個人が蓄積してきた業務の知識(ナレッジ)やノウハウを、社内全体で共有することで、業務効率化や質の向上につながります。
この記事では「ナレッジベース」とは何か、メリットや活用方法、おすすめのナレッジベース構築ツールなどをご紹介いたします。
ナレッジベースとは?
ナレッジベースとは、個人が独自に蓄積している業務の知識・経験などを一か所に集めたデータベースのことを意味します。
基本的に社内のみで共有され、社内のメンバー全員が検索・閲覧・編集が可能です。
従来はWord・Excel・PowerPoint・PDFなどでマニュアル化する方法が一般的でしたが、近年では音声や動画なども利用されています。
ナレッジベースの活用場面
社外向けFAQ
FAQとは、Frequently Asked Questions(フリークエントリー・アスクド・クエスチョンズ)の略で、「頻繁に尋ねられる質問」と直訳できます。
企業のホームページなどで見かけるFAQには、顧客から寄せられる「よくある質問とその回答」がナレッジベース化されています。
顧客から頻繁に受ける質問とその回答をナレッジベースに集約し、FAQで公開すれば、顧客はすぐに必要な回答に辿り着くことができます。
これにより、問い合わせ件数削減にもつながり、社内の業務効率化に役立ちます。
社内向けFAQ
業務におけるノウハウや、手続き等の事務作業のフローをナレッジベース化することで、社内向けのFAQを作成できます。
源泉徴収票の入手方法を知りたい、有給休暇の残日数を知りたいなど、社内でよくある質問とその回答をナレッジベースにまとめておくことで、管理部門や新人教育担当者の問い合わせ対応業務を削減できます。
自動音声応答装置
自動音声応答装置とは、問い合わせ電話に対して自動音声応答を行うシステムです。
過去の問い合わせ内容などを蓄積したナレッジベースを活用して、顧客の目的別に自動で振り分けて案内することが可能です。
最終的にオペレーターが対応する場合でも、顧客の目的ごとに該当の担当者へ引き継ぐことができるため、業務効率化につながります。
ナレッジベースのメリット
ナレッジベースのメリットは、情報共有による「業務効率化」だけでなく、「属人化の防止」や「対応品質の均一化」などが挙げられます。
ナレッジベースを活用することで、社内のメンバー全員が必要な情報を素早く検索・閲覧できるため、業務効率化につながります。
さらに、業務の引継ぎや新人教育でナレッジベースを参照すれば、引き継ぎ・教育担当者の業務工数を削減できるでしょう。
また、ベテラン社員やその業務に特化した社員などのノウハウをナレッジベースで共有することで、属人化を防止し、対応品質を均一化することも可能です。
ナレッジベース構築ツールの種類
ナレッジベースを活用するには、まず情報を集約してナレッジベースを構築する必要があります。
ここでは、ナレッジベース構築ツールの種類について解説します。
データベース型
データベース型は、蓄積した情報を検索して取り出すことができるツールです。
社内での情報共有はもちろん、必要に応じて他社との情報共有にも利用できます。
グループウェア型
グループウェア型は、ファイル共有やスケジュール管理、メール・チャットなどの機能を用いてコミュニケーションを取りながら仕事の流れを共有できるツールです。
進捗管理と同時に、都度発生するナレッジをタイムリーに共有することができます。
ヘルプデスク型
ヘルプデスク型は、社内・社外の問い合わせとその回答を蓄積し、FAQとして活用できるツールです。
データベースから自動的にFAQを作成することができるため、マニュアルを読むよりも素早く知りたい情報にたどり着けるようになります。
データマイニング型
データマイニング型は、蓄積データの相関関係や傾向をAIなどを使って発見できるツールです。
主に営業戦略や経営判断などの重要な意思決定においても、スピーディかつ適切な判断の実現に役立ちます。
ナレッジベース構築ツールの選定ポイント
ここでは、ナレッジベースを構築できるツールを選ぶ際に意識するべき選定ポイントをご紹介します。
1.操作性
まずは、ツールを利用する担当者が使いやすいかどうかが重要な選定ポイントです。
優れた機能が搭載されていても、実際にツールを利用する社員にとって扱いにくければ、かえって非効率になることもあります。
情報検索のしやすさ・閲覧のしやすさ・更新作業のしやすさなどを意識して選定しましょう。
2.利用環境との整合性
ツールによってさまざまな便利な機能がありますが、利用環境に合った機能が搭載されているかを確認しましょう。
例えば、スマホで利用することが多い場合は、スマホ表示に特化したツールを選ぶと良いでしょう。
また、ビジネスチャットツールを利用している場合は、機能連携の方法や連携によって何ができるかを確認しましょう。
3.目的・課題との妥当性
ツールを選定する前に、ナレッジベースを活用する目的や、ナレッジベースで解決したい課題を明確にしておくことが重要です。
例えば、「とりあえず情報共有したい」といった曖昧な目的でツールを選定した場合、導入後に「リアルタイムでコミュニケーションを取りながら情報共有・蓄積したいが、チャット機能がついていないツールだった」など目的・課題に沿わないツールを導入してしまう恐れもあります。
企業によってナレッジベースを活用する目的や解決したい課題は異なります。
自社の状況をしっかり把握し、合致したツールを取り入れることが重要です。
ナレッジベース構築ツールおすすめ7選
PKSHA FAQ
株式会社PKSHA Communicationの提供する「PKSHA FAQ」は、誰でも簡単にFAQの作成・公開・分析・運用改善ができるナレッジベース構築ツールです。
ナレッジベースを活用したFAQサイトを顧客に公開して自己解決を促すことで、問い合わせ数の削減につながります。
また、同社の対話型AIチャットボット「PKSHA Chatbot」と連携可能することで、FAQデータの二重管理を防止できます。
Qast
any株式会社の提供する「Qast」は、個人で抱えているノウハウを引き出し、社内全体に共有できるデータベース型のナレッジベース構築ツールです。
誰でも質問・回答できる「Q&A」と、自発的に情報を発信できる「wiki」で用途に分けて投稿できます。
そのため、一部の人だけでなく誰でも気軽に投稿できます。
さらに、ナレッジベース構築を定着させるための支援体制を強化しており、操作方法や使い方のサポートだけでなく、つまずきやすいポイントを事前に解消してくれます。
メールディーラー
株式会社ラクスが提供する「メールディーラー」は、メールを共有管理することで、メール対応業務のナレッジを蓄積できるナレッジ構築ツールです。
共有メールアドレス(info@やsupport@など)やメーリングリスト宛に届くメールを、複数名で分担して対応している企業におすすめです。
メールディーラーの「社内Q&A機能」では、メール対応業務に関するよくある疑問と解決方法の共有ができます。
新人が対応に迷った際は、まずはQ&Aで確認し、それでもわからなければ聞くというフローにより、教育稼働の削減につながります。
「対応履歴機能」では、過去のやりとりを全て共有し、メール対応事例のナレッジを蓄積できます。
ベテラン社員の対応履歴を参照すれば、新人でもスムーズに品質の高いメールを作成することが可能です。
NotePM
株式会社プロジェクト・モードが提供する「NotePM」は、登録者数7000社を越える社内wikiツールです。
検索機能の強さが特徴で、NotePM上のドキュメントはもちろん、添付のPDFやWord・Excelの中身も含めて全文検索できます。
これにより、必要な情報に素早く辿り着き、業務効率化につながります。
さらに、画像編集もできる高機能なエディタと、無料ダウンロードできるテンプレートでバラバラなフォーマットを統一化することも可能です。
Stock
株式会社Stockの提供する「Stock」は、「世界中の『非IT企業』から、情報共有のストレスを取り除く」というミッションの元に開発されたデータベース構築ツールです。
そのため、操作の分かりやすさが特徴で、簡単にナレッジの蓄積ができます。
顧客対応マニュアルや営業トークスクリプト、社内ミーティングの議事録など、様々な情報をシンプルに共有することが可能です。
Zendesk
株式会社Zendeskの提供する「Zendesk」は、アメリカで開発されたカスタマーサポート向けのナレッジ構築ツールです。
Zendeskにナレッジを蓄積してヘルプセンター・FAQを構築することで、セルフサービス型サポートを実現できます。
海外でも多く利用されているツールのため、WhatsAppやFacebook、LINEなどの世界的に利用されているSNSと連携することが可能です。
さらに、管理画面を40以上の言語に切り替えることもできます。
Helpfeel
株式会社Helpfeelの提供する「Helpfeel」はカスタマーサポート業務の負担軽減を目的としたFAQツールです。
言葉選びの違いや感情的・抽象的な表現、送り仮名やスペルのミスにも対応した「意図予測検索」でFAQ検索ヒット率98%を誇ります。
さらに、FAQ利用状況の分析・改善アクションの提案まで行う徹底したサポートで、ユーザーの分析業務の負担を軽減します。
ナレッジベースを活用して業務を効率化
業務のナレッジやノウハウを集約し、「ナレッジベース」として蓄積・共有することで、あらゆる業務を効率化・均一化できます。
また、ナレッジベース構築ツールを導入すれば、より簡単・便利にナレッジベースを構築することが可能です。
ツールによってさまざまな機能があるため、自社の状況に合ったツールを正しく選定し、導入を検討されることをおすすめします。
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