今回は、大多数のECサイトが実施しているリスティング広告の運用効率を改善するために、知っておきたい3つのポイントを解説します。最近、リスティング広告の効果が伸び悩んでいるという方、何を指標にリスティングのスコアを確認すればいいのかわからないという方にオススメです。是非読んでみてください。
リスティング広告の運用でおさえるべきトレンドは、スマートフォン?
ECサイトの販促施策として、代表的なリスティング広告。その出稿企業数の増加にともなって、運用コストも年々高騰しつつあります。加えて、近年のPCからモバイルデバイスへのユーザーシフトにより、市場環境に大きな変化が起こっています。最近では、スマートフォンで「検索→購買」を完結するというユーザーが増加しており、ある女性向けECサイトでは、スマートフォン比率が7割を超えている、といった事例もあります。
スマートフォンへの対策は既に避けて通れない状態ですが、スマートフォン向けのリスティング広告は、PCと比べて、広告の表示枠が少ないといった制限があります。そもそもの集客コストが上昇していることに加え、広告表示枠の減少によって、さらに入札競争が激化しているということがスマートフォン向けのリスティング広告を取り巻く状況と言えます。
リスティング広告をどう評価していますか?こんな運用は要注意!
このように、リスティング広告を取り巻く市場環境は大きく変化をしています。そのため、運用に一層の戦略性が求められています。以下の項目に現状のリスティング広告の運用が当てはまる場合には、要注意です。
1. リスティング広告のアカウント全体のスコアを基準に評価している
非常によくあるケースです。リスティング広告のアカウント内には、異なるターゲットを狙うための様々なキャンペーンがあり、その中に数多くのキーワードが登録されているはずです。たとえば、出稿するキーワードの主な区分としては、以下のような形が一般的です。
これらのキーワードは、全く異なるユーザーをターゲットとしているため、それらのスコアを合算して評価することに、ほとんど意味はありません。
わかりやすい例でご紹介します。
月間予算:30万円、CV:200件、CPA:1,500円、上限CPA:2,000円だった場合、目標を達成しているように見えます。しかし、そのアカウントのスコアをキーワード別によく見ると、以下のようになっていたとしたらどうでしょう。
この場合、一般キーワードのCPAは目標に全く達しておらず、キーワードの設計改善が必要です。このように、「リスティング広告」のアカウント全体としては目標を達成しているように見えるため、課題発見ができないまま、余計なコストを払い続けることになります。
主要なキャンペーン毎に、きちんと分解して数値を確認してみましょう。
2. キーワード別のスコアを細かく追っている
3. キャンペーン設計がどうなっているか、把握できていない
上記の2点における、根本的な課題は同じです。リスティング広告の場合、膨大なキーワード1つ1つの成否を把握する必要はありません。その代わり、キーワードのヒエラルキー単位での把握や設計などが非常に重要となります。
<「乳酸菌のサプリメント」でキーワード広告の階層設計を行った場合 >
下に進むにつれて、より抽象的なキーワードになっていくのですが、多くの場合、コストも同じ順に高くなります。こうした大まかな設計図を自社で作成した上で、専門家に細かなキャンペーン設計を依頼することで、「ユーザーへリーチするコストの最適化」が期待できます。
4. デバイス別のスコアを確認していない
前述した通り、PCとスマートフォンでは検索の動向が大きく異なります。同じキーワードを出稿した場合、現状はスマートフォンの方が入札単価が低くなるケースが多いです。このため、たとえば「PCではブランドキーワードのみを購入し、一般キーワードではスマートフォンに注力する」といった、柔軟な戦略を検討してみてもいいかもしれません。
リスティング広告を見直す際にとるべき3つのアクション
リスティング広告の運用の具体的なテクニックは膨大にあり、日々更新されていきます。全てをキャッチアップする必要はないですが、社内外問わず専門スタッフにすべてを任せきりにするのではなく、ECサイト運営担当として以下3点は覚えておいてください。リスティングに改善を施す必要が出たときに役立ちます。
1. 自社の顧客データや商品特性をしっかり把握する
最低でも「購入者に占めるデバイス比率」や「自社の強み(商品の特徴や強み)」はしっかりと把握しましょう。それをベースに外部の専門家に対して、階層設計の意図や獲得したいユーザー像を伝えることで、より具体的な提案を受けることが出来ます。
2. KPI設計をしっかり行う
「リスティング広告」という大枠でのKPI管理ではなく、獲得したいユーザー毎に明確なKPIを設計しましょう。最低でもブランドキーワードでの獲得単価と、一般キーワード獲得単価は管理することで、施策をより柔軟に検討することが出来ます。他のプロモーション施策の影響により、ブランドキーワードでの流入が増えた場合には、一般キーワードへの入札を強めるのか、他施策へ投資を行うのか、全体のパフォーマンスに大きな影響が出ます。社内でしっかりとKPIを設定し、柔軟に施策を再検討していく、という姿勢が重要です。
3. キーワード広告だけに固執しない
国内のネット普及率は飽和状態に達しており、今後、ネット利用者の大幅な増加は期待できません。このため、急激な検索クエリの増加は想定しにくい状況だと言えます。こうした背景を受け、Yahoo!やGoogleなど、リスティング広告を提供する事業者はディスプレイ広告へのシフトを進めています。一般キーワードへの入札よりもディスプレイ広告の運用に注力するほうが、結果的に獲得コストが安くなるケースもあります。
また、一度自社のサイトに訪れた顧客に対して再度広告を配信するリターゲティング広告は、ブランドキーワードと一般キーワードの間の獲得コストで収まるケースが多く、非常にオススメです。
いかがでしたか?
以上、EC事業者として把握しておきたい、リスティング広告運用の3つのポイントについてご紹介させていただきました。この記事が、あなたのECサイトのマーケティングに役立ちましたら幸いです。
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