トラブルやクレームに対するお詫びメールは、通常のメールと違いマイナスからのスタートとなります。さらなる火種を作らず、よりマイナスにならないように慎重に対応する必要があります。
そのためには、こちらの意向がお客様に伝わるよう「わかりやすく、受け止めやすい表現」と「相手の気持ちを意識した文面」を作成することがポイントです。
マイナス感情に対応する心得
お詫びする立場にあるということは少なからず相手に対し、不備やトラブルがあったことが前提でしょう。まずは、相手の主感情の正体を見極めることが大切です。トラブルやクレームのもとになる主なものに「不安」「怒り」「不信感」「悲しみ」などの気持ちがありますが、それらの感情を緩和する方法は、ただ一つ「受け止めること」です。
「どういうつもりですか?」という質問形式のメールに関しては、この問いに真摯に答えようとすればするほど、こちらの言い分を並べてしまいがちです。しかしそれは逆効果なので要注意です。こちらの思いなどに相手は聞く耳を持ちません。ですから、答えるのは方法や事実のみです。「使い方」や「申請方法」といった答えが決まっている内容は速やかに答えてください。しかし、気持ちや思いなどに関することは「答える」のではなく「応える」姿勢が大切になります。
例えば、商品が届かなかったことで、大切な日に間に合わず「楽しみにしていたがゆえにとても残念だった気持ち」を受け止めるなど、相手が訴えてきたことに対して理解を示します。
【悪い例】
大変なご迷惑をおかけし、申し訳ございません。
【良い例】
楽しみにお待ちいただいていたにもかかわらず、大切な日に残念な思いをさせてしまい、申し訳ございません。
相手が伝えてきた内容を言葉で受け止めることで、わかってもらえたという意識が強まり、安心感を覚えるため怒りは収まる傾向にあります。
相手から必ずしも怒りの表現があるとは限りません。淡々と静かな怒りを抱えているケースもあるので、何を訴えているのかを見極めることが必要です。真摯に受け止めることからまずは始めてみましょう。
言い訳は拒否される
なぜそのような状況になったのかを弁明することも必要ですが、人は相手からの言い訳を受けると拒否する心理状況になる傾向があります。
言い訳はマイナスイメージでとらえられやすく、責任転嫁をしていると認識されやすいからです。言い訳にならないようにするためには「感情論」や「こうすべきだった」といった気持ちが含まれる表現を避けることが大切です。事実を先行させ簡潔に伝えることを心がけましょう。
事実の先行は「実際に何が起きたのか」を知りたい欲求に応える説明になるので、相手に受け入れられやすいのです。
ただし十分に答えられないと原因もわからず謝罪しているのかとさらに怒りを買うかもしれませんので、トラブルの原因をあやふやにせず、不手際や失敗などミスの原因を端的に伝えましょう。
【良い例】
- ・変更点が関係部署へ伝わらず△△の確認を怠ったことが原因です。
- ・○○の納品が遅れたことにより、発送の遅延が起こりました。
納品の遅れは、弊社の生産管理システムに不具合があったことが原因です。
長々と語ればよいものではありません。また「努力はしたのですが」「できる限り早い対応を心がけたのですが」といった、こちらの「思い」を一緒に書いてしまうと、言い訳ととらえられてしまうことがあるので注意が必要です。
日常生活の中で、なかなか返事をくれない相手に催促したとき、謝罪とともに「返事をしようと思っていた」と言われて腹が立ちませんか?(言葉では何とでも言える。そう思っていたなら早く返事をしてよ、という思いになるからです)。感情のワードを書かずに「仕事が立て込んでいて返信が滞った」と事実を伝えればよいわけです。
否定表現は怒りをヒートアップさせる
お客様に今後の注意を促したいときなどに気を付けたい表現方法があります。
例えば、「今後は、ご使用中に○○しないようにご注意ください」といった「○○しないで」という否定表現です。このような表現は相手に不快感を与えます。あなたがきちんと使用しないからダメなのと責められている気持ちにならないように以下のように変換しましょう。
【良い例】
- ・ご使用中には△△してください。(肯定)
- ・△△していただければ幸いです。(依頼)
肯定や依頼の表現を心がけることにより、相手はこちらの意向を受け入れやすくなります。
お客様の気持ちに応える
こちらの謝罪の気持ちも大切ですが、お客様は伝えた気持ちや思いをきちんと齟齬なく受け止めてもらうことを望んでいるケースが多く、その気持ちに対しての謝罪があれば安心感と納得感に繋がります。気持ちを受け止められたか受け止められなかったかが、それ以降の状況に大きな影響を及ぼすので、まずは相手の気持ちに沿う対応に徹してみてはいかがでしょうか。
【良い対応表現のまとめ】
- ・楽しみにお待ちいただいていたにもかかわらず大切な日に残念な思いをさせてしまい、申し訳ございません。
- ・変更点が関係部署へ伝わらず△△の確認を怠ったことが原因です。
- ・○○の納品が遅れたことにより、発送の遅延が起こりました。
納品の遅れは、弊社の生産管理システムに不具合があったことが原因です。 - ・ご使用中には△△してください。(肯定)
- ・△△していただければ幸いです。(依頼)
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