カスタマーサポートの業務の効率化や、お客様満足度の向上を目指すなら、マニュアルの活用が効果的です。教育にかかる時間の短縮や、ノウハウの蓄積にもつながります。本記事では、カスタマーサポートにおけるマニュアル作成のメリット、作成手順などを解説します。
カスタマーサポート業務における課題
カスタマーサポート業務で生じやすい課題としては、主に以下の3点が挙げられます。
- 問い合わせへの回答に時間を要する
- 応対品質にバラつきが生じる
- 問い合わせ件数が多く担当者の負担が大きい
それぞれの内容を確認しましょう。
問い合わせへの回答に時間を要する
問い合わせへの回答に時間がかかってしまうと、お客様満足度の低下につながります。カスタマーサポートに問い合わせをしてくるお客様の多くは、すぐに解決したいトラブルを抱えているためです。
問い合わせに対応するまでに時間を要する原因としては、問い合わせの難度が高く、他部署への確認が必要なことや、回答を調べるのに時間を要してしまうことなどが挙げられます。また、過去の対応履歴をすぐに探し出せなかったり、担当者間の情報共有がなされていなかったりする場合も、スピーディーに回答することは困難でしょう。
そのほか、問い合わせチャネルが複数あることで、担当者の業務負荷が大きくなっていることも、1件の問い合わせに時間がかかってしまう原因の1つです。
問い合わせチャネルの一元管理や過去のやり取り履歴を
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応対品質にバラつきが生じる
応対品質にバラツキが生じやすいことも、多くのカスタマーサポートが抱える課題です。
お客様からすると担当者は全員、その会社を代表する存在であるため、問い合わせに対してどの担当者が対応しても同じ回答ができなければいけません。担当者によって回答が異なると、お客様がその会社に対して不信感を抱く要因になりかねないためです。
また、本来、担当者の応対品質は統一されていなければなりませんが、応対の印象やレベルにバラつきが生じてしまうのが実態です。担当者ごとに経験年数や知識量、コミュニケーションスキルなどが異なることがその要因といえるでしょう。
担当者によって応対品質が異なると、お客様が特定の担当者を指名するなどして、業務の偏りが起きるリスクも生まれます。
問い合わせ件数が多く担当者の負担が大きい
カスタマーサポートで生じやすい課題として、問い合わせ件数が多く担当者の負担が大きいことも挙げられるでしょう。
製品やサービスの数が多く、内容が複雑化すると、問い合わせ件数も増える傾向にあります。問い合わせ件数が多く担当者にかかる業務負荷が大きくなると、1件の問い合わせに割ける時間は限られてしまいます。その結果、過去の履歴などを確認する時間を十分に確保できず、回答の精度が低下する可能性が高まるでしょう。
また、担当者が疲弊することによって、さらにミスやクレームが発生しやすくなります。
メールでの問い合わせ件数が多く、担当者の負担が大きい状況であれば、クラウド型のメール共有システム「メールディーラー」の活用がおすすめです。過去の応対履歴を時系列で一覧表示できるため、すぐに同じお客様とのこれまでのやり取りや、同様の問い合わせへのほかの担当者の対応を確認できます。
カスタマーサポートでマニュアルを作るメリット
カスタマーサポートでマニュアルを作る主なメリットは、以下の4点です。
- お客様満足度の向上につながる
- 教育・育成にかかる時間を短縮できる
- リスクマネジメントにつながる
- ノウハウが蓄積される
各メリットを解説します。
お客様満足度の向上につながる
カスタマーサポートにおけるマニュアル作成は、お客様満足度の向上に寄与すると考えられます。対応フローや業務プロセスを明文化したマニュアルは、応対レベルのバラつきを改善するのに役立つでしょう。
さらに、お客様への回答をする際に必要な知識を特定の担当者のみが持っている場合、毎回その担当者に確認を行わなければならず、お客様を待たせてしまう原因になってしまいます。
個人が持つ知識をマニュアルに記載すれば、業務の属人化が解消され、知識を持つ特定の担当者の休みや退職によってお客様対応が滞るという事態を回避できます。
教育・育成にかかる時間を短縮できる
担当者の教育・育成にかかる時間を短縮できることも、カスタマーサポートでマニュアルを作成するメリットです。
マニュアルに業務に必要な項目や知識を記載するため、新人や別部署から異動してきた者であっても、マニュアルを一通り読めば業務の流れを確認でき、必要な知識を得ることが可能です。その結果、教育にかかる時間やコストの削減が期待できるでしょう。
「メールディーラー」は送信前にダブルチェックを義務化する「申請・承認機能」を搭載。またナレッジ共有のために「社内Q&A機能」を使って、ビジネスメールの教育を効率化することができます。
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リスクマネジメントにつながる
マニュアルを作成し、過去に発生したイレギュラー対応についても記載しておけば、リスクマネジメント対策にもなります。カスタマーサポートにおけるリスクマネジメントとは、想定外のトラブルやお客様からのクレームに備えることです。
過去に発生したイレギュラーな案件の内容とその対応方法がわかれば、事前に備えることが可能になり、担当者の安心感にもつながります。
ノウハウが蓄積される
効果的な対応方法や問い合わせ対応に必要な知識や過去の対応事例など、ノウハウを蓄積できるという点も、カスタマーサポートでマニュアルを作成するメリットの1つです。マニュアルを作ることで、特定の人が保有する知識や経験を部署内で一元管理し、活用できます。
ノウハウや情報の保管先が分散していると、必要な情報を探すのに時間と手間がかかってしまうでしょう。しかし、マニュアル化して担当者がいつでも見られる状態にしておくことで、応対品質と業務効率の向上につながります。
マニュアル化によるノウハウの一元化は、担当者の異動や退職などによる知識の喪失を回避する効果も見込めるでしょう。
問い合わせ管理システム「メールディーラー」では、社内Q&A機能を提供しています。
よくある質問への対応方法や事務処理方法などをQ&Aとしてまとめておくことができるので、新人教育資料や対応マニュアルとして利用できます。
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カスタマーサポートのマニュアル作成手順
カスタマーサポートのマニュアル作成は、以下のような手順で行います。
- 業務の全体像を把握する
- マニュアルの構成を作成する
- マニュアルの内容を記載する
- 作成後に実態に合わせてアップデートする
それぞれの項目を解説します。
業務の全体像を把握する
はじめに、カスタマーサポートで行っている業務を洗い出し、全体像の把握をしましょう。実際に行っている業務を項目ごとにカテゴリー分類し、マニュアルでカバーする領域を決定します。
業務の全体像の把握は、マニュアルを効果的に機能させるために欠かせないステップです。このとき、担当者からのヒアリングをしておくことも大切です。
マニュアルの構成を作成する
業務を項目別に分類し整理を行ったら、マニュアルの構成を作成します。マニュアルのタイトルや見出し、目次を整えましょう。
カスタマーサポートで行っている業務を大分類・中分類・小分類と分け、階層化すると見やすくなるでしょう。また、目次を見て、どこに何が書かれているかがひと目でわかるようにするのも、重要なポイントです。
マニュアルの内容を記載する
構成を作成した後に、内容の記載を行います。具体的な業務の手順やイレギュラー時の対応など、詳細に記載していきましょう。
難しい専門用語は避け、わかりやすい言葉を用いて具体的に記載することが、使いやすいマニュアルにするためのコツです。
文章だけでなく、適宜フローチャートや図を盛り込むことで、複雑なプロセスも見やすく理解しやすくなるでしょう。
作成後に実態に合わせてアップデートする
マニュアルを作成したら、実際の業務環境でのテスト運用を行います。マニュアルが実態に合っているか、現場の担当者が理解しやすく適切な構成になっているかを確認します。
テスト運用する過程で、抜け漏れを発見する可能性もあるでしょう。マニュアルを使用した担当者からのフィードバックを集め、内容の改善を行いましょう。最初から本格的に導入するのではなく、まずはテスト運用を行い、改善を行っておくことが成功の秘訣です。
新しい製品やサービスが登場する際も、マニュアルのアップデートが必要になるタイミングです。新製品・サービスに関連して、想定される問い合わせ内容と回答を事前に用意しておくことで、問い合わせ数が増えてもスムーズに対応できるでしょう。
本格的な活用を始めた後も、現場の実態に合わせて定期的に改善とアップデートを繰り返していきましょう。
作成したマニュアルのチェックポイント
作成したカスタマーサポートのマニュアルは、以下の視点でチェックし、必要に応じて修正や追記を行うことをおすすめします。
- 読み手に伝わりやすいか
- イレギュラー対応まで網羅しているか
- よくある問い合わせ内容は載っているか
- 製品やサービスの情報の詳細がまとめられているか
- フローチャートを活用しているか
- 検索性は高いか
- 過去の対応事例が載っているか
それぞれのチェックポイントについて、見ていきましょう。
読み手に伝わりやすいか
カスタマーサポートのマニュアルが、読み手に伝わりやすいかどうかをチェックします。
たとえば新人向けのマニュアルでは、業務知識をほとんど持たない新人の担当者も理解できるようにしなければなりません。専門用語を使うことは極力避け、一般的な言葉で記載する必要があるでしょう。専門用語以外で表現することが難しい場合は、必ず注釈をつけるようにしましょう。このように、主なターゲットは誰かを考え、読み手の知識レベルに合わせた書き方を心がけることが大切です。
また、内容を充実させようとするほど、文字数が多い見にくいマニュアルになってしまうことがあります。必要に応じてイラストや画像で説明することで、伝わりやすいマニュアルになります。マニュアルの形態によっては、動画を入れるとより理解しやすくなるでしょう。
わかりやすく読みやすいマニュアルにするには、レイアウトの工夫も欠かせません。適切な行間にしたり、箇条書きを活用したりするなど、ストレスを感じずに読めるようにしましょう。
イレギュラー対応まで網羅しているか
カスタマーサポートに寄せられる標準的な対応だけでなく、イレギュラー対応まで網羅しているかどうかも、マニュアルのチェックポイントに挙げられます。
具体的には、過去のクレーム対応の事例などを共有することで、同様の状況に備えます。これにより有効な対処法を学べるほか、問い合わせ対応におけるミスに対する注意喚起にも役立つでしょう。
イレギュラー対応は、担当者それぞれの経験値やスキルに結果が左右されることが多いため、ベストプラクティスの共有によって応対品質の底上げを図りましょう。
よくある問い合わせ内容は載っているか
カスタマーサポートのマニュアルには、よくある問い合わせ内容に対する回答を、漏れなく載せる必要があります。
たとえば、ソフトウェアを展開する会社のカスタマーサポートにおいては、インストール方法やエラーメッセージへの対処法などの問い合わせが頻繁に寄せられる傾向にあります。このような高い頻度で寄せられる問い合わせ内容については、明確なガイドラインや手順を記載しておくと、業務効率の向上につながるでしょう。
また、購入時点での製品・サービスの不具合や請求料金の間違いなどは、よくある問い合わせかつ、対応次第では2次クレームに発展しやすい内容です。慎重に対応することが求められるため、マニュアルに具体的な対応法を記載しておくとよいでしょう。
製品やサービスの情報の詳細がまとめられているか
自社の製品やサービスの情報の詳細がしっかりとまとめられているか否かは、カスタマーサポートのマニュアルの実用性に大きく影響します。
新製品やサービスがリリースされたり、既存製品などの仕様変更が行われたりしたときは、すぐにマニュアルの更新をしなければなりません。古い情報が記載されたマニュアルをもとに問い合わせ対応を行った場合、お客様に誤った案内をしてしまい、クレームの要因となるでしょう。
カスタマーサポートのマニュアルは、製品やサービスの情報に抜け漏れがないかどうか、定期的に見直し、適宜更新することが重要です。
フローチャートを活用しているか
マニュアルにフローチャートを載せることで、文章のみで説明するよりもわかりやすくなります。フローチャートとは、プロセスや手順の説明を図の中に記入し、それを矢印でつないだ図のことです。
フローチャートのメリットは、複雑なプロセスを簡潔に視覚化できるため、誰もが容易に理解しやすくなる点にあります。とくに、業務のプロセスの説明などは、文章だけで伝えるのでなく、フローチャートを活用しましょう。
見やすいフローチャートを作成するには、文章を短くし助詞を使用しない、時系列順に並べることなどを意識する点がポイントです。
検索性は高いか
データ化されたマニュアルであれば、検索性の高さも重要です。担当者が必要とする情報を瞬時に見つけられるように、関連のキーワードやフレーズで情報を整理する必要があるでしょう。
マニュアル検索をしたときに入力したキーワードがヒットしないと、ストレスを感じてしまいます。そして、キーワードを変更して検索しなおしたり、別のマニュアルを調べたりする必要が生じ、業務が滞ってしまうでしょう。
カスタマーサポートのマニュアルの検索精度を高めるためには、見出しやタイトルに必要と思われるキーワードを含めることが大切です。知りたい内容がどこにあるのかをすぐに検索できれば、業務効率の飛躍的な向上が期待できます。
過去の対応事例が載っているか
カスタマーサポートで使用するマニュアルの質は、過去の対応事例がどの程度載っているかでも判断できるでしょう。過去の具体的な対応事例は、似たような問い合わせに対応するために役立ちます。
対応に困った際、ほかの担当者などに聞こうとしても、手が空いている担当者がいないこともあるでしょう。また、対応法を知っている担当者がいたとしても、これまでの経緯を説明したうえで質問をしなければならず、ある程度の時間がかかってしまいます。
マニュアルに過去の対応事例が載っていれば、素早く対応できるため、お客様をお待たせする時間を短縮することが可能です。
カスタマーサポート業務にマニュアルを活用しよう
カスタマーサポート業務で生じやすいのは、「問い合わせ件数が多く担当者の負担が大きい」「応対品質にバラつきが生じる」「問い合わせ対応に時間がかかる」といった課題です。マニュアルの作成は、これらの課題を改善する対策の1つとして有効といえるでしょう。
メールでの問い合わせについては、クラウド型メール共有システム「メールディーラー」の活用がおすすめです。カテゴリー別にQ&A登録することが可能であるため、業務マニュアルとして活用できます。Q&Aにファイル添付を行う機能もついており、ナレッジ共有のためのツールとしても利用できます。
そのほか、過去の応対履歴を時系列で一覧表示できる仕組みにより、お客様とのこれまでのやり取りもすぐに確認できる点もメリットです。ご興味のある方は以下のバナーより詳細をご確認ください。
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