カスタマーサポート業務の効率化は、多くの企業が抱える課題です。しかし、思い通りに効率化がなされているケースは少ないのではないでしょうか?今回は、カスタマーサポート業務の効率化失敗に共通する3つのパターンと、それぞれの解決方法をご紹介します。
【パターン1】課題のすり合わせ不足
カスタマーサポートを行う上で、課題のすり合わせが不足してしまったために起こる失敗は少なくありません。カスタマーサポートは、個人の能力や資質に負う要素が、他の職種と比較すると高くなります。個人特有のやり方がある程度認められる場合もあります。
しかしそのために、それぞれが持つ課題の内容や考え方に違いが生じます。温度差や優先順位についても誤差が生じてしまい、属人化してしまうこともあります。例えば、スマホゲーム会社のカスタマーサポート業務で以下のような課題があり、改善が必要だとします。
- 解約率の低減
- 操作に関するお問い合わせ件数の削減
- 回答保留時間の短縮化
どれも重要なことではありますが、順番をつけろと言われると、人によって優先順位が異なりますし、内容の定義も様々です。仮に、回答保留時間の短縮化を最優先としなければならない場合、このままだと効率の良い改善ができません。そのために、課題の定義と順番を付けて、関係者へ周知することが必要です。こうしたすり合わせを経て、課題を効率的に克服することができるようになるのです。
【パターン2】部分最適化による、全体改善の未達成
次は、部分最適の実現による全体改善への悪影響について見ていきましょう。
あるアパレルメーカーの問い合わせの中で、特定のTシャツの在庫に関する質問が頻発していたとします。取り扱っている商品は、細かな条件を無視して下記のものだったと仮定します。ここで、ホワイト(フリーサイズ)の欠品に関する質問が圧倒的に多かったとしましょう。
- ホワイト(フリーサイズ):欠品
- オフホワイト(フリーサイズ):在庫数10
- グレー(フリーサイズ):在庫数200
そして、質問に対する各スタッフの対応が以下だったとします。
- スタッフAは、欠品の旨のみ伝えた。
- スタッフBは、さりげなくオフホワイトで代替できないか提案をした。
- スタッフCは、在庫数を考えて積極的にグレーをすすめた。
一見すると、どのスタッフの対応も問題は無いように見えます。各スタッフの対応そのものは理解できる内容ですし、間違いではありませんが、決定的に改善が必要な点があります。
それは、その後のエスカレーションが行われていないということです。次回、これらの商品の再販売や仕入れの数を決定する際に、問い合わせの件数は参考になる客観的事実です。しかし、上記の各スタッフの対応で完結していては、その情報を活かすことができません。また、問い合わせをしたお客様にしてみれば、対応するスタッフによって回答内容が異なるのはとても困ります。
つまり、問い合わせの内容もその回答も、できる限り一元化するべきなのです。個別の判断による努力は尊重されるべきものではありますが、情報の共有化ができていないことによって、全体の改善ができなくなるという一例です。
【パターン3】ルールの浸透・徹底不足
「あの人はもう一人前だ。」
「いや、自分はまだまだ一人前ではない。」
このような表現は日常でもよく使われますが、実はとても曖昧な内容を含んでいます。焼肉屋さんのロース一人前が、お店によって差があるのと同じです。達成できた、できなかったという判定も、人によって異なります。「浸透」とは、何がどういうことになったら浸透したと言えるでしょう。「徹底」とは、何をもって徹底したといえるでしょうか。これらの言葉も同じ問題を包含しています。このように、達成の定義が不明確なワードを用いることで、効率化に失敗してしまうのです。
取り組むべき内容が具体的にどのような数値をクリアできたかを、だれでも統一的・画一的に判定できる状態に無ければ、浸透した、徹底できたとは言えません。
「問い合わせに迅速な返信を徹底するように」という指示も同様にあいまいです。もちろん、言わんとすることはわかりますが、より具体的に「午前中にはすべてのメールによる問い合わせに返事をする」という指示であれば明確です。
しかしそのためには、メールの共有管理が行われていないと「徹底」の確認ができません。このようにカスタマーサポート業務の効率化と改善には、共有化が重要なキーワードになります。
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