クレーム対応に悩んでいる方に向けて、クレーム対応が上手い人の5つの特徴を解説します。クレーム対応は、自社イメージの向上や信頼獲得、商品やサービスの改善のために重要な取り組みです。クレーム対応のコツやクレーム管理のポイントも解説しているため、ぜひ参考にしてください。
クレーム対応が上手い人の5つの特徴
クレーム対応に悩まされている会社は多いでしょう。クレーム対応は難易度が高いですが、お客様満足度や自社の信頼度アップにつながる重要な取り組みです。
組織全体でクレーム対応の品質を向上させるためには、クレーム対応が上手い人の特徴を理解することから始めましょう。
クレーム対応が上手い人の特徴は以下のとおりです。
- 冷静に対応できる
- お客様のペースに合わせて話せる
- お客様の気持ちに寄り添える
- 論理的に考えられる
- 感謝の気持ちを伝えられる
それぞれ解説します。
1.冷静に対応できる
1つ目は、冷静に対応できることです。
クレーム対応が上手い人は、お客様から強い言葉を投げかけられた際も感情的にならず、冷静に対応できます。
オペレーターが冷静さを欠いてしまうと、不適切な受け応えをしたり間違った内容を案内したりと、トラブルにつながりかねません。
冷静さを保てるオペレーターなら、お客様の話を聞いて解決策を迅速に提示できます。
2.お客様のペースに合わせて話せる
2つ目は、お客様のペースに合わせて話せることです。
すぐに対応しようと話を途中で遮って話し出してしまうと、お客様がさらに不満を抱いてしまう可能性があります。
クレーム対応が上手い人は、相槌を打ちながらお客様の話を最後までしっかり聞きます。そして、お客様が話し終えた後に適切な解決策を提示するのが特徴です。
お客様のペースに合わせて話すことで、お客様の不満や怒りがやわらぎ、こちらの話を冷静に聞いてもらえる可能性が高まります。
3.お客様の気持ちに寄り添える
3つ目は、お客様の気持ちに寄り添えることです。
たとえば、「おっしゃるとおりです」のような肯定の相槌を打ったり、「それは大変でしたね、お気持ちよくわかります。申し訳ございませんでした。」と伝えたりするのが効果的です。お客様は、「自分の話をよく聞いて理解してくれている」と感じて安心できます。
お客様の気持ちに寄り添って対応することで、お客様と信頼関係を構築できます。
4.論理的に考えられる
4つ目は、論理的に考えられることです。
お客様の話を聞いて問題点を即座に理解したり、解決策を提示したりするためには、物事を筋道立てて考えられる論理的思考力が求められます。また、伝えたい内容をわかりやすくお客様に伝えるためにも、論理的思考力が必要です。
このように、クレーム対応が上手い人は論理的に考えられるという特徴があります。
5.感謝の気持ちを伝えられる
5つ目は、お客様に感謝の気持ちを伝えられることです。
クレーム対応というと、どうしても嫌な気持ちになってしまうオペレーターも多いでしょう。
しかし、お客様の意見は商品やサービスを改善するための重要な材料です。クレーム対応が上手い人は、そのことを理解したうえで、お客様が貴重な時間を割いて意見をくれたことに感謝を伝えられます。お客様に与える印象もよくなり、信頼関係を構築しやすくなります。
クレームが発生する原因
クレーム対応においては、クレームが発生する原因を理解することも大切です。
クレームは、主に商品やサービス、担当者の対応品質などが、お客様が求めるレベルを下回ることで発生します。つまり、お客様満足度を高めることが、クレーム対応の成功、あるいはクレームの減少につながります。
その一方で、お客様が求めるレベルはさまざまであることから、クレームを完全になくすことはほぼ不可能です。
また、クレームには以下のように複数の種類があります。
- 商品やサービスに対するクレーム
- 従業員に対するクレーム
- お客様の勘違いによるクレーム
- ストレス発散や八つ当たりのためのクレーム
- 悪意によるクレーム(金銭の要求や業務妨害など)
このように、ストレス発散や悪意によるクレームも存在するため、クレーム発生をゼロにするのは難しいと理解しておきましょう。そのため、クレームをいかになくすかを考えるだけではなく、クレームに適切に対応するための仕組みや体制づくりを整えることが大切です。
クレーム対応の重要性
クレーム対応では苦労することも多いですが、自社にとって非常に重要な取り組みです。
対応次第で、お客様にとっての自社イメージが大きく変わります。真摯に対応することで、はじめは不満に思っていたお客様から、最終的には信頼を得られることも少なくありません。
一方、クレームに対してずさんな対応をしてしまった場合は、お客様がより強い不満や不信感を抱えてしまうでしょう。特に、昨今ではSNSによって会社の評判が拡散されてしまいます。不適切なクレーム対応が原因で、自社の評判や信頼を大きく損なってしまう恐れもあります。
周囲から信頼を勝ち取るためにも、クレームには真摯に対応することが大切です。
また、クレームの内容を受け止めて改善に活かすことで、商品やサービス、担当者の対応品質向上にもつながります。クレームを資産と捉えて、クレーム対応に取り組むとよいでしょう。
クレーム対応の5つのステップ
クレーム対応の基本的なステップは以下のとおりです。
- お客様の話を聞く
- 事実を確認する
- 解決策を提案する
- 謝罪して感謝を伝える
- クレームの内容を社内に共有する
それぞれ解説します。
1.お客様の話を聞く
まずは、お客様の話をよく聞き、心情を理解しましょう。
クレームに対応するためには、お客様が何に不満や怒りを感じているのかを理解しなければなりません。また、お客様が「話を聞いてもらえていない」と感じると、より不満が大きくなってしまう恐れがあります。
相槌を打ちながらお客様の話を聞き、終わるまで話し出さないようにしましょう。
ひととおり話が終わったら、まずはお客様に不快な思いをさせてしまったことに対して謝罪を伝えます。
このとき、商品やサービス、対応などについて全面的に謝罪することはやめましょう。お客様の話が事実であるかどうかは確認できていないためです。
2.事実を確認する
次に、お客様の話をまとめて事実を確認します。
お客様からヒアリングした内容をもとに事実関係をまとめ、何が問題になっているのか、何を改善すべきなのかを明らかにしましょう。
事実を正確に把握するためには、お客様に適宜質問をする必要があります。このとき、質問が長くなるとお客様がストレスを感じてしまうため、一問一答形式で簡潔に質問することが大切です。
担当者に確認する必要がある場合は、「担当者に確認し、折り返し連絡させていただきます」のように返答してください。
3.解決策を提案する
事実を確認して自社に非があることがわかったら、お客様に謝罪して解決策を提案しましょう。
ただし、解決策の内容が度を超えないよう注意が必要です。行き過ぎた対応をしてしまうと、その噂が広がってほかのお客様からのクレームにつながってしまう恐れがあります。あくまでも、法律や社会通念上適切な範囲内で対応しましょう。
オペレーターのみで解決策を判断できない場合は、担当者に確認したうえで折り返し連絡する必要があります。オペレーターがその場で解決策を考え、できるか確証がないことを勝手に約束してしまわないようにしましょう。
自社に非がなかった場合は、お客様にその旨を丁寧に説明することが大切です。難しい言葉は使わず、わかりやすく説明するよう心がけてください。
4.謝罪して感謝を伝える
解決策を提示した後は、改めて謝罪し、貴重な意見をもらったことに対して感謝を伝えましょう。
クレームには、商品やサービスの品質向上につながるヒントが詰まっています。時間を割いて意見を伝えてくれたことに対して、感謝の気持ちを伝えることが大切です。丁寧に対応することで、お客様からの信頼を取り戻し、リピーターになってもらえる可能性が期待できます。
5.クレームの内容を社内に共有する
最後に、クレームの内容を社内に共有しましょう。データを蓄積することで、クレームを防ぐために何をすればよいか、業務改善や品質向上につなげられます。クレーム管理のポイントについては後述します。
また、クレームに対応したオペレーターのケアも欠かせません。オペレーターはストレスが溜まりやすい仕事であり、心身に不調をきたしてしまう可能性があります。放置すると離職につながるリスクもあるため、メンタルケアを徹底しましょう。
具体的には、クレームの原因がオペレーターにあるわけではないことを伝える、定期的に1on1面談を実施する、などが効果的です。
クレーム対応のコツ
クレーム対応が上手い人になるためには、以下のポイントを意識しましょう。
- 自分に対する怒りではないことを意識する
- お客様の話を要約して返答する
- お客様の要望を速やかに汲み取る
- クッション言葉を活用する
- 対応にかかる目安時間を伝える
- クレーム対応が上手い人の真似をする
ここでは、クレーム対応のコツを解説します。
自分に対する怒りではないことを意識する
オペレーターがクレームに対応するための心構えとして重要なのは、自分に対する怒りではないことを意識することです。
真面目で責任感が強いオペレーターほど、自分が怒られていると感じ、クレームに対して責任を感じてしまいます。その結果、強いストレスを感じて仕事を辞めてしまうケースも少なくありません。
クレームの対象は商品やサービスなどであり、オペレーターではないことを意識させることが大切です。
お客様の話を要約して返答する
クレーム対応では、お客様の話を要約して返答するのがおすすめです。
お客様の話に対して「つまり〇〇ということですね。大変失礼いたしました」のように要約して返答することで、お客様は自分の言いたいことを理解してもらえたと感じます。また、お客様の話が長く内容が外れてしまった際も、要約することで軌道修正できます。
お客様の話を要約するためには、話をよく聞いて正確に理解することが必要です。
お客様の要望を速やかに汲み取る
クレーム対応では、お客様の要望を速やかに汲み取ることも大切です。お客様の話から、お客様が何を求めているのかを素早く理解し、解決策を提示しましょう。
たとえば、同じ「商品の不具合に対するクレーム」であっても、新品に交換してほしいのか、不具合の原因を調査して再発防止に努めて欲しいのかなど、お客様によって要望はさまざまです。お客様の不満を解消するためには、お客様のニーズに沿った解決策を提示する必要があります。
お客様に適宜質問しながら、何を求めているのかを速やかに把握しましょう。
クッション言葉を活用する
クレーム対応では、クッション言葉を活用することもポイントです。
クッション言葉とは、「恐れ入りますが」「差し支えなければ」のように、前置きとして使う言葉のことです。そのまま伝えると不快感やきつい印象を与えてしまう際に、クッション言葉を活用しましょう。
たとえば、「対応いたしかねます」と伝える際、そのまま伝えるより「誠に申し訳ございませんが、対応いたしかねます」と伝えた方が、柔らかい印象になります。お客様も自然に受け入れやすくなるでしょう。
電話越しでは謝罪の気持ちを表情や姿勢で伝えられないため、使う言葉を工夫することが大切です。
対応にかかる目安時間を伝える
その場で対応できない場合は、対応にかかる目安時間を伝えましょう。
目安時間を伝えずにお客様を待たせてしまうと、「放置されている」と受け取られてしまう恐れがあります。
「内容を担当者に確認いたします。確認に少々時間がかかるため、1時間後に折り返しお電話させていただいてもよろしいでしょうか」というように、対応にかかる目安時間を伝えてください。
クレーム対応が上手い人の真似をする
クレーム対応のノウハウを学ぶためには、社内でクレーム対応が上手い人を見つけ、その人の真似をすることも効果的です。
クレーム対応が上手い人は、話すタイミングや言葉、相槌などに気を配り、適切な解決策を提示できます。実際にクレーム対応している様子を見学したり、電話の録画データを聞き直したりして、真似をしてみるのがおすすめです。
クレーム対応における注意点
クレーム対応では、以下の点に注意しましょう。
- お客様を否定しない
- お客様の話を遮らない
- お客様を待たせない
それぞれ解説します。
お客様を否定しない
クレーム対応の前提として、お客様を否定しないように注意が必要です。お客様を否定してしまうと、さらに事態が悪化してしまう恐れがあります。
クレーム対応において、以下のような相手を否定する言葉はNGワードです。
- しかし
- でも
- だって
- だから
- ですから
- そうおっしゃられまして
- お言葉ですが
- 前例がないのですが
- 〜に書いてあるのですが
- 〜でお伝えしているはずなのですが
また、以下の言葉もお客様にとってマイナスな印象を与えてしまうため、使わないようにしましょう。
- (自社の不手際について)よくあることですが:開き直っているように聞こえる
- (事実確認をする際に)そうなのですか?:お客様を疑っているように聞こえる
- 了解いたしました:目下に使う言葉であるため不適切
- ちょっとお待ちください:「少々お待ちください」が適切
- 多分〜だと思います:曖昧な言葉は不安を与えてしまうため使わない
丁寧に対応しているつもりでも、いつもの習慣でついNGワードを発してしまうことがあります。1つの言葉でクレーム対応が失敗してしまうことも十分にあるため、細心の注意を払いましょう。
お客様の話を遮らない
なるべく早く対応しようとするあまり、お客様の話を遮って話し始めるのもやめましょう。
お客様の話の中に事実とは反することがあったとしても、まずは最後まで話してもらうことが大切です。ひととおり不満を吐き出すことで、お客様の怒りが少し落ち着き、話を冷静に聞いてもらいやすくなるでしょう。
お客様が話し終えた後、一呼吸置いてから話し出すことを意識してください。
また、話を聞いている間は適度に相槌を打つことが大切です。ただし、話を遮ってしまうほど相槌を連発してしまうのは逆効果であるため、注意しましょう。
お客様を待たせない
クレームに対しては速やかに対応し、お客様を待たせないことが重要です。
どうしても社内で確認した後に対応する必要がある場合は、お客様をたらい回しにしないようにしましょう。オペレーターから担当者につなげるか、担当者からお客様に連絡させる必要があります。
回答までに時間がかかる場合は、何時までに連絡するかを伝えましょう。時間がかかる場合は、途中で進捗を報告する連絡を入れると親切です。
クレーム防止に効果的なクレーム管理とは
クレームに上手に対応することと同様に重要なのが、クレームの発生自体を防止することです。
クレームを防止するためには、クレーム管理を行いましょう。
クレーム管理とは、お客様から寄せられたクレームの内容や対応履歴をデータベースに蓄積し、いつでも参照できるよう管理することです。
クレームを管理することで、同じクレームが発生した際に過去の対応履歴をもとに適切に対応できるようになります。また、何がクレームにつながったのか、どのように改善すればクレームを防止できるのかを分析し、業務改善に活かすことも可能です。
クレーム管理では、クレームの内容や発生した日時、対応したオペレーターの名前、対応内容、お客様の反応など詳細を記入しましょう。
クレーム管理のポイント
最後に、クレーム管理を行ううえで重視したい3つのポイントを解説します。
- 情報を共有する環境を整える
- お客様情報は厳密に管理する
- クレーム対応のマニュアルを作成する
クレーム管理では重要な情報を扱うことになるため、情報を共有する環境の整備や管理体制の強化が大切です。また、蓄積している情報を実際に活かす必要があります。
それぞれのポイントについて見ていきましょう。
情報を共有する環境を整える
クレーム管理では、情報を社内に共有する環境を整える必要があります。
ただ情報をまとめるだけでは意味がありません。集まった情報をデータベース化し、すべての部門がアクセスできるようにすることが大切です。
たとえば、商品開発や企画にあたる部門がクレームを参照することで、新商品の開発や既存サービスのアップデートに活かせるでしょう。また、営業やカスタマーサクセス部門が参照することで、お客様との関わり方を改善できます。
そのほか、定例ミーティングでクレーム内容を共有するという方法も効果的です。
クレームという貴重なお客様の意見をうまく活用できるよう、情報共有体制を整えましょう。
お客様情報は厳密に管理する
クレーム管理では、お客様情報を厳密に管理することが欠かせません。
クレーム情報には、お客様の名前や電話番号など個人情報が含まれています。不適切なクレーム管理でお客様の情報が漏えいしてしまった場合、大きなトラブルにつながるでしょう。自社の社会的信用の失墜も免れません。
クレーム情報を管理する際は、セキュリティに細心の注意を払う必要があります。
情報の閲覧権限や編集権限を細かく設定できるシステムを使ってクレーム管理を行うことが大切です。
クレーム対応のマニュアルを作成する
クレーム対応の品質を向上するためには、管理している情報をもとにクレーム対応のマニュアルを作成しましょう。
マニュアルを作成することには、以下のようなメリットがあります。
- クレーム対応の品質を統一化できる
- スムーズな対応が可能になる
- オペレーターの精神的な負担を軽減できる
- オペレーターの教育に活かせる
マニュアルには、クレームの対応手順やトークスクリプト、対応後の情報の記録方法などを記載しましょう。わかりやすいマニュアルになるよう、画像や動画を挿入するのもおすすめです。
作成したマニュアルは、オペレーターだけではなく従業員全員に共有するとよいでしょう。クレームは、オペレーターのみに寄せられるわけではないためです。また、関係部署からフィードバックを得ることで、マニュアルをブラッシュアップできます。
マニュアルの内容は定期的に見直し、オペレーターからのフィードバックや実際のクレーム事例を参考に、適宜改訂しましょう。
クレーム対応マニュアル作成のポイントをおさえたい方は、以下の資料もぜひご覧ください。
クレーム対応が上手い人の特徴を理解して業務に活かそう
クレーム対応が上手い人には、冷静に対応できる、お客様に寄り添える、論理的に考えられるなどさまざまな特徴があります。組織全体でクレーム対応の品質を向上させるためには、クレーム対応が上手い人の特徴を真似することから始めましょう。
クレーム対応を改善することと同時に、クレーム管理にも注力することが大切です。クレームの内容や対応履歴などをデータベースにまとめ、いつでも参照できる体制を整えましょう。
メールで寄せられるクレームに迅速に対応するためには、メール共有管理システムの活用が効果的です。メール共有管理システムは、問い合わせを一元管理できるシステムです。問い合わせの対応状況を可視化できるため、スムーズなメール対応を実現できます。
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