「社内の問い合わせが多く、対応に時間がかかる」
「問い合わせ対応に時間を取られて、通常業務が進まない」
といった悩みを抱えてはいませんか?
昨日回答した質問なのに、今日もまた別の人から同じ質問をされてしまうと、「何とかならないかな」と感じますよね。
そこで本記事では、社内の問い合わせ対応の改善に役立つ「社内FAQ」について、必要性やよくある課題、使われるFAQの作り方を解説していきます。
社内FAQとは?
社内FAQとは、社内のさまざまな人から担当部署に寄せられる、「よくある質問」に対する回答をあらかじめ用意しておく仕組みを指します。
社内でバラバラに管理されているナレッジを集積し、一元管理できるようにデータベース化することで、社員が自在に質問への回答を得られるようになります。
まずは社内FAQが、どういった部門でどのように役立つのかを紹介します。
バックオフィス
社内FAQは、人事や総務、経理などのバックオフィス部門に導入すると、問い合わせ対応業務を大幅に削減できる可能性があります。
たとえば人事部門では、採用などの通常業務に加え、以下のような人事関係のさまざまな問い合わせに対応する必要があります。
「有給休暇の申請方法を知りたい」
「結婚したので氏名変更の届け出をしたい」
「親族が亡くなった場合、慶弔休暇は何日間取れるのか」
上記の例からもわかるように、寄せられる質問の中には、就業規則を見れば回答を得られるようなものも少なくありません。同様に総務なら「出張精算に必要な書類は?」、経理であれば「コピー機のトナーが切れたらどうすればいい?」と、同じく「ちょっと調べればわかる」問い合わせが多く含まれているものです。
こういった誰が対応しても答えはひとつしかないような定型の質問は、社内にFAQを用意しておくと社員が自分で解決できるようになり、バックオフィスの大幅な負担軽減につながります。
社内ヘルプデスク
社内ヘルプデスクの役割を果たす部署に関しても、社内FAQを活用すれば対応業務を削減できます。社内ヘルプデスクとは、たとえば情報システム部門のように、パソコンやシステムに関する問い合わせを頻繁に受ける部署を指します。
オフィスに新しいIT機器を導入したり、オンプレミス型のシステムからクラウド型に変更したりとデジタル化をすすめている企業も少なくありません。
業務が便利になる一方、情報システム部門に寄せられる問い合わせは増えてしまいます。あわせて社員個人が使っているパソコンの電源が入らない、メールを受信しないといった、細々したヘルプの要請にも日常的に対応を求められます。
「とりあえずマニュアルを見てから連絡をくれたら……」と思うものの、何百ページにも及ぶマニュアルで調べてくださいとも言えず、結局対応してしまうことが多いでしょう。このような社内ヘルプデスクが抱える問題も、わかりやすい社内FAQを用意することで、解消されます。
社内FAQ整備のメリット
ここからは、社内FAQを整備することで得られるメリットを説明します。
業務効率の改善
正しい社内FAQがあれば、社内全体の業務効率を改善できます。
ある社員が出張費の清算をするときに、やり方がわかなくて先輩社員に聞きながら処理する場合、先輩社員の業務はストップしてしまいます。これは、担当部署に質問した場合も同様です。
こういった質問を社員が自己解決できるようになれば、社全体の業務効率改善につながります。
教育コストの削減
社内FAQが整備され、社員が自己解決できるようになると、教育コストを削減できます。たとえば新しい社員を迎えた、社内で異動が発生したときには、社内のさまざまな決まり事や機器の操作に関してわからない人が続出し、どうしても質問が多くなります。
そういったケースでも、社内FAQに解決策やノウハウが集約されていれば自己解決が可能になり、教育にかかるコストを減らせます。
担当部署の負担軽減
人事や総務、経理などのバック部門や、情報システム部などのヘルプデスクでは、問い合わせ対応以外に多くのメイン業務を抱えています。
社内FAQが整備され、社員からの問い合わせ数を減らすことができれば、そういったメイン業務に集中できるようになることがメリットです。問い合わせ対応に時間がかかって自分の仕事ができなかったといった理由で残業することがなくなれば、働き方改革も実現できます。
社内FAQでよくある問題
社内FAQ導入あたり陥りがちな問題を整理します。すでに作成されている方で、当てはまるものがあれば解決すべきです。
使われない
社内FAQでもっともよく聞かれるのは、「せっかく作成したのに社員に使ってもらえない」という問題です。社内FAQを使ってもらえないのには、2つの理由が考えられます。
1つ目は、そもそも「FAQの存在が社員に知られていない」場合です。どれほど優れた社内FAQを作ったとしても、社員に周知されなければ使ってもらえることはありません。
2つ目は、「存在は知っているものの、どこにあるのかわからない」ケースです。何か問題が発生した際、「社内FAQがあったはずだけど、どこに設置されているか分からない」となってしまうと、「担当部署に直接聞いた方が早い」となるのは想像できるでしょう。
せっかく社内FAQを作成しても、活用される環境が整っていなければ、メリットを得ることはできません。
回答が見つからない
社内FAQを活用しようと思ったものの、回答を見つけられずに「役に立たない」と判断されてしまうこともあります。
たとえば社内FAQを開いてみたものの、情報が整理されていないためどこからどう探せばいいのかわからない、といったケースです。また、索引からなにをキーワードに検索すればいいのかわからないこともあります。とくにシステムやパソコンでトラブルが発生している場合には、専門用語が多くて理解できない人もいるでしょう。
FAQを作成しても、なかなか該当する情報にたどり着けなければ、時間ばかりかかってしまって社員の業務効率は悪化してしまいます。さらに「やっぱり直接担当に聞いたほうが早い」となると、担当部署の負担が減ることもありません。
"使われる"社内FAQを作成するには?
バックオフィス部門やヘルプデスクの業務効率の改善や、教育コストの削減などにつながる社内FAQですが、「使ってもらえない」「回答が見つけにくい」となると、利用されません。
社員が利用してくれる社内FAQを作成するにはどうすればいいのか、解決策を3つ紹介します。
社内FAQへの導線を整備する
社員に使ってもらうためには、社内FAQへの導線を整備することが大切です。社内FAQへの導線は、以下のようなものが考えられます。
- 社内FAQを作成したことを、社内メールなどで広く周知する
- 社員がよく利用する休憩室や社員食堂に、お知らせを掲示する
- 社内ポータルサイトのトップページに、FAQへの入り口を掲載する
- 問い合わせを受けた際に、「次回は、社内FAQをまず確認するようにしてください」と依頼する
まずは問い合わせようと思ったときに、社内FAQの存在を思い出せるよう、目につきやすい場所に案内を掲載することが利用率を高める第一歩です。
検索性を高める
「社内FAQを使ってみたけれども使いづらかった」「回答を見つけられなかった」という経験をしてしまうと、次から使ってもらえる可能性は低くなります。そのため検索性を高め、すぐに回答にたどり着けるようにFAQを整備する必要があります。
検索性を高めるためには、以下のような施策が有効です。
質問される頻度の高い「よくある質問」は、目立つところに表示する
バックオフィスであってもヘルプデスクであっても、「よく受ける質問」というのが決まっていくつかあるものです。そういった質問をまとめ、「よくある質問集」を作成しておくと、使う人は回答を探しやすくなります。
フリーワードでFAQを検索できる機能をつける
キーワードを入力する際、フリーワードでもFAQ内を検索できるようなシステムになっていることも重要です。
たとえば、パソコンがフリーズした際に、「パソコン フリーズ」だけではなく、「パソコン 固まった」「パソコン 動かない」といったいろいろなパターンでも同じ回答にたどり着けるようにしておきましょう。
また「メールが送れない」と打ち込むと、Googleで検索するのと同じように、「メールが送れない パソコン」「メールが送れない Gmail」といったように、自動で関連キーワードを提案してくれる機能も便利です。
ほかにも「問い合わせ」「問合せ」といった表記の揺れに対しても、適切に対応してくれるキーワードの自動補正機能など、使用する社員が少しでも混乱なく楽に検索できるシステムを導入しましょう。
タグによる検索機能を搭載する
回答ページにタグを設定しておくと、回答ページのタイトルや回答ページには記載されていないキーワードで検索されたときでも連動して検索結果に表示されるようになります。その結果、検索結果に表示される回答が増え、該当する回答を見つけられる確率が高くなります。
ただしタグをつけることにより、検索した質問に対して回答が多く表示されすぎるようになると、今度はどの回答を選べばいいのかわからない、という事態が発生するのが問題です。10個回答候補が表示されてしまうと、目を通すだけでも時間がかかり、かえって利便性が悪くなってしまうので注意が必要です。
定期的に見直す
制作した社内FAQは、作ったら終わりと放置せず、定期的に見直すことも重要です。作ったときにはあまり聞かれなかった質問を追加したり、よくある質問の表示順を閲覧が多かった順に並べ替えたりすると効果があります。
また季節によって、よく聞かれる質問に偏りがあるケースもあります。たとえば年末なら年末調整に関する経理あての質問が増える、異動が発生する春には転居手続きなど総務関係の質問が多くなるのが一般的です。シーズンにあわせてトップページのわかりやすい場所に「年末調整FAQコーナー」など特別な入り口を設置すれば、問い合わせを減らすことにつながります。
社内FAQ×メールシステム
メールシステム内にFAQを登録
社内FAQを整備されるなら同時に、FAQを登録できる機能を持つメールシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。社員が頻繁に利用するメールシステム自体に、社よくある質問と回答例を登録しておけば、簡単に検索して回答を引き出すことができるようになります。たとえば、「Q.結婚祝い金はいくらですか」「A.3万円です」といった、定型回答できる質問を網羅しておけば、社員に自己解決を促すことができます。利用するシステムが増える、検索する場所が増えることは社員にとっては負担になってしまいます。どの部署の社員も利用するメールシステム自体にFAQを登録してしまうことで、利用頻度を上げることができます。
「メール共有システム」で問い合わせ対応を効率化
社内FAQとメールシステムを併用する場合は、問い合わせ対応業務に特化した「メール共有システム」がおすすめです。
問い合わせ窓口を複数人で対応している場合、誰が、どれをどこまで対応しているのか可視化されず、無駄な管理コストが発生していまいます。
メール共有システムは、対応状況別に問い合わせ自動で整理できる機能を有していますので、問い合わせ対応の効率が改善します。また対応漏れが引き起こす他部署とのトラブル防止にもつながります。
まとめ
社内FAQを整備すると、人事や総務、経理などのバックオフィス部門や、情報システムなどの社内ヘルプデスクの役割を果たす部署の問い合わせ対応業務を削減できます。
しかし社内FAQは、導線が悪い、回答が探しづらいといった問題があると、社員に使ってもらえません。結局「担当部署に直接聞いたほうが早い」となり、業務改善にはつながらなくなってしまいます。社内FAQを作成する際には、社内ポータルのトップページに入り口を設置するなど導線を良くする、「よくある質問」をまとめて検索しやすくするなどの工夫が必要です。
「メール共有システム」には社内FAQを作成する機能も搭載されているものもあります。メールの一元管理による業務効率化と両方あわせて進められるので、ぜひチェックしてみてください。
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