょう。
顧客からの貴重な声を商品やサービス改善に役立てるためには、情報を共有できる環境の構築が必要になります。外注する際は、問い合わせ内容や顧客からの意見の共有方法について、事前に取り決めをすることが必要になるでしょう。
セキュリティのリスクがある
顧客対応を外注する場合は顧客情報を共有するため、情報漏えいのリスクが高まります。万が一漏えいの事故が発生すれば、企業が被る損害は計り知れません。
代行サービスを選ぶ際は、十分なセキュリティ体制があり、適切な情報の取り扱いができる会社かどうか、慎重な検討が必要です。
判断材料のひとつとなるのは、業務実績です。大手企業など多数の実績があれば、セキュリティ体制の整った信頼できる会社と考えられるでしょう。
また、プライバシーマークを取得しているかどうかのチェックも必要です。プライバシーマークとは、個人情報保護の取り組みを適切に評価された事業者が取得できる登録商標です。日本産業規格「JIS Q 15001個人情報保護マネジメントシステム-要求事項」に基づいて審査が行われ、認定された事業者が取得できます。
依頼に際しては情報管理に関するルールを取り決めるなど、リスクを抑える工夫も必要です。
顧客対応の品質を向上できるメール共有管理システム
顧客対応のすべてを外注できるわけではなく、自社でも顧客対応の品質向上を図らなければなりません。品質向上に役立つのが、メール共有・管理システムです。
メール共有システムは、メールアドレスを複数人で共有し、お客様からの問い合わせを一元管理するシステムです。
ここでは、おすすめのメール共有管理システム「メールディーラー」を紹介します。
メールの対応状況を見える化する
メールディーラーは、メンバー全員のメールの対応状況を見える化し、返信忘れや二重返信を防止するメール共有管理システムです。
メンバーの対応状況に応じて自動でメールを振り分けるため、対応したかどうかを確認する手間がなくなることがメリットです。自分が対応すべきメールやほかの担当者の対応状況もわかるため、メールを見落として返信し忘れたり、二重返信したりすることを防止できます。メールの対応状況がわからず、適切な対応ができないという事態を避けることができるでしょう。
また、メールディーラーは、ビジネスチャットやカスタマーサポートなど、さまざまなサービスと連携可能です。複数の管理システムを立ち上げて管理する手間がなくなり、異なった問い合わせ窓口を確認する時間を減らせるため、メール対応業務が効率化します。
ECサービスとも連携しており、メール画面からワンクリックで受注明細情報へ移動できるのも便利です。
対応レベルを平準化する
メールディーラーは、よく使うテンプレートを全員で共有できるメールテンプレート機能や、よくある質問・マニュアルを共有できるQ&A機能があります。これらを活用することで、メール対応のレベルを平準化できるのがメリットです。
メール対応の品質を均一化できるとともに、よくある疑問と解決方法を共有することで、顧客対応マニュアルとして活用できます。顧客からの質問にも的確に対応できるようになり、顧客満足度アップに役立つでしょう。
メールディーラーの詳しい機能や特徴などを知りたい方は、以下のフォームからお問い合わせください。
顧客対応の外注を上手に利用しよう
顧客対応には外注できる業務が多く、カスタマーサポート代行サービスのプロに対応業務を依頼することで、自社の社員はコア業務に専念できます。顧客対応の品質向上も期待でき、人手不足などで十分な対応ができないといった課題を解決できるでしょう。
上手に利用すれば、採用や教育のコストを削減し、重要業務に注力できます。生産性の向上を図り、企業の成長につながるでしょう。
ただし、顧客対応の外注は社内にナレッジが蓄積されない、お客様の声が届きにくいなどのデメリットがあります。利用する場合は、デメリットを回避する対策も考えるとよいでしょう。
社内のメール対応の品質を向上させるには、メール共有管理システムのメールディーラーがおすすめです。メールの対応業務を見える化するため、お客様への適切な対応が可能になります。顧客満足度向上のために、ぜひご活用ください。
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