皆さんは、「人材派遣システム」をご存じでしょうか。
クライアントに人材を派遣する以上、人材派遣会社には独自の管理業務が必要です。そして、業務効率化とともにクライアント・派遣スタッフ双方の満足度向上が求められます。そのため、昨今の人材派遣会社では人材派遣システムが欠かせなくなっています。
しかし、人材派遣システムの導入にあたりどのような機能が使えるのか、自社にとって何を基準に選ぶべきか、その判断に悩むことも多いでしょう。この記事では、人材派遣会社の業務効率向上に欠かせない「人材派遣システム」について、その特徴と選び方を解説します。
人材派遣の管理業務でありがちな課題
人材派遣会社で、派遣先・派遣スタッフの管理業務が適切に行えていないと、さまざまなトラブルが発生します。ここでは、人材派遣会社の管理業務でありがちな課題を2つご紹介します。
管理が煩雑化する
人材派遣会社では派遣する人材や派遣会社内のスタッフ、派遣先企業など多くの人とやり取りを行います。そのため、営業担当者は非常に多くのメールをチェックしたり、進捗を管理したりして、スムーズなマッチングを叶えることを求められるでしょう。
一方で、派遣社員の登録者が増えたり、派遣先となる顧客数が増えたりすることで管理業務が煩雑化しやすい側面もあります。また、クライアントから急なアサインを求められるケースや勤務形態の変更業務なども常時発生します。そのため、管理系統をきちんと整えてどのような状況でも対応できるよう準備しておく必要があるのです。
勤怠管理が難しい
勤怠管理が難しいことも、人材派遣会社によくある課題のひとつです。勤怠管理が困難になってしまう理由は3つあります。
1つ目は集計業務に時間がかかることです。例えば、タイムカードや出勤簿などで勤怠管理をしている場合は、週次や月次で集計を行い、システムに入力するというケースがほとんどです。1つの拠点であれば管理も行いやすいですが、派遣会社では複数の拠点および企業を管理するため、集計作業には多くの時間を要します。また、派遣先の企業によって就業規則や休憩時間の計算方法が異なったりする場合は、それに合わせて逐一計算をし直す必要があるのです。
2つ目は、派遣社員や派遣会社によって勤務形態が異なるため、正確な労働時間を把握するのに手間がかかることです。出社せずに直行直帰する場合には打刻漏れが生じたり、変速的な休憩時間を取ったりすることもあり、漏れなく勤務時間をチェックすることが難しくなっているのです。中にはタイムカードの代理打刻が認められているケースもありますが、打刻は自己申告であるため、正確な勤怠管理とはいえないでしょう。仮に虚偽申告があっても確かめる術がなく、勤怠管理が形骸化して疎かになる可能性があります。また、長時間労働の発見が遅れてしまうこともあります。タイムカードは打刻から集計までにタイムラグが生まれやすく、長時間労働が判明するまでに時間がかかってしまう場合も少なくありません。
3つ目は、申請業務が煩雑になっていることです。打刻申請や残業の申請を紙媒体で行う場合には、派遣先・派遣会社内の担当者から承認をもらわなければならなかったり、申請フローが複雑化したりしていることも多いのです。申請フローが複雑化すればするほど、入力漏れや申請漏れも発生しやすく、実態との差異が生まれやすくなってしまいます。
このように、人材派遣会社にとって勤務管理は非常に難しい問題です。しかしながら、2019年4月に施行された働き方改革法によって、従業員の残業時間などをより正確に把握することが求められるようになっています。そのため、勤怠をきちんと管理するための抜本的な改革を行う必要性が高まっているのです。
人材派遣システムとは?
「人材派遣システム」は人材派遣会社が主に使用するシステムのことで、人材派遣管理システムとも呼ばれます。
人材派遣会社は派遣先、すなわちクライアント企業に人材を派遣します。そのため、勤怠管理が行き届かない、給与・休暇の扱いがクライアントごとに異なるなど、他業種とは異なる管理の複雑さがあります。また、派遣スタッフの登録数が増えれば管理にかける工数も増えるため、負担が増していきます。
このような煩雑さを解消し、派遣業務に必要な情報処理をスムーズに行えるようにするのが人材派遣システムです。近年、人材派遣会社の業務効率を向上させるため、導入する企業が増えています。
人材派遣システムに搭載された機能には、勤怠管理・契約管理・スタッフ管理・求人案件管理・給与システム連携管理・給与管理などがあります。
人材派遣システムを選ぶ前に準備すること
前述した通り、近年ではさまざまな人材派遣システムが展開されています。それぞれに特徴やメリットがあるため、自社にマッチするシステムを見つけるためにも、必要な機能を明確にする必要があります。
まずは、以下に挙げたような人材派遣システムを導入・活用することで解決したい課題を明確にしましょう。
- 現在の業務プロセスを整理したい
- 業務プロセスに生じている問題を可視化したい
課題が明確になれば、システムに必要な機能が分かります。
人材派遣システムの選び方
人材派遣システムの導入・検討にあたり、現在の管理課題・業務プロセスとの相性を考慮する必要があります。ここでは、機能・費用対効果・操作性・連携・サポート体制の項目ごとに詳しく整理してみましょう。
機能を確認する
人材派遣システムを検討する際は、自社にとって必要な機能がすべて備わっているか、必ず確認しましょう。
例えば、クライアント企業が求めるフォーマットに則した書類が必要であれば、管理項目や帳票類を自由にカスタマイズできる機能が必要です。また、近年ではマイナンバーによる管理が必要な場合もあります。旧式のシステムではマイナンバーの管理ができないケースもあるため、あらかじめよく確認しておく必要があります。
最近の傾向として、スマートフォンなど複数のデバイスから利用できる、クラウド型システムも登場しています。導入後に想定通りの運用ができるよう、必要な機能をしっかり見極めるようにしましょう。
費用対効果を考える
人材派遣システムを選ぶときは、費用対効果を考えるようにしましょう。機能を豊富に備えたシステムでも、費用が高すぎる場合は費用対効果がいいとはいえません。自社にとって不要な機能があったり、現場で使いこなせなかったりすると、システムへの投資が無駄になってしまうこともあります。
また、安さのみで判断した結果、十分な機能が付いておらず後悔することもあるでしょう。そのため、自社に必要な機能が搭載され、適切な価格で提供されているシステムを選ぶことが重要です。
操作がしやすいか確認する
使いやすさ、操作のしやすさも確認しましょう。どれだけ便利な機能が備わっていても、使いにくいシステムであれば業務効率化は果たせません。
好ましいのは、直感的に操作できるシステムです。初めて使う人でも操作しやすいインターフェース、マニュアルが不要なほどのシンプルさなど、ストレスなく操作できるツールを選びましょう。
他システムと連携できるか確認する
人材派遣における「管理」に限らず、他のシステムと連携可能かどうかも確認しておきましょう。
なぜならば、それぞれのシステムが連携していなければ、同じデータを再度入力することになるからです。例えば、タイムレコーダーなどの勤怠管理データと給与計算システムを連携できると、大幅な業務効率化が図れます。
また、人材派遣システムを新たに導入する場合、既存のシステムや他の管理システムからのデータ移行するケースもあります。他システムとの連携とともに、円滑にデータ移行ができるどうかも確認しましょう。
サポート体制を確認する
電話・メール・ワークショップ・遠隔操作など、無理なく運用できるようなサポートを受けられるか確認しましょう。
特に、初めて人材派遣システムを導入する場合は、システム提供会社と密にコンタクトを取るケースも多いでしょう。はじめの内は、より効率的に利用するためのアドバイスが必要で、システムの使い方に関する疑問やトラブルも少なくありません。担当窓口の対応も含め、サポート体制を調べておくことをおすすめします。一例として、下記のようなポイントをおさえておくと安心でしょう。
- 派遣法改正を含めたシステムのアップデートの早さ
- 機能拡張の見込み
- 改修や機能開発に関する対応
無料トライアルの有無を確認する
人材派遣システムの選び方について、機能・費用対効果・操作性・連携・サポート体制の各項目からまとめました。これらの性能を比較してある程度候補を絞ったら、最後に無料トライアルの有無を確認しましょう。
無料トライアル期間では、「自社の求める機能が搭載されているか」「システムの使い勝手はどうか」「選んだシステムと業務にミスマッチが起きないか」など、本番環境を用いて確かめることができます。また、運用に耐えうるサポート体制が整っているかどうかも、このステップで見極めることができます。
無料トライアルがある場合は、必ず利用したうえで導入するようにしてください。
適切な運営ができるようにアップデートされているか
人材派遣システムを選ぶうえで、現行の労働規則に合うように定期的にアップデートされているか否かに着目することも大切です。労働者派遣法や労働契約法をはじめとして、労働に関する法令はさまざまなものがあり、新しい法令が次々と制定されています。例えば、マイナンバーなどはその代表的な例の1つでしょう。このような変化の中で法令を遵守しながら適切な運営ができるように、人材管理システムも日々更新されていく必要があるのです。
変化していく制度に対応ができない古いシステムを使い続けていると、派遣事業の許可を取り消されてしまったり、事業廃止命令などの行政処分が下されたりする可能性もあります。ツールを選定する時には、アップデートの有無についても忘れずにチェックしておきましょう。
詳細な設定ができるか
自社が望むフォーマットで作成ができるのかという点も、人材派遣管理システムを選ぶうえで非常に大切なポイントです。なぜなら、企業・業種によってフォーマットや入力項目が異なるからです。一般的な会社では入力項目の数や種類はある程度決まっていますが、人材派遣業は幅広い業界に人材を派遣する業態である以上、より多くのシチュエーションに対応できるようなシステムが理想的です。
例えば、請求書のフォーマットは案件の受注状況などによって記載すべき項目が異なります。また、有給に関する細かい設定や保険料の端数処理なども発生するでしょう。そういった場合においても、自社や派遣先のニーズに合った対応が取れるような人材派遣管理システムを選ぶべきですし、フレキシブルに対応ができるシステムかどうかという点をきちんと見極める必要があります。
他にも、細かなところではタブ切り替えや検索機能のカスタマイズなど、搭載されているシステムにどれだけ柔軟性があるかを確認しておくことも大切です。ミスマッチを起こさないためには、自社のニーズは何で、どういったシステムが自社にとって利用しやすいのか、ということを1度社内で検討する必要があるかもしれません。無料トライアルが提供されている場合は、こういった細かな点もしっかりと確認しておくことをおすすめします。
導入実績を確認する
人材派遣管理システムを導入する前に実績を確認することも大切です。導入実績を見てみると実際に利用している企業の声や口コミから使い勝手を推測できる場合もあります。口コミを全て鵜呑みにしてしまうのもリスクが伴いますが、判断材料のひとつにはなるはずです。
また、確かな導入実績のある人材派遣管理システムは、信頼と実績がある証です。多くの実績があればさまざまな課題に対応してきたノウハウを持っている可能性が高いので、自社が抱えている課題をシステムでどのように解決できるか提案してもらいやすいでしょう。
人材派遣システムの費用相場
人材派遣システムには、導入時に必要な「初期費用」と、運用のための「月額費用」がかかります。
初期費用
初期費用の金額は、システムにより大きく異なります。初期費用がかからないシステムもありますが、一般的に100,000円~300,000円程のシステムが多いようです。また、中には500,000円程の高額なものもあります。
月額費用
月額費用は10,000円~30,000円前後のものが多いようです。
また、独自のプランによる「1スタッフにつき1,000円~」「1拠点につき5,000円~」「1IDごとに15,000円」という従量課金のシステムもあります。中にはライセンス料金と保守料金をセットにした月額費用がかかるシステムもあるため、提供会社によく確認しましょう。
人材派遣システムでなくても管理ができる?
人材派遣会社には、派遣スタッフ・求職者・クライアントと、多方面から連絡が舞い込み、連絡手段もメール・電話・LINE・チャットと多岐に渡り、窓口も細分化されていきます。
このような場合に、人材派遣システムでなくても管理可能なツールがあります。
それは、メール管理システム「メールディーラー」です。
メールディーラーは、単にメールを送受信するだけのツールではありません。人材派遣会社が受け取るメールを一元管理し、その先の「業務の効率化」や「顧客満足度の向上」を実現するためのツールです。では、メールディーラーについて詳しくみてみましょう。
メール共有システム「メールディーラー」で派遣管理
メールディーラーは、クラウド型のメール共有・管理システムです。人材業界を中心とした8,000社以上のさまざまな企業で利用されています。メールディーラーの強みは、何といっても簡単に導入できることです。クラウド型のシステムのため、高度なIT技術や知識がなくても簡単にはじめることができます。
また、メールディーラーは、人材派遣業務の以下のような課題解決に役立ちます。
メールの見落とし・返信モレが起きている
一般的なメールシステムと異なり、対応状況を「共有管理」するのがメールディーラーの特徴です。メール・電話・LINEなど、様々な窓口から届く連絡についてもまとめて管理できます。未対応・対応中・完了といった「対応状況」に合わせたステータスを自動で管理し、メール対応漏れや、見落としを防げます。さらに、メールごとに緊急度をつけたり、担当者をアサインすることができるので、複数の項目でチェックすることが可能です。
メールの二重対応が起きている
重複対応を防ぐ「返信ロック機能」がついています。複数の担当者でメール対応をする場合でも、返信中はステータスが「返信処理中」に自動で切り変わり、他の担当者が返信できないよう「ロック」がかかることによって二重返信を防ぐことができます。
メールを引き継ぎにくい
メールでやり取りした内容はもちろん、電話対応のメモや、LINEの対応履歴を記録することができます。やり取りの履歴は、メールアドレス1クリックでは簡単に検索・確認できるため、担当者が不在でも誰もが代理で対応できるようになります。
担当により、対応に差がでてしまう
メール一通ごとに申し送り用のコメントを残すことができます。例えば、対応方針の指示だしや、対応状況の補足などを残すなど様々な使い方ができます。また、社内Q&Aの機能では問い合わせと回答例を登録し、ナレッジの共有を図れます。テンプレート機能と併せれば、誰でも質の高い対応ができるようになります。
顧客情報・人材情報とメールがリンクしていない
メールアドレスと顧客情報・人材情報との紐づけにより、顧客の検索や確認が迅速になります。Fromアドレスを1クリックするだけで、顧客情報や過去のやり取りが確認できるため、これまでExcelや管理システムから検索していた時間をゼロにすることができます。
このように、メールディーラーは大量のメールを整理し、大事なメールの見落としや情報検索にかけていた時間を削減することができます。無料トライアルも設けていますので、自社の派遣管理業務との兼ね合いに不安がある方は、ぜひ1度使い勝手を試してみてください。
メールディーラーの導入事例
メールディーラーを導入することで、これまで抱えていた業務課題を解決したケースが多数あります。今回はメールディーラーの導入事例として、人材派遣会社「株式会社ラクスパートナーズ」の事例をご紹介します。
メールディーラー導入前の課題
ラクスパートナーズでは、ITエンジニアの派遣サービスを提供しています。派遣事業会社として、大きく2つの課題を抱えていました。営業時の機会損失、および派遣エンジニアの離職です。
メールディーラー導入後の効果
メールディーラー導入後は、メール共有・情報連携により、売上拡大と従業員満足度の向上を実現しました。
具体的には、メールの共有により全員が進捗状況を把握できるようになりました。担当者名が表示されるため、即対応が必要なメールがあれば気付いたスタッフが担当者に知らせたり、場合によっては別担当者が対応したり、臨機応変に対応できているそうです。その結果、クライアントの要望を逃すことなく、契約につながるようになりました。
また、稼働中の案件についても、メールを共有することでトラブルが起きそうな案件をチームでバックアップできる体制を作ることができました。結果、派遣エンジニアが安心して働けるようになり、ESの向上・離職率低下につながっているそうです。
人材派遣システムで管理の効率化
今回は人材派遣システムの選び方を、その特徴や機能とともにまとめました。
人材派遣システムは、求人案件管理・契約管理・勤怠管理・スタッフ管理・給与システム連携管理・給与管理など、複数の業務を一元的に扱うことができます。そして、自社に必要な機能を見極めたうえで導入することが成功のポイントです。
このように、人材派遣システムは人材派遣会社に欠かせないツールですが、導入コスト・運用コストが高額になりがちなことも事実です。
そこで、改めて導入をおすすめしたいのが、クラウド型のメール共有・管理システム「メールディーラー」です。メールディーラーはクラウド型のシステムのため、高度なIT技術や知識がなくても簡単にはじめることができます。また、カスタマーサポートのノウハウを盛り込んだ機能を月額料金だけで利用できるところもおすすめポイントです。さまざまなシステムがありますが、人材派遣システムの導入をお考えの方は、ぜひメール共有・管理システム「メールディーラー」の導入をご検討されてみてはいかがでしょうか。
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