ビジネスメールのやりとりの中で、ありがちなヒューマンエラーとして挙げられるのが「メールの誤送信」です。
ビジネス上でのメールの誤送信は、個人間での信頼損失だけでなく、情報漏えいなどの企業全体としての重大なトラブルに発展する可能性もあるため、しっかり対策を立てておく必要があります。
この記事では、メールの誤送信防止のために取り入れるべき具体的な対策や、おすすめのメール誤送信対策ツールを紹介いたします。
オンボーディングとは?
オンボーディングとは、会社に入社した社員が早く職場に馴染み、力を発揮できるようにするための取り組みのことです。人材業界でよく使われる言葉ですが、カスタマサービスにもオンボーディングがあり、人材業界のオンボーディングとは意味が異なります。
カスタマーサービスにおけるオンボーディングは、「サービス・商品を利用し始めたお客様に、なるべく早く使用方法や機能を理解してもらえるように働きかける取り組み」です。「サービス・商品の利用方法がわからない」という理由での早期解約を防ぐために導入します。
オンボーディングの手法は、さまざまです。オンボーディングを成功させるためには、お客様の属性やサービスの特性に応じた手法を選択する必要があるでしょう。
オンボーディングとは?
近年では、カスタマーサクセスに取り組む多くの会社がオンボーディングを重視しています。オンボーディングが重要視される理由は、以下の4つです。
- お客様との信頼関係構築に関わるため
- LTVの最大化につながるため
- 解約防止につながるため
- リファラル経由での新規顧客獲得につながるため
それぞれ詳しく解説します。
お客様との信頼関係構築に関わるため
オンボーディングによってサービスを利用する目的や利用価値が明確にし、お客様がサービスの活用方法を把握している状態になれば、アップセルやクロスセルなどの提案がしやすくなります。アップセルは、お客様が現在のサービスよりも単価が高いサービスを購入すること、クロスセルは現在のサービスとは別のサービスを購入することです。
お客様に合わせた提案を行えるようになればお客様の満足度が向上し、お客様との信頼構築につながります。
なお、お客様との信頼構築に関わる要素はオンボーディングだけではありません。「カスタマーサービス全体の質を高める」「SNSを活用する」などを実践すれば、お客様の信頼獲得につながるでしょう。
LTVの最大化につながるため
オンボーディングを導入すれば、LTVの最大化につながります。LTVは「Life Time Value」の略称です。「顧客生産価値」という意味があり、具体的には「一人のお客様が生涯にわたって会社にもたらす価値」を指します。たとえばサブスクリプション方式のサービスであれば、サービスを長期間利用してくれるお客様ほどLTVが高くなるのです。
また、オンボーディングに成功してアップセル・クロスセルの機会を得られれば、アップセル・クロスセルによってお客様一人あたりの単価が上がり、LTVも向上します。
サブスクリプション方式のサービスは買い切り型のものとは違い、すぐにサービスを解約されてしまうと、お客様の獲得に費やしたコストが無駄になってしまう点がデメリットです。そのため、サブスクリプション方式のサービスにおいてLTVは重要な指標であり、LTVの最大化につながるオンボーディングの重要性も高まってきています。
解約防止につながるため
オンボーディングを導入し、お客様が快適にサービス・商品を利用できるようになれば、お客様の満足度が向上します。お客様の満足度が向上すれば、サービスの継続利用につながるでしょう。
お客様の満足度を向上させるには、お客様が抱える課題や不満を把握し、課題の解決にいち早く取り組むことが大切です。お客様へのサポートが足りず解決までに時間がかかってしまうと、サービスの解約という結果になってしまいます。
オンボーディングによってお客様の満足度を向上させ、できる限りサービス解約を防止することが、カスタマーサービスにおいて重要です。
リファラル経由での新規顧客獲得につながるため
オンボーディングを導入すれば、お客様のサービス・商品への理解度・満足度が高まります。理解度や満足度の向上は、サービスの長期利用や商品のリピート購入につながりやすいです。オンボーディングによってサービス・商品を長期利用するお客様が増えれば、そのお客様を経由して新規のお客様を獲得できる可能性があります。
このように推薦や紹介でお客様を獲得することを「リファラル経由」と呼び、リファラル経由で獲得したお客様はロイヤリティが高くなる傾向があるため重要です。
オンボーディングの基本的な進め方
顧客との信頼関係構築やLTVの最大化につながるオンボーディングですが、実施の際はどのように進めていくべきなのでしょうか。オンボーディングの基本的な進め方は、以下の通りです。
- 導入から活用までの流れを整理する
- 実施する手法を決定する
- ゴールやKPIを設定する
- 施策を実施しPDCAを回す
それぞれ詳しく解説します。
1.導入から活用までの流れを整理する
まずはじめに、お客様がサービス・商品を導入してから活用するまでの流れを整理しましょう。具体的には、サービス・商品を導入する際、どのようなサポートを行っていけばよいかをイメージします。営業担当者からお客様の引継ぎがある場合は、お客様の情報や導入に至った背景を確認しておきましょう。
導入から活用までの流れを整理する際は、お客様の視点に立って整理することが大切です。会社側の視点で問題点を洗い出そうとしても視点が偏ってしまい、本当に改善するべき問題点に気づけない場合があります。
お客様の視点に立ったうえでお客様の行動をシミュレーションすれば、導入から活用までで発生し得る問題点に気づくことができるでしょう。
2.実施する手法を決定する
導入から活用までの流れを整理したら、実施する手法を決めましょう。カスタマーサクセスでは、お客様を「ハイタッチ」「ロータッチ」「テックタッチ」の3つの層に分類しており、各層に合わせた手法を選択します。
ハイタッチは3つの層の中でLTVが最も高い大口のお客様、ロータッチはハイタッチよりもLTVが低い中間層のお客様、テックタッチは3つの層の中でLTVが最も低いお客様です。それぞれどのような手法を用いるべきなのか、詳しく解説します。
ハイタッチ
大口のお客様へのアプローチとなるため、打ち合わせや個別レクチャーなど、1対1の直接的なコミュニケーションが中心です。コミュニケーションを通してお客様ごとにゴールを設定し、進捗確認やサポートを定期的に行う必要があります。
手厚いフォローを行うためコストは高くなりますが、その分お客様のさらなる満足度向上が期待できる手法です。
ロータッチ
中間層のお客様が対象となるロータッチは、メールやSNSなどを利用し、オンラインで行われる場合が多いです。ハイタッチよりもお客様の人数が多いため、オンラインでの個別サポートだけではなく、多人数を対象にしたコミュニケーションも行います。
基本的に担当者は複数のお客様を同時にサポートするため、お客様に応じた細かな対応はとりづらく、適切なサポートができない場合も少なくありません。状況次第では、個別対応中心への切り替えを検討しましょう。
テックタッチ
テックタッチは、担当者が直接サポートするのではなく、システムを活用して人の手を介さずに多くのお客様をサポートする手法です。テックタッチの代表例には、メルマガやチャットボットなどがあります。
システムを活用するためコストをあまり必要としませんが、うまくお客様のニーズを捉えられれば、LTVやお客様の満足度の向上につなげることが十分に可能です。
3.ゴールやKPIを設定する
次に、オンボーディングの目標となるゴールを設定しましょう。オンボーディングはお客様の満足度やLTVなどさまざまなものを改善できますが、ゴールは会社によって異なるため、具体的なゴールが設定できていないとお客様のサポート方法にムラが出てしまいます。
この状態でオンボーディングを実施しても効率的な改善は期待できないため、ゴールを明確にして、目標が複数ある場合は優先順位をつけることが大切です。売上やアクティブ率など、数値で表せるものを目標にすれば客観的な評価ができるでしょう。
ゴールだけでなく、ゴールを達成したと判断するための指標である「KPI」も設定するようにしましょう。オンボーディング率や解約率などが、オンボーディングでは良く使用されています。
4.施策を実施しPDCAを回す
ゴールやKPIを設定できたら、実際に施策を実施しましょう。施策は一度きりではなく、何度も行い、PDCAを回していきます。
PDCAは、業務改善を行う際の一般的な手法です。「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の4つのプロセスで構成されています。
Planは「目標の設定」、Doは「施策の実行」、Checkは「施策の評価」、Actionは「評価をもとにした改善」です。施策を何度も行い施策の分析・改善を繰り返すことによって、施策の効果を高めていきます。
施策にどの程度の効果があるかは、実際に実施するまでわかりません。最短で成果につなげるには、PDCAを回して施策の評価・改善を繰り返すことが大切です。
オンボーディングで使用する主なKPI
オンボーディングを実施する際は、ゴールの達成度合いを判断するためにKPIを設定します。設定したゴールによって適切なKPIは異なるため、主要なKPIについて把握しておきましょう。
オンボーディングで使用する主なKPIは、以下の5つです。
- 解約率
- オンボーディング完了率
- NPS
- アップセル/クロスセル率
- 売上継続率
各KPIについて詳しく解説します。
解約率
解約率は、その名の通りお客様がサービスを解約した割合です。解約率をKPIに設定することで、お客様のサービス定着率を確認できます。
サブスクリプション方式のサービスの場合、お客様の解約率を抑えることが非常に重要です。解約率の増加は既存のお客様の減少を意味するため、サービスの収益に影響します。お客様の増加より減少のほうが多ければ、事業の衰退は避けられないでしょう。
解約率は「解約したユーザー数/解約前のユーザー数✕100」で算出します。解約率が高い場合は、原因の特定・改善が必要不可欠です。サービス・商品の魅力を最大限お客様に伝え、お客様の満足度向上を目指しましょう。
オンボーディング完了率
オンボーディング完了率は、サービス・商品を利用できるようになったお客様の割合を指します。サービス・商品を継続して利用してもらうには、お客様がサービス・商品を使いこなせる状態になっている必要です。サブスクリプション方式のサービスにおいて、重要な指標といえるでしょう。
オンボーディング完了率は「オンボーディングが完了したお客様/オンボーディング期間のすべてのお客様✕100」で算出できます。なお、オンボーディング完了の定義は会社によって異なります。「初期設定が完了している」「利用から一定期間経過した」「サービス利用率が一定以上」などが定義される場合が多いです。
NPS
NPSは、顧客ロイヤリティを測定するためのKPIです。具体的には、お客様がサービス・商品をどれだけ他者に勧めたいかを測定します。NPSは、カスタマーサービスの質を高めるうえで重要な指標です。
NPSは、アンケート調査で行います。アンケートの内容は「商品・サービスを他者に勧める可能性はどのぐらいですか」というものです。このアンケートに0~10点で答えてもらい、回答結果を集計してNPSを算出します。
算出する際の計算式は「推薦者の割合-批判者の割合」です。9~10点が推薦者、0~6点が批判者に該当します。NPSだけでは、批判者がなぜサービス・商品を勧めたくないのかの原因が特定できないため、解約率や売上継続率など、NPSと高い相関があるKPIを組み合わせるとよいでしょう。
アップセル/クロスセル率
アップセル/クロスセル率は、サービスに複数のプランがある場合に効果的なKPIです。アップセルは、お客様が現在のサービスよりも単価が高いサービスを購入すること、クロスセルは現在のサービスとは別のサービスを購入することを指します。アップセル率は「アップセルしたお客様÷お客様の総数✕100」、クロスセルは「クロスセルしたお客様/お客様の総数✕100」で算出可能です。
アップセル/クロスセル率の上昇はお客様一人あたりの単価の上昇を意味するため、会社の収益に直結する重要なKPIといえます。アップセル/クロスセル率を高めるためには、お客様へのアップセルおよびクロスセルの提案が必要です。しかし、満足度が低いお客様に提案しても契約にはなかなか結びつかないため、お客様の満足度の向上が前提となるでしょう。
売上継続率
売上継続率は、お客様の売上高の推移を確認するためのKPIであり、お客様がサービスに支払っている金額にどの程度の変化があったかを表します。お客様からの収益を維持できているかどうかを確認したい際、役に立つ指標です。
売上継続率は「(既存のお客様からの収益+アップグレードによる収益-ダウングレードや解約による損失)/既存のお客様からの収益✕100」で算出されます。
質の良いサービスを提供できていれば、お客様はサービスを継続して利用し続けるため、売上継続率は100%超えを記録するでしょう。仮に新規のお客様を獲得できなかったとしても、売上継続率が高ければ既存のお客様はサービスに満足していることの証明になります。逆に100%を下回っている場合は、原因の分析および改善が必要です。
オンボーディングを進める際のポイント
オンボーディングを進める際のポイントは、以下の5つです。
- オンボーディングの目標を予め明確にする
- ヒアリングなどでお客様への理解を高める
- お客様ごとに対応を最適化する
- お客様とのコミュニケーションを定期的に行う
- タッチモデルを組み合わせて対応する
それぞれ詳しく解説します。
オンボーディングの目標を予め明確にする
オンボーディングを進める際は、オンボーディングの目標を明確にしておきましょう。どのような目標を達成すればオンボーディング成功とみなすのかを明確にしなければ、目標の達成状況があいまいになります。
あいまいな状態では、お客様をどのようにサポートしていくかがわかりづらく、お客様との関係構築が困難です。サービス・商品によってオンボーディング成功の定義は異なるため、サービス・商品に適した目標を設定しておきましょう。目標に合わせたKPIの設定も忘れないようにしてください。
ヒアリングなどでお客様への理解を高める
オンボーディングでは、お客様への理解を深め、お客様の現状を正しく理解することが大切です。お客様ごとにサービス・商品の利用を決めた目的や背景は異なります。目的や背景を考慮せずに標準的なサポートを行っても、お客様の定着は難しいでしょう。
お客様への理解を深めるには、お客様とのミーティングや営業へのヒアリング、データ分析などが有効です。お客様ごとの事情を把握し、お客様にとって最適なサポートを提供できるような基盤を整えておきましょう。
お客様ごとに対応を最適化する
オンボーディングの効果を高めるには、LTVに応じてお客様を分類し、各セグメントごとに最適なサポートを提供する必要があります。セグメントごとに、先述したハイタッチ・ロータッチ・テックタッチの3つの手法を使い分けましょう。
ただし、LTVが低い層だからといってサポートをないがしろにしてはいけません。たしかにお客様一人あたりの価値は少ないかもしれませんが、お客様の総数が多いため、会社に与える影響力は十分です。LTVが低い層へのサポートが不足することで、大きな損失が発生する可能性は十分に考えられるでしょう。
また、サポートを続けていくうちにLTVが低いお客様が上の層へ移る場合もあります。お客様と長期的な関係を築けるようなサポートを徹底するとよいでしょう。
お客様とのコミュニケーションを定期的に行う
オンボーディング期間中に、お客様が重視する指標が変わる場合があります。そのような場合、指標の変化を察知し、指標の認識を揃えなくてはなりません。指標の変化を察知するには、お客様との密なコミュニケーションが求められるでしょう。
お客様とのコミュニケーションを定期的に行うには、お客様からの信頼が厚い、良き相談役となる必要があります。オンボーディングに適した体制を構築し、お客様に主眼を置いたサポートを心掛けましょう。
なお、ロータッチ・テックタッチは、お客様と直接コミュニケーションをとるメリットが少ないです。ハイタッチのお客様を中心に、コミュニケーションをとるとよいでしょう。
タッチモデルを組み合わせて対応する
タッチモデルを単一的に活用するのではなく、複数を柔軟に組み合わせて対応するのもおすすめです。オンボーディング期間はお客様の悩みや疑問が発生しやすいため、サービス内容によってはテックタッチでは不十分な場合があります。そのような場合に柔軟に対応することが、オンボーディングを成功させる秘訣です。
ただし、タッチモデルを拡充してすべてのお客様に充実したサポートを提供するのは、簡単なことではありません。柔軟な対応を実現させるには、お客様を分析し、優先順位を明確化することが重要となるでしょう。
オンボーディングはカスタマーサクセスにて重要な施策
顧客との信頼関係構築やLTVの最大化に関わるオンボーディングは、カスタマーサクセスに取り組むうえで重要な施策です。適切な目標とKPIを設定し、分析・改善を重ねていけば、カスターサクセスを成功に導くための大きな助けとなるでしょう。
施策結果の分析・改善はツールの導入によって効率化できます。お客様の情報を一元管理すれば、カスタマーサービスの効果をさらに高められるでしょう。
「メールディーラー」は、チームでのメール業務を効率化するメール共有管理システムです。メールの対応状況だけでなく、お客様の情報もデータベースとして管理できます。メールアドレスごとの過去の対応履歴を確認できるため、担当者が不在だった場合でも注意事項や特別な対応などの確認が可能です。
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