カスタマーサポート業務において、「FAQ」と呼ばれるよくある質問と回答のセットをまとめておくと、顧客からの問い合わせにスピーディーかつ正確に回答できるようになり便利です。現在は、多くの企業でFAQの整備や各種ツールの導入などが進んでおり、カスタマーサポートの分野では重宝されています。
そんなFAQですが、作成や管理をエクセルで行っている企業も多いのではないでしょうか?エクセルでの作成・管理は手軽に行えるという利点はありますが、継続して活用していくと、さまざまな課題が発生する恐れがあります。
そこで今回は、エクセルでのFAQ作成・管理で起こり得る課題と、エクセルを使わないFAQの作り方をご紹介します。また、おすすめのFAQシステムもご紹介します。カスタマーサポート部門でのFAQの作成に困っている方や、エクセルでのFAQ作成に限界を感じている方は、ぜひご参考ください。
まだエクセルでFAQを作成していますか?
エクセルを活用したFAQ作成・管理には、いくつかの課題があります。ここでは、「該当のFAQを探しづらい」「更新がしづらい」「データが重くなる」といった、エクセルでFAQを作成する上でよくある課題を3つご紹介します。
該当のFAQを探しづらい
はじめに、検索性に優れていないエクセルでは、該当のFAQに辿り着きづらいというデメリットがあります。
たとえ検索機能を使ったとしても、キーワードにヒットした複数のFAQを、上から順に確認していかなければなりません。また、AND/OR検索を活用する方法もありますが、単語のみの検索になるため、任意の条件に合わせて情報を抽出することが難しいといえます。
このように、エクセルでのFAQ作成・管理は、業務効率の悪化を招く可能性があるのです。
更新がしづらい
次に、エクセルではデータ更新がしづらいことも課題の一つです。
エクセル形式の場合、ファイルを編集し保存した後に、社内メンバーに共有するという手間が発生します。そうなると、メンバーが更新データの連絡を見落としてしまったり、更新の連絡漏れなどが発生したりする恐れがあるでしょう。結果的にメンバー内で異なるエクセルデータを共有している状態などが生じ、コミュニケーションミスの原因にもなってしまうのです。
また、特定のマスターファイルを作成したとしても、誰かが常に管理しなければいけません。更新時にも、その場でコメントをしたり、修正したりすることはなかなか手間がかかるでしょう。更新箇所を赤字や青字といった文字色で分けて管理する方法もありますが、更新を繰り返していると、どれが最新の更新なのかが分からなくなってしまうことも少なくありません。
FAQを作成する目的のひとつとして、業務効率の改善が挙げられる中で、何かと手間がかかることは本末転倒でしょう。
データが重くなる
最後に、エクセルのデータは使っていくうちに重くなるという点にも注意が必要です。
エクセルは汎用性が高いうえにマクロなども利用できるため、一つのファイルに色々と機能を詰め込んでしまいがちですが、作り込むほどにファイルのサイズが大きくなります。
また、FAQの数が多くなると、その分ファイルサイズも大きくなるため、動作が遅くなったり、他のアプリケーションを開くのにも影響を与えてしまったりするでしょう。最悪の場合、エクセル自体が動作しなくなる可能性もあります。
Excel(エクセル)を使わないFAQの作り方
エクセルを使わずにFAQを作る方法は、「スプレッドシートを使う」「ノウハウ集約型FAQシステムを使う」「チャットボット型FAQシステムを使う」の主に3つです。方法別に、ひとつずつチェックしていきましょう。
<作り方1>スプレッドシートを使う
まずご紹介するのは、Googleのサービスであるスプレッドシートを使って、FAQの作成・管理する方法です。
スプレッドシートは、Googleアカウントとインターネット環境さえあれば使うことができるため、誰でも気軽に導入することができます。スプレッドシートは、エクセルとほぼ同じような仕様となっていますが、編集・閲覧・訂正などすべてリアルタイムで反映されるので、わざわざ後からファイルを共有する手間が発生しません。
エクセルにあるような「更新がしづらい」というデメリットは解消されるものの、エクセルと同様に検索性に乏しかったり、データ量が多くなるとうまく動作しなかったりという課題は残ります。
そのため、FAQを作るのであれば、次からご紹介するFAQシステムがおすすめです。
<作り方2>ノウハウ集約型FAQシステムを使う
次に、ノウハウ集約型のFAQシステムを使って作成・管理する方法をご紹介します。 まずは、ノウハウ集約型のFAQシステムが、どのようなものなのか見ていきましょう。
ノウハウ集約型では、FAQにキーワード検索機能を搭載させたり、カテゴリごとに掲載できたりと、顧客の検索性向上を図ることができます。FAQをただ一覧掲載しているだけでは、検索性の面で問題があります。そこで、ノウハウ集約型FAQシステムのさまざまな機能を活用することで、検索性が向上し、顧客がスムーズに該当のFAQに辿り着けるようになるのです。
また、システムにもよりますが、検索数の多いキーワードをトップに表示する機能やサジェスト機能が搭載されていることも多いようです。
<作り方3>チャットボット型FAQシステムを使う
続いて、チャットボット型のFAQシステムを使って管理する方法をご紹介します。
チャットボットはチャット(会話)とボット(ロボット)を組み合わせた言葉で、顧客からの問いかけに対して、自動回答することができるシステムです。近年は、多くの企業で導入が進んでいることから、すでにチャットボット型のFAQシステムを利用したことがあるという方も多いのではないでしょうか。
チャットボット型のメリットとしては、何といっても検索性が向上することです。顧客は、ボット上で会話を進めることで、スムーズに知りたい情報に辿り着くことができます。
チャットボット型のFAQシステムの活用方法は、主に2つあります。1つ目は、チャットボットにFAQデータを設定し、ボット上で顧客とのやり取りを完結する方法です。FAQ上で完結できるため、ユーザーに負担をかけることがありません。
2つ目は、チャットボットをFAQサイトに設置し、検索ツールとして活用する方法です。会話を進めることで顧客が求めている情報を特定し、該当のFAQページに飛んで詳細を確認してもらいます。FAQの回答ボリュームが大きく、チャットボット上で情報を送ることが難しいなどの際におすすめです。
FAQシステムを使う作り方のポイント
ここからはシステムを使う際の構築のポイントをご紹介します。
FAQシステムを使う作り方のポイントはいくつかありますが、特に重要なのは「閲覧頻度の高いFAQのインポート」「FAQシステムの使い方を周知する」「ルールを決めておくこと」の3つです。いずれのポイントもFAQシステムを構築・運用していくのには欠かせないポイントです。
では、ポイント毎にもう少し詳しく解説します。
まずは閲覧頻度の高いFAQをインポート
FAQをインポートする際は、むやみやたらにするのではなく、まずは閲覧頻度の高いFAQからインポートするようにしましょう。というのも、FAQが多すぎても情報の範囲が広くなり、必要な情報を見つけづらくなるためです。まずは着実に、出現度の高い質問から集中的に準備していきましょう。
そして実際にFAQシステムを運用していく中で、さらに追加が必要なトピックが分かってくるでしょう。その場合は改めてチームで精査してFAQを追加すれば、だんだんと業務負荷も減ってくるはずです。
FAQシステムの使い方をしっかり周知する
次に、FAQシステムの使い方を社内でしっかりと周知することも重要なポイントです。
カスタマーサポートスタッフに対して、使い方のセミナーを開催するなど、システムの使い方をしっかりと共有しておきましょう。共有することで、FAQシステムの各特徴や操作をしっかりと認識することができ、効率の良い導入・運用ができるようになります。
また、ある程度ツールに理解のある担当者がリードしながら、徐々にチームへの活用を浸透させていく方法も効果的です。導入当初は、スタッフが操作方法などに関してさまざまな疑問を持つことが想定されますが、そうした場合にレクチャーしてくれる担当者がいるだけで、浸透スピードはぐっと上ります。
一方で周知を怠ってしまうと、使いこなせないままツールが放置されるというケースも考えられます。 そうならないためにも、FAQシステムがうまく活用されるような工夫をしてみましょう。
ルール決めをしておく
最後に、ルール決めをしておくことも重要です。
活用するシステムにもよりますが、最初の設定の際に表記を揃えたり、カテゴリやタグの設定などが必要になったりする場合もあります。そうしたツールを活用する場合、ルールに基づかずに体系的に整理をしないと、カテゴリやタグが無数に増えてしまったり、目的の情報にアクセスしにくくなったりしてしまいます。
また、FAQを設定する際の業務効率の観点からしても、ある程度表記の規則やルールを決めておくことで設定も早く済むはずです。事前のルール決めはその後の業務効率に大きな影響を及ぼすので、できることなら導入の初期の段階で決めておくことをおすすめします。
まとめ
今回はエクセルを使わないFAQの作り方をテーマに、いくつかの方法やおすすめシステムをご紹介しました。
エクセルは、気軽に活用できるという点から、すでに多くの企業が活用しています。しかし、エクセルによる管理ではファイルの破損や共有性に欠け、非効率な運用体制になってしまいます。現在、FAQシステムの導入や新たな方法を検討している方は、ぜひ専用のツールを導入してみてください。
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