受発注業務は作業工程が多岐にわたり、業務が煩雑化しやすい傾向にあります。そのため、業務フローの見直しやシステムの導入による、効率化が求められます。受発注業務によくある課題や効率化するメリット、効率化する方法などをまとめました。
受発注業務とは
受発注業務とは、受注業務と発注業務のことを指します。
そのうちの受注業務とは、お客様や取引先から商品・サービスの注文を受け付け、処理をするプロセスのことです。注文を受けた後、在庫確認や納品日の調整、伝票や請求書の作成などを行います。
発注業務とは、必要な商品やサービスを仕入れ先に発注し、調達する業務のことです。適切な量を発注することで、在庫の過不足を防ぎ、お客様への商品・サービスの提供を可能にします。仕入れ先に見積依頼をした後、注文書の作成や納品後の検品、入金などを行います。
受注業務と発注業務のいずれも、作業工程は多岐にわたることが特徴です。
受発注業務によくある課題
受発注業務によくある課題としては、以下の8点が挙げられます。
- 作業工程が多い
- 受注方法が多い
- ヒューマンエラーが発生する
- 部署間の連携がスムーズに取れない
- 部署内での連携が取れていない
- 業務が属人化している
- 営業担当者の負担になっている
- テレワークがしにくい
それぞれの内容を確認しましょう。
作業工程が多い
受発注業務は、作業工程が多いことが特徴です。
たとえば発注をする際は、自社の在庫状況を把握したうえで、適切なタイミングで発注処理を行う必要があります。発注できるロット数など、仕入れ先のルールの確認もしなければなりません。見積もり依頼や受領書の送付のほか、検品、支払い処理なども必須です。取り扱っている商品が多い場合、業務はかなり煩雑化するでしょう。
受注業務では、まず、取引先やお客様から寄せられる、見積もり依頼や問い合わせに対応します。FAXや電話、メールなど複数のチャネルで受注するケースでは、受注情報を基幹システムに一元化しなければならないことがほとんどです。システムに手入力をしなければならないなど、非常に手間がかかるでしょう。
受注情報の入力を行い受注伝票を作成したら、商品・サービスの出荷手続きやお客様への出荷連絡を行い、さらに請求書の作成やお客様の支払い内容の確認、領収書の作成および送付を行います。このように、受注業務と発注業務は、それぞれやらなければならないことが数多く存在します。
受注方法が多い
受注方法が多いと、業務は煩雑化します。電話やFAX、メールなど、発注する側が使い慣れている方法で受注しているケースが多く見受けられます。付き合いが長い取引先から、「いつもの感じでよろしく」という簡単な電話のやり取りのみで注文を受けているケースもあるでしょう。
そのため、バラバラな方法で受けた注文の情報を、自社の管理システムに入力して一元管理する必要があります。メールについては、記入用のフォーマットをあらかじめ作成しメールに添付することが可能です。しかし、電話やFAXで受け付けた注文内容については、あらためて手入力しなければならず、業務負荷が大きくなります。
ヒューマンエラーが発生する
受発注業務によくある課題として、ヒューマンエラーの発生も挙げられるでしょう。とくに電話での受発注では、聞き間違いによるミスが発生しやすいことに注意が必要です。通話内容を録音していないと、「言った・言わない」という事態に陥りかねません。
また、電話やFAXなどのアナログな方法で受注している場合、基幹システムへの手入力が求められるため、打ち間違いなどのミスが起こりやすくなります。そのほか、メールで受注をしているケースでは、メールを見落とすことによる対応遅れなどのミスも起こる可能性があります。
部署間の連携がスムーズに取れない
受発注業務を円滑に行うためには、部門間の連携がスムーズに取れていることが欠かせません。
たとえば受注業務では、注文を受けたらまず、在庫の確認を行います。そのため、在庫管理の担当者と連携している必要があります。お客様からスピード納品を求められている場合などはとくに、初動で時間がかかってしまうと、次回からの受注に影響を及ぼしてしまうでしょう。
発注業務においても、在庫管理の担当者や経理部門との連携を取らなければなりません。関連部署との連携が上手く取れていないと、業務効率は著しく低下してしまいます。
部署内での連携が取れていない
部署間だけでなく、部署内での連携が取れていないことによる弊害も見逃せません。担当者が明確になっていない受注案件については、誰がどの案件をどの段階まで対応しているのかについて確認を行わないと、対応の遅れや二重対応につながる可能性が高まります。そのため、部署内でコミュニケーションを図り、お互いの業務の進捗について把握しておくことが大切です。
受注業務にメール共有システムを活用し、未対応のメールの見逃しを防いだ事例については、以下の記事ページをご参照ください。
業務が属人化している
受発注業務によくある課題としては、業務が属人化してしまうことも挙げられます。たとえば、取引の長い得意先から、「この前と同じ内容でお願い」「いつもの商品をよろしく」という注文を受けることは珍しくありません。ただし、このような受注に対応できるのはベテラン社員や特定の担当者に限られてしまい、業務が属人化する要因となり得ます。
受注業務が属人化してしまい、担当者によって業務の進め方が異なってしまうと、特定の担当者が欠勤したときや担当者が変わったときに、対応できなくなってしまうでしょう。また、一部の担当者に大きな業務負荷がかかってしまう原因となります。
営業担当者の負担になっている
受発注業務が、営業担当者の負担になっているケースも見受けられます。
受発注業務に特化して対応する部門が設置されておらず、営業担当者に任されているような場合、通常の営業活動に受発注業務が加わるため、対応しきれずにミスや遅れが生じやすくなるでしょう。さらに、注力すべき営業業務がおろそかになってしまう可能性も高まります。
テレワークがしにくい
アナログ環境で受発注業務を行っている場合、在宅勤務やテレワークに完全に対応することが難しいことも、よくある課題の1つです。電話の場合は転送で対応することが可能ですが、FAXを使用している場合、ほかの業務は在宅で行えるようになったとしても、受発注業務のためにオフィスに出社しなければなりません。
受発注業務を効率化する方法
受発注業務の課題の多くは、業務の効率化によって解決すると考えられます。受発注業務を効率化する方法は、主に以下の3点です。
- 業務フロー・業務内容の見直し
- 受発注システムの導入
- アウトソーシングの活用
それぞれの方法を解説します。
業務フロー・業務内容の見直し
受発注業務の効率化には、業務フローの可視化および各工程での業務内容の見直しが不可欠です。
各工程の作業を洗い出し、作業に無駄が発生していないか、属人化していないか、業務が停滞していないかなどを確認しましょう。また、部署内や他部署との連携状況や、誤字・ミスのチェック回数が適正かどうかなども検証する必要があります。
検証した結果に応じて、業務の改善を行いましょう。不要な業務は減らし、関連する他部署との連携強化が必要な場合は、人員の配置を変えることも選択肢の1つです。
業務マニュアルの更新も並行して行い、業務に関わるすべての従業員に周知します。
受発注システムの導入
受発注業務の効率化を目指すなら、システムを導入することも効果的です。受発注業務は作業工程が多いことや、ヒューマンエラーが発生しやすいことなどが課題です。
これまでアナログな手法で対応してきた業務をシステム導入によってデジタル化することで、それぞれの作業を自動化でき業務負荷が軽減されるでしょう。Web発注が可能になるため、転記する際のミスが防げるなどヒューマンエラーも削減できます。使用している基幹システムと連携できるシステムであればデータをシームレスにつなげられ、ミスの防止や業務スピードの向上も期待できます。
受発注情報がデータ化され一元管理できるようになるため、部署内や他部署との情報共有も容易になり、連携しやすくなるでしょう。
受発注システムは、製品によって搭載されている機能や強みが異なります。自社に合うシステムを探している方は、以下の記事をご参照ください。
アウトソーシングの活用
受発注業務の負荷が大きくコア業務に影響を与えているにもかかわらず、人手不足で業務フローの見直しまで手が回らないといったケースでは、アウトソーシングすることも一案です。受発注業務を従業員から切り離すことで、注力すべき業務にリソースを集中できるようになります。
ただし、アウトソーシングには、ノウハウの蓄積や進捗状況の把握が困難であるといったデメリットが存在することに注意しましょう。
受発注業務を効率化するメリット
業務フローの見直しやシステムの導入により、受発注業務を効率化するメリットは、主に以下の6点です。
- リードタイムの短縮
- 対応ミスの削減
- 業務の属人化の解消
- コストの削減
- 適正在庫の維持
- 担当者の負担の軽減
各メリットを解説します。
リードタイムの短縮
受発注業務の効率化によって、リードタイムの短縮が実現します。リードタイムとは、工程の始めから終わりまでの所要時間のことです。受発注業務においては、発注側が発注してから商品が納品されるまでの時間をあらわします。
受発注システムを導入すれば、注文受付やFAX・紙伝票からの転記作業などが自動化され、業務にかかる時間が短縮されます。
対応ミスの削減
受発注業務フローの見直しやシステムの活用によって、対応ミスも削減できるでしょう。たとえば、設定した発注条件外の数値を入力するとエラーが出たり、発注が遅れているとアラートで知らせてくれたりする機能を搭載したシステムもあります。
また、メール共有システムを導入すれば、チーム全員のメールの対応状況が可視化されるため、返信の遅れや二重返信を防止できます。
メール共有システム「メールディーラー」の導入によって得られるメリットに関する詳細は、以下のページをご参照ください。
業務の属人化の解消
受発注業務の効率化によって、業務の属人化が解消されるでしょう。業務を平準化できれば、特定の社員のみが対応できる業務はなくなります。それにより、社員が退職したり欠勤したりした場合でも、滞りなく業務を継続できます。
コストの削減
無駄な作業の削減や煩雑な作業の自動化によって、それまで受発注業務を担当していた人員を別の業務に再配置したり、残業代を削減できたりするでしょう。さらに、発注・受信の際に使うFAX用紙や、発注内容が曖昧なときに確認目的でかけていた電話代もカットできます。
適正在庫の維持
受発注システムを導入すれば、常にリアルタイムの在庫量の把握が可能です。誤発注によって過剰な在庫を抱えざるを得なくなったり、発注量が少なく販売する機会を喪失したりする状況を回避できます。
担当者の負担の軽減
受発注業務を効率化し業務負担を減らせば、コア業務に集中できるようになり、担当者の負担が軽減します。営業活動の傍ら受発注業務も行っていたようなケースでは、受発注業務を効率化することにより新規のお客様の営業に費やす時間が増え、売上拡大が期待できるでしょう。
受発注業務を効率化できるシステムの選び方
受発注業務を効率化するシステムを選ぶ際は、以下の点をチェックしましょう。
- 自社に必要な機能が備わっているか
- 操作がしやすいか
- 導入・運用コストは適正か
- サポート体制が充実しているか
それぞれの内容を解説します。
自社に必要な機能が備わっているか
受発注システムを選ぶ際は、自社に必要な機能が備わっているかどうかを必ずチェックしましょう。受発注システムは、製品によってさまざまな機能が搭載されています。代表的な機能としては、受注管理・発注管理・請求管理・売上管理・分析管理・メール共有管理などが挙げられるでしょう。
システムを導入する前に、業務の効率化を進めるうえで弊害になっている要素を洗い出し、必要な機能を整理しておくことが基本です。
操作がしやすいか
操作がしやすいかどうかも、受発注システムを選ぶ際の重要なチェックポイントといえます。たとえ充実した機能を備えていたとしても、実際に使用する担当者が使いこなせなければ意味がありません。
受発注業務はそれ自体が煩雑であることが多いため、システムの操作に手間取ってしまうと、余計に作業効率が落ちてしまう可能性があります。デジタル・ITに詳しくない社員であってもスムーズに使いこなせるものや、すでに自社で使用しているシステムに操作性が似ているシステムを検討するとよいでしょう。
導入・運用コストは適正か
受発注システムの導入にあたっては、導入・運用コストが適正かどうかを見極めることも重要です。
機能が多い受発注システムは、その分導入や運用コストが高い傾向にあります。そのため、自社が抱える課題の内容や規模によっては、人手を増やして対応したほうが費用対効果が高い可能性もあるでしょう。
導入効果と費用のバランスを考慮し、システム導入の必要性を判断することをおすすめします。
サポート体制が充実しているか
サポート体制の充実度も、受発注システムの選定基準の1つです。
新しいシステムを導入して運用を始める際、必ずしもスムーズに進められるとは限りません。使用方法がわからなかったり、予期せぬトラブルに見舞われたりなど、サポートを必要とする状況になる可能性が高いといえます。そのため、サポート体制が充実しているシステムを選ぶと安心です。
サポート体制が充実しているシステムであれば、万が一トラブルが発生した場合であっても復旧までの時間が短いことが多く、業務への影響を最低限に抑えられるでしょう。
受発注業務を効率化して対応ミスや遅れをなくそう
受発注業務は作業工程が多く、ヒューマンエラーや対応の遅れが発生しやすいといった課題が散見されます。業務を効率化することで、リードタイムの短縮やコストの削減、適正在庫の維持などが実現します。
受発注業務を効率化する方法としては、業務フロー・業務内容の見直しやシステムの導入が有効といえるでしょう。
メール対応の効率が低くお悩みなら、クラウド型のメール共有システム「メールディーラー」の活用がおすすめです。チーム全員のメールの対応状況を見える化し、返信の遅れや二重返信を防止できます。この機会にぜひ、「メールディーラー」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
※本サイトに掲載されている情報は、株式会社ラクス(以下「当社」といいます)または協力会社が独自に調査したものであり、当社はその内容の正確性や完全性を保証するものではありません。