BtoBビジネスでは新規顧客の獲得以上に、既存顧客との関係性の維持や、ロイヤルカスタマー化を狙った施策が重要です。
そのため、解約されずに長期にわたって利用してもらえるように、顧客との関係を長期間維持することが、今後のBtoBマーケティングを成功させる重要なポイントです。
そこで必要になるのが「解約防止マーケティング」です。解約防止マーケティングは単に関係性の維持のみならず、「解約という選択を選んだ理由」を分析し、サービス改善のヒントを見つけるという目的もあります。
今回は、「サポートページ」の分析・改善で解約防止マーケティングを行う方法にフォーカスしてご紹介していきます。
BtoB企業でカスタマーサポートが重要視されている理由
BtoC企業であれば、ブランド力によって顧客の購買意欲にアピールすることができる部分がありますが、BtoB企業の場合、重視すべきはブランド力ではなく、製品やサービスそのものの良さが顧客にしっかり伝えることです。
では、自社を選んでもらうためにはどうすれば良いのでしょうか。もちろん製品やサービスの質をより良いものにしていくことは大前提ですが、競争が激化した今の時代、それだけで競合他社と大きく差をつけることは難しくなりつつあります。
そこで重視すべきなのが「カスタマーサポート」です。顧客が利用している製品やサービスについて何かしらの不満や疑問を抱えている時、まず最初に何をするでしょうか。
真っ先に電話で連絡するというケースもありますが、今の時代はまずネットで検索する人が圧倒的多数でしょう。その際に、自社のサポートサイトを見ただけで不満や疑問を簡単に解決することができたら、自社の印象が良くなることは確実です。
つまり、BtoB企業ではカスタマーサポートの入り口となるサポートサイトの充実が重要です。
そもそもどんなサポートサイト(ページ)がいいの?
サポートサイトは企業のWebサイトに設置された、主に既存顧客向けの製品・サービスの情報を掲載しているものです。サポートサイトの主な目的は、製品・サービスの運用中に発生した問題を顧客自身の手によって解決してもらうことにあります。
サポートサイトの情報が充実したものであれば、担当者との電話による問題解決よりも遥かに短時間で問題を解決することが可能です。また、顧客がサポートサイトの情報を使っても問題を解決できなかった場合には、サポートサイト内でスムーズに「お問い合わせ」へと誘導できるかが非常に重要なポイントです。
では、顧客のニーズに応えられるサポートサイトとは具体的にはどのようなものでしょうか?
顧客の求める情報が網羅されている
サポートサイトには、まず以下の情報を掲載しましょう。
- ニュース(最新のお知らせや技術情報、脆弱性、障害情報など)
- サポートポリシー
- FAQ
- 製品/サポートのドキュメントやモジュールのダウンロード
- 問い合わせ窓口の情報
また、取り扱う製品・サービスが複数以上の場合においては、それぞれのページを構築した方が見やすくなります。
サポートサイトを作成するうえで重要なことは、顧客に問題の自己解決を促すためにあらゆる情報を網羅して掲載することです。一方、情報過多で複雑な構造ではユーザーが迷ってしまうため、できる限りシンプルで検索しやすい構造しましょう。
デザインが見やすい
テキストを羅列するだけでなく、視覚的にも配慮した見やすいデザインにすることが大切です。
テキストやページリンクだけを整然と並べただけのサポートサイトは、顧客に「専門家向け」という印象を与えてしまいます。そして、顧客は必要とする情報にたどり着けないため、問題の自己解決できず顧客満足度の低下に繋がります。
そこで、テキストだけでなくアイコンやイラストを用いて分かりやすく内容を示し、配色もやわらかい印象を与えるように工夫します。見やすいデザインにすることで「誰でも使える」という意識を持ってもらうことがサポートサイトでは重要なポイントです。
難しい言葉が使われていない
サポートサイトを作成する人自身の知識が深いほど、つい専門的な用語を使ってしまいたくなるものです。同じレベルの知識を持つ人が相手ならそれでも伝わりますが、何かわからないことがあってサポートサイトを訪れた顧客の大半はそうではないでしょう。そのため、サポートサイトの内容は、誰が読んでも理解できる言葉で書くようにしてください。専門用語や難しい言葉を使う方が説明を短くまとめることができるかもしれませんが、一般の人が一読して理解できないようでは、サポートサイトの用をなしません。
顧客がすぐに探している回答だとわかる内容にするために、わかりやすい言葉でシンプルに、結論から書くことを意識しましょう。
情報提供形式を工夫する
サポートサイトで重要なのは、顧客自己解決へスムーズに誘導することです。そのためには、情報提供の形式に工夫する必要があります。
もちろん分かりやすくシンプルに、丁寧な文章で書かれていることが第一ですが、ウェブサイトならではの手段を用いましょう。電話では音声でしか情報を伝える手段はありませんが、サポートサイトは視覚的サポートを提供することが可能です。
最近では動画を埋め込んだサポートサイトも増えています。テキストと画像だけでは十分な説明ができないと感じた時は、動画での説明も検討してみてはいかがでしょうか。さまざまな角度からユーザーの問題を解決できるようにアプローチを工夫することが大切です。
問い合わせがしやすい
サポートサイトの情報で問題を解決できなかった場合は、「問い合わせフォーム」や「電話」への誘導が必要です。もっとも避けなければならないのは、「問い合わせされず、製品・サービスを解約されてしまう」ことです。
そこで、サポートサイトでは問い合わせに導くための導線設計を行い、問題解決を促します。ここでは、さらに顧客がカスタマーサポートに問い合わせしやすくなる方法を2点ご紹介します。
複数の窓口を設置する
カスタマーサポートの問い合わせ窓口は、複数のチャネルを設置して顧客の利便性を向上させましょう。問い合わせ方法として一般的な、メール・電話対応・問い合わせフォームはどれかひとつだけ採用するのではなく、“すべて設置する”ことが好ましいです。なぜならば、顧客が情報を求めている瞬間、「どこで」「どのような」状況であるかは不明だからです。
どのような状況下でも顧客の望む方法で問い合わせできることは、スムーズな問題の解決に繋がり、さらには顧客満足度の向上にも貢献します。
チャットボットを設置する
「チャットボット」は、あらかじめ記憶させておいた回答を自動/半自動でやり取りすることができる問い合わせツールです。24時間365日自動で問い合わせに対応できるため、深夜帯の営業時間外であっても、顧客の問題解決をサポートすることができます。
また、よくある定型的な問い合わせを、人が対応する必要がなくなるため、問い合わせ件数が減少し、スタマーサポートの業務負担が軽減する他にも、顧客側にも電話がつながりやすくなるといったメリットをもたらしてくれます。
サポートサイト作りのポイントは「顧客ニーズの分析」
サポートサイトは、構築しただけで機能するかと言えばそうではありません。問い合わせデータをもとに分析・改善を行い、情報を随時更新して顧客ニーズに沿った情報を提供できるようにする必要があります。
ここからは、解約防止に効果的なサポートサイトを構築するために重要なポイントとして、「顧客ニーズの分析」についてご紹介します。
過去の問い合わせデータを確認する
通話記録やメールなどの過去の問い合わせデータには、顧客が抱えていた問題、そしてサポートサイト改善のヒントなど、「顧客が何を知りたいのか」が隠されているのです。これが、サポートサイト改善の要となります。
過去の問い合わせデータを集計して、どんな質問が多いのか傾向を導き出し、顧客の知りたいことを反映させるようにしましょう。
また、サイトに反映させる際は、情報をどこに出すべきかよく吟味してください。例えば、よくある問い合わせページ(FAQページ)を作成または修正するのか、もしくはチャットボットを作成するのか…など方法はさまざまです。せっかく導き出した「顧客の知りたいこと」を、より分かりやすく顧客に伝える工夫をしてみてください。
FAQが機能しているか確認する
製品・サービスをスムーズに利用してもらうために、サポートサイトに「FAQ」を設置している企業がほとんどです。しかし、Webサイト運用開始時にはきちんと機能していたFAQでも、定期的にメンテナンスを行わないといずれは役に立たないFAQとなってしまいます。役に立たないFAQをそのまま掲載しておくことは、顧客によるサポートサイトの活用はおろか、最悪の場合は製品・サービスを解約されてしまいます。
顧客にFAQを活用してもらうには、FAQの利用状況を分析・改善してより有用性の高いものにしなければなりません。FAQの閲覧数などの分析によって、顧客が製品・サービスに対して抱えている問題を発見することができます。顧客のニーズが把握できれば、製品・サービスの改善に活かすこともできるでしょう。
離脱率が高いページはないか確認する
「離脱」とは、顧客がサポートサイト内で次のページに進まずにブラウザを閉じてしまったり、別のWebサイトに移動したりすることです。ページ単位で離脱率を分析することで、サポートサイト内の課題があるページを発見することができます。
問題解決方法を示すページまで到達せずに、途中で離脱している場合は、「必要な情報があまりにも不足している」「問題解決のための導線が正確ではなかった」などの大きな課題が隠れています。
離脱率が高く、顧客からよく問い合わせを受ける内容を含むページを優先的に改良していくと効果的でしょう。
分析をラクに行うには…?
ここまでご紹介してきたサポートサイトに必要な分析は、サポートページやFAQ、問い合わせなど、サポートサイトに関係のある情報をすべて集計・分析しなければなりません。さまざまなデータを集計・分析することは煩雑な作業になりやすく、電話対応やその他の業務と同時進行で実施するのは現実的ではありません。
特にメールは、個別に管理している場合はデータを集約するところから始めないといけないため、分析に手間の掛かる問い合わせチャネルです。
そこで、メールの管理をサポートする「メール管理ツール」を導入すれば、メールや電話、チャット、LINEなど様々な窓口から来る問い合わせを全て集約し、サポートサイトの分析業務を効率化することができます。
メール管理ツール「メールディーラー」
メール管理ツールとは、複数人でメール業務を行う際に「メールの管理・共有」をするためのツールで、カスタマーサポートなどの頻繁にメールをやり取りする部署を中心に導入されています。メール管理ツールには、一般的なメールソフト(メーラー)では難しい、複数人でメール業務を効率的に行うためのさまざまな機能が備わっています。
さまざまなベンダーからツールが提供されていますが、メール業務の効率化だけでなく、分析業務まで効率化したいのであれば「メールディーラー」は最適なツールです。メールディーラーに備わっている「ラベル付け機能」や「自動振り分け機能」を使うことで、メールの集計・分析がメールソフト活用時と比べて大幅に効率化できるでしょう。
ここでは、メールディーラーの特徴についてご紹介します。
メールディーラーの概要
メールディーラーは、数あるメール管理ツールの中で圧倒的シェアを誇るシステムで、国内8,000社以上の企業に選ばれています。その利用継続率は99%、機能満足度は95%と非常に高い顧客満足度が特徴です。
メールディーラーはSaaS(クラウド)型のメール管理システムで、「support@」といった共有メールアドレス宛の問い合わせメールを一元管理し、複数人でメールを共有・管理することができます。メールの対応状況や履歴がひと目で確認できるインターフェースを採用しているため、問い合わせメールの返信モレや重複対応といった、メールのやり取りで起こりがちなミスを未然に防ぎ、メール業務を効率化させます。
メールディーラーの分析機能
メールディーラーには上記の基本的なメール機能に加えて、問い合わせメールを分析するのに役立つ機能が搭載されています。ここでは、サポートサイトの分析に役立つメールディーラーの機能の一部をご紹介します。
フォルダと集計
メールディーラーは自動振り分けルールを細かく設定できます。「件名に○○を含む場合、フォルダAに振り分ける」という設定によって、問い合わせの種類ごとにフォルダを分けておけば、フォルダごとのメール通数は自動で集計されます。
ラベル機能と集計
メールディーラーはメールにラベルを付ける機能があり、フォルダと同じく、ラベルごとに数を集計することができます。
例えば「初期設定」や「オプション設定」とラベルをつけておけば、どの段階で顧客が問題を抱えることが多いのか把握することができますし、「不具合」「バグ」等のラベルをつけることで開発部門など他部署に情報共有しやすくなります。
分類別集計
フォルダやラベルよりもっと詳しく集計したいときに便利なのが分類別集計機能です。「大分類・中分類・小分類」でメールに分類表示を付けて集計することができます。問い合わせの種類や製品・サービスごとに細かく分類を設定することで、問い合わせメールの分析や、問い合わせ内容の確認がスムーズに行えます。
メールディーラーのその他機能
メールディーラーにはメールの対応を効率化し、対応品質を向上させるための機能が備わっています。代表的な機能が「ステータス管理」「対応履歴の検索」です。
「ステータス管理」機能は「誰が・いつ・どのメールに対応しているか」がひと目でわかる機能です。この機能によって返信漏れや重複対応を防ぎ、リアルタイムでメールの対応状況を確認することができます。
「対応履歴の検索」機能は顧客ごとの対応履歴を一覧表示させ、短時間で効率的に過去のメールを検索できる機能です。過去にどんなやとりがあった顧客なのか把握することで、より顧客に寄り添ったカスタマーサポートをすることができます。
さらに、チャットボットツール「チャットディーラー」と連携でき、チャットディーラーに寄せられたチャットによる問い合わせもメールディーラー内で一元管理できます。
まとめ
この記事では、解約防止のためのサポートサイトにおける問い合わせ分析についてご紹介しました。今回ご紹介した「メールディーラー」のようなメール管理ツールが、問い合わせの分析の効率を劇的に上げてくれます。メールディーラーに備わった数々の分析機能を活用し、サポートサイトを充実させて解約防止マーケティングを推進しましょう。
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