今回は、ネットショップと実店舗で革製品を中心に展開している、ポルコロッソのEC事業部マネージャーの綾戸さんにインタビューした記事をお届けします!前編となる今回は、ネットショップを立ち上げた頃のお話から、商品コンセプト、海外販売まで、様々なお話を伺ってきました。
ブランドコンセプトの重要性と、自社ECサイトの可能性を感じる記事になっていますので、ぜひご一読ください。
自社製品は受注販売が中心。コンセプトからブレないショップ運営
鞄や財布、文具などの革小物を中心に、自社製品と仕入れ製品の両方を扱っています。
当社のコンセプトに、「20年後に息子に譲りたいもの」というのがあるんです。購入後、長く使い続けることができるように、革を磨いたり、メンテナンスや修理の対応をしています。そしてお客様自身が製品を使い続ける中で革を育てていただき、将来的に息子さんに譲れるようなものを提供する、といった文化を大事にしながら製品企画や運営をしています。
主に4つ(自社サイト、楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazon)ですね。他にも楽天シンガポールにも出店しています。
以前は楽天市場に2店舗ありましたが、今は1店舗にしています。売上金額で言うと、楽天市場、自社サイト、Yahoo!ショッピング、Amazonですね。現在は、楽天市場と自社サイトで8割近く、という感じです。
はい、私が入社した当時は、岩田屋(百貨店)の催事場に数坪のテナントを出していました。アルバイトで入社し、売り場で主に今ECでも扱っているHERZ(ヘルツ)のバッグを販売していました。その後出店した、博多駅のデイトス店ではアンティーク時計なども販売していました。
約10年前ですね。まず楽天市場に出店して、その後にYahoo!ショッピングに出店しました。実店舗での売上が約500万くらいの頃だったと思います。狭い事務所にスタッフ4人で、ページ制作から受注、発送もすべてやっていました。言い方は悪いですが、当時は何をしても売上が上がるような時期でした。楽天市場の担当者に勧められた広告の反応率が凄かったですし、どんな施策を打っても成功していた印象がありますね。私はカスタマーサポートを主に担当していました。
はい。受注販売を採用している理由は、基本的には、職人が製作できる数というのは決まっているからです。そして何よりもクオリティは絶対に下げたくない。ですから、大量生産はしません。すると注文が重なってくると、お届けに時間がかかってしまうのですが、きちんとお客様へ納期をお伝えした上で、ご購入いただいています。これが当社のECのやり方です。
一部の仕入商品はあす楽にも対応していますが、自社製品には当てはまりません。元々、在庫商売ではないですし、当社で扱っている仕入れ商品のHERZがそうした販売方法だったこともあり、自社製品にもそのやり方を踏襲しています。
自社製品の場合だとお届けまでは、受注から5~6週間、HERZの場合は、8~10週間程度かかります。納期については商品ページへきちんと表示するのは勿論のこと、ご注文いただいたお客様に不安を感じさせないように、その後、フォローメールで進捗状況をお知らせするようにしています。
ブランドコンセプトを守ること、強みをわかっていること
先程お話しした通り、以前は楽天市場へ2店舗出店していました。新たにネームバリューのある仕入商品を増やすことになったのですが、既に扱っていた仕入商品のHERZとはコンセプトが違ったんですね。HERZと自社製品(ポルコロッソ)は同じように、革を育てる、といった根っこの価値観が共通していますので、問題はなかったのですが、新商品はブランドコンセプトが異なっていました。シーズン毎に新しいモデルが発売されて、流行を追いかけるような商品だったんです。なので、同じECサイト内で取り扱ってしまうと、一方では良いものを長く使う、と言っているのに、一方では流行りものを短いサイクルで販売することになる。そうなると、会社としてのスタンスがちぐはぐになってしまう懸念があり、新たに別に店舗を出店して、取り扱うことにしました。
ただ、その新商品は仕入商品ですから、当然他のショップでも販売されていました。値引販売NGのブランドだったため、その分ポイント10倍などのキャンペーン商品になることが多く、こうしたレッドオーシャンな市場で優位に立つためには、企業の体力勝負になりますし、当社が発揮できる強みはそこでは無いという考えから、閉店しました。なかなか高い勉強代でした。
当社の場合、Amazonは今はまだ少し難しいですね。自社製品(ポルコロッソ)は、商品ページで価値をきちんと伝える必要がある商品です。そのため、商品情報を列記する現状のAmazonのフォーマットでは難しいです。ただ、やれることはまだまだあると思っていますし、Amazonポイントの付与施策などに取り組んでみようかと考えています。
海外販売(越境EC)の可能性と、今後の展開について
出店して1年弱ですが、試行錯誤している段階ですね。課題はいろいろありますし、専属の担当など、きちんと人を配置する必要はありますね。当然ながら片手間ではなかなか成功しないと思います。あとは、楽天市場自体の認知度というか、利用者自体がまだまだ少ないので、すぐに成果につながるかというと、まだ少し先になるのかなと感じています。
商材では、ベビー用品やアパレルには強いニーズがあるようで、かつ安価なものが強いようです。あとは認知度の高いブランドや型番商品。ここまでお話しした内容でお分かりいただけたかと思いますが、当社は単価も高いですし、さらには納期もいただくわけで、いかにそこの不安要素を取り除けるかが課題だと捉えています。おかげさまで国内では好調なのですが、海外に目を向ければ、まだまだノンブランド商材ですので、今後は海外での認知度をいかに高めていくかがカギだと考えています。
送料の問題があって、まだ実現できていませんが、当社のこだわりでありかつ強みでもある部分として、革の磨きやメンテナンスサービスなども海外向けにもやっていきたいですね。
SNSを通じて、海外にいらっしゃるファンの方から現地に実店舗を出してくれないか、というようなコメントをいただいたりもするんです。非常に有難いことですし、実店舗がある、ということが安心感の醸成に繋がるとは思いますので、機を見てチャレンジしたいですね。試行錯誤しながら、様々な施策で自社ブランドの認知度を高めることに注力していきます。
今回インタビューにご協力いただいた、ポルコロッソさんのECサイトはこちら!
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