近年、ECサイトでの購買体験は劇的に進化してきています。
特に「スピード」という点で、いち消費者としてそれを実感することも多いのではないでしょうか。
スピードを向上させる方法は様々ですが、大手企業などでは流通インフラをくまなく整備することで、圧倒的な配達スピードを実現しています。
一方で、店舗側では在庫を持たず、注文を受けたらメーカーの倉庫から商品を直送することで配達効率や配達スピードを高める、ドロップシッピング等の手法に代表されるように、在庫管理を工夫する方法もあります。
このような流れの中で、在庫管理の方法や配達への流れ、そしてお客様の手元に商品が届くまでのスピードや体験を、どのように改善すれば良いか悩むECサイトの運営管理者が多くいらっしゃるようです。
そこで今回は、企業規模や資金力に関係なく、明日からでも実施可能な工夫で商品到着までの体験を向上させる方法を紹介したいと思います。
「配達速度」で競うECサイト市場
経済産業省の「電子商取引に関する市場調査」によると、平成27年におけるBtoCのECサイト市場規模は13.8兆円(前年比7.6%)まで拡大しています。
競争激化が進む中、昨年開始した「Amazon Prime Now」や「楽天デリバリープレミアム」等の即時配達サービスからも分かるように、「配達速度」で他社との差別化を図る企業が増えています。
しかし、「配達速度」を上げるためには、今まで以上の人員確保や費用拡大が必要です。
中小規模で運営されているECサイトが対等に競うにはなかなか厳しいものがあるのではないでしょうか。物理的な「配達速度」で対抗出来ない場合は、違う側面から"お客様を待たせている時間"を削減していかなくてはいけません。
お客様の購買行動を左右する「伝達速度」
株式会社ラクスの調査によると、ECサイトを利用する9割以上の方が、"問い合わせ対応における対応スピードが購買行動に「影響する」"と回答しています。
人気商品や数量限定販売等の商品自体に強みを持っているECサイトだからといって、お客様とのコミュニケーションが不要ということではありません。
注文以降連絡がなく、突然商品が届くECサイトと、注文受領通知が届き、発送や到着のスケジュールが明確なECサイトでは、どちらを継続利用したいと考えるでしょうか。
顔が見えない分、密なコミュニケーションによってお客様の不安を取り除く必要があり、また、そのコミュニケーションの「伝達速度」によって、競合他社との差別化を図ることができるのです。
実際にインターネットショッピングモールのレビューには、商品そのものへの評価以外に販売者の応対への評価が多く見られます。
「伝達速度」の迅速化
ところで、自分が歩く速度はどのくらいか、具体的な数値でご存じでしょうか?
あるいは、2,000字打ち込むスピードは?パソコンの起動速度はどのくらいでしょう?
これらは計測すれば分かるものではありますが、そのようなことは普通しません。しかし迅速化が求められている分野において、数値を把握していないということは、致命的な問題です。商品の問い合わせに返信するまでの時間や、注文を受けてから発送までの時間等、"お客様を待たせている時間"を数値化する必要があります。体感的な速度ではなく、目に見える数値にすることで、課題が明確になるのです。
「配達速度」は設備やコストの面から限界があります。しかし「伝達速度」は、フローチャートの整備や、メールのテンプレート化等、社内の工夫で迅速化を図ることができるのです。営業時間外の一次対応メールを自動返信にする等、たった一つの設定で改善される課題もあります。
今まで可視化されていなかった部分にこそ、改善の余地が潜んでいます。
視点を変えて、身近な対策から心がけてみてはいかがでしょうか。
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