「仕事を求めている人」に対する「人を求めている企業」の割合を表す有効求人倍率。
厚生労働省が発表した平成28年度の平均値は『1.39倍』で、前年度を0.16ポイント上回る数値となっています。3月の地域別数値の最高は東京の2.06倍、最低は沖縄の1.01倍となりました。
つまり東京では、「2つ」の企業が「1人」の求職者を取り合っているのです。
その状況下で「ただ求人広告を掲載する」だけでは、良い人を採用することはできません。
なぜ応募が無かったのか、なぜ良い人が採用できなかったのか、しっかりと検証を行い、改良をしていくことが人手不足を解決する第一歩です。
今回は、求人広告を掲載したのに採用ができなかった「原因」の見つけ方と、その「対策」についてご説明します。
まず数えるべき6つの人数
まずは検証材料として必要な、下記6つのステージにおける人数を数えましょう。
(2)面接確定人数(面接日時が確定した人数)
(3)面接実施人数(面接を行った人数)
(4)採用人数(採用した人数)
(5)入社人数(入社した人数)
(6)定着人数(現在も活躍している人数)
それでは、この6つの数字から 改良ポイントを導き出します。
「6つの人数」から引き出す「人手不足の原因」
そもそも「(1)応募人数」が少ない
【原因】
・他社と比べて募集要項が魅力的に見えていない。
【対策】
・周辺エリア、最寄駅沿線の同業他社と比較をしてみましょう。
紙媒体は、掲載しているページ上で他社と比較し、WEB媒体では業種・立地を同条件で絞り込み、一覧表示される画面で比較を行いましょう。
給与、待遇、表現方法、写真等、どこか見劣りしてしまっているところはありませんか?
「(1)応募人数」に対して「(2)面接確定人数」が少ない
【原因】
・面接担当者が少なく、面接を受付できる日が少なかった。
・WEBサイト経由での応募者への対応が遅く、求職者の熱意が削がれてしまった。
【対策】
・面接担当者を増員するか、集団面接を取り入れる等、面接可能枠を増やしましょう。
・求職者の大半は、複数社応募をしており、反応の早い順で入社を決めてしまうこともあります。
すぐに気が付きにくいWEBサイト経由の応募は、通知機能(応募があった瞬間に通知メールが届く機能)等を使い、応募から1時間以内に対応できる体制を作りましょう。
「(2)面接確定人数」に対して「(3)面接実施人数」が少ない
【原因】
・応募受付電話の印象が悪く、求職者の気持ちが離れてしまった。
【対策】
応募を受付する電話対応は、企業の第一印象を決める大切なタイミングです。
フローやマニュアルを見直し、いつでも誰でも「良い対応」ができる体制を作りましょう。
「(3)面接実施人数」に対して「(4)採用人数」が少ない
【原因】
・「採用したい!」と思う人が応募してくるような広告になっていなかった。
【対策】
・不採用になった人の傾向から、ターゲットのズレを分析しましょう。
模範となる先輩社員のプロフィールやライフスタイル、メッセージを紹介することで求める人物像をより具体的に伝えることができます。
→元気の良さ、仲の良さが伝わる集合写真をトップ画に入れて社風を伝える。
「!」や「体言止め」で文章にハツラツさを盛り込む。
例2)長期で働く安定志向の人が欲しいのに、上昇志向でオーバースキルな人ばかり
→待遇や、育休実績等で長期勤務が出来る環境ということを伝える。
教育体制の手厚さをアピールすることで、求めるスキルのレベルを伝える。
「(4)採用人数」に対して「(5)入社人数」が少ない
【原因】
・並行して受けている他社に見劣りしてしまった。
・面接時の印象が悪く、求職者の気持ちが離れてしまった。
【対策】
・面接は、企業が求職者を見定めるだけでなく、求職者も企業を見定めています。
ホームページ等で伝えきれない会社の良さを「面接担当者の言葉で直接アピールできる唯一の場」であることを忘れないでください。
面接を通して求職者の入社意思を高め、「この人と、この会社で一緒に働きたい!」と思われる面接官であることを心がけましょう。
・職業安定法で定められている「聞いてはいけない質問」をしてしまっていませんか?
ルール違反・マナー違反は求職者の気持ちが離れる原因となります。
出展:厚生労働省 「公正な採用選考の基本」―「採用選考時に配慮すべき事項」参照
https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/topics/saiyo/saiyo1.htm
入社3年以内の「(6)定着人数」が少ない
【原因】
・求人広告の内容と実務にギャップが生じた。
・入社後の受け入れ体制が整備されていなかった。
【対策】
・客観的な視点から求人広告を見るため、社歴の浅い人、新卒入社の人、中途入社の人、様々な立場の人から意見を集め、求人広告に反映させてみてはいかがでしょうか。
・人を採用する意図・目的は、社内で正しく理解されていますか?
会社としてどう成長してもらうことがゴールなのか、方向性を周知し、受け入れ体制を整えましょう。
上記のグラフはあるECサイトが掲載した求人広告における「6つの人数」のサンプルデータです。
このECサイトの過去状況から見ると、今回は「面接確定人数」に対して「面接実施人数」の割合が少ないようです。今後は、応募受付電話の対応方法について、見直す必要があります。
このように、「6つの人数」を数えることで、求人広告を具体的な数値で傾向分析することができます。
採用が出来なかったのは、「時代が悪い」「求人広告が悪い」だけでなく、様々な原因が隠れています。
一つひとつ原因を紐解いて、改善を心がけることで人手不足解消に繋がります。
しかし、「6つの人数」の適正な数値は業種・業界や勤務先エリア、勤務条件、募集時期等によっても異なります。
まずは、求人広告を掲載する都度、データを蓄積することで、自社の適正数値を把握することから始めましょう。
それでも人手不足が続く場合
上記の分析を行った上で、それでも状況が変わらない場合は、そもそもなぜ「人が足りない」のか、本当に「人が足りない」ことが問題なのか、根本に立ち返って分析を行うのも1つの手です。
増員したい部署の業務を「効率化」できれば、現状の人数で事足りてしまうこともあります。
採用に必要な広告掲載費、入社後の人件費、研修担当者の人件費の合計と、業務効率化に必要な経費を比較することで、より費用対効果の高い手段を選択できるはずです。
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