
ナレッジ共有とは、「必要な知識やノウハウを共有すること」を指します。
社内でナレッジを共有することは、業務効率改善や品質向上など様々なメリットに繋がります。しかし、共有のための体制や仕組みを整えていないと、なかなか運用が軌道に乗らない場合があります。
本記事では、ナレッジ共有の必要性やその方法、共有に役立ツールなどをご紹介します。
ナレッジの基本知識
ナレッジ共有とは
企業におけるナレッジ共有とは、ビジネスでの有用な知識やテクニック、ノウハウなどを社員間で共有することを指します。
例えば営業部門で、1人の優秀な社員がいたとします。この社員は、毎月安定した成績を出すことができるものの、他社員は成績が伸びず、目標未達成の状態が続いていたらどうでしょうか。いくら優秀な社員がいたとしても、組織全体で目標を達成できていなければ、意味がありません。
しかし、この優秀な社員の知識やテクニック、つまり営業ナレッジを他社員に共有すれば、組織全体の成績向上につながる可能性があるでしょう。
このように、ナレッジ共有は、組織全体の業務品質向上につながるのです。
ナレッジ共有のメリット
ナレッジ共有は、組織にとってさまざまなメリットをもたらします。単なる情報のやり取りを超えて、業務効率の向上や社員のスキルアップなど、幅広い効果を発揮します。ここでは、その主なメリットを解説します。
業務効率の向上
ナレッジを共有すれば、業務の重複や非効率な作業を削減できます。たとえば、過去に解決済みの課題について同じような調査や対応を繰り返す状況は、情報共有不足によって起こる典型例です。適切に共有されたナレッジを利用すれば、社員は必要な情報に迅速にアクセスでき、無駄な作業時間を短縮できます。
社員のスキル向上
ナレッジを共有する場を設けると、社員同士が知識を学び合う機会が増えます。特に、他の部署やベテラン社員の知見に触れることにより、新人や若手社員の成長を促進できるでしょう。具体例として、以下のような効果が挙げられます。
- 他部署の成功事例を学ぶことで、自部門の課題解決に応用できる。
- 特定分野の専門知識を共有することで、社員全体の専門性が向上する。
このプロセスを通じて、個々の能力が高まるだけでなく、組織全体の競争力も強化されます。
組織の柔軟性と対応力の向上
ナレッジが全社で共有されていると、突発的なトラブルや市場の変化にも迅速に対応可能です。たとえば、業務を引き継ぐ際に共有されている情報が不足していると、引継ぎ後に問題が発生する可能性があります。一方、ナレッジ共有が進んでいる組織では、次のような利点があります。
- 社員がだれでも対応できる仕組みをつくれるため、特定の人に業務が集中しない。
- 変化する市場環境に迅速に適応し、競争優位を保ちやすくなる。
この柔軟性は、特に新しいプロジェクトや未経験の分野への挑戦において大きな武器となります。
社内コミュニケーションの活性化
ナレッジ共有は、社員同士のコミュニケーションを活発にする効果もあります。情報を共有し合う中で、部門を超えた連携が生まれやすくなり、組織全体での協力体制が強化されるでしょう。たとえば、次のような効果が期待できます。
- 問題解決の際に複数の視点が取り入れられる。
- 共通の知識基盤が生まれ、議論の効率が向上する。
こうした社内文化の変化は、社員のモチベーション向上にもつながります。
ナレッジの種類
ナレッジは、大きく分けて2種類あります。
暗黙知
暗黙知とは、「実際に実行できるが、言葉にして教えるのは難しい知識や経験」を意味します。俗にいう、「職人の勘」や「営業スキル」などがあたります。
個人の経験やもともと持っているスキルに因るため、他人に伝えることが難しく、属人化しやすい傾向があります。
形式知
共有が困難な暗黙知を、言語化・マニュアル化したものを「形式知」といいます。誰にでもわかりやすい形にすることで、組織全体で活用しやすくなります。
ナレッジ共有の方法
ここではナレッジ共有方法の一例をご紹介します。
Excelやパワーポイントでマニュアルを作成する
Excelやパワーポイントを使ったマニュアルの作成は、退職や異動等で引継ぎ資料として作成したことがある方も多いのではないでしょうか。
誰でも手軽に始めることができますが、複数人での同時作業ができなかったり、データ量が大きくなるとファイルが重くなったり等、長期的なナレッジを蓄積には適していません。
Googleスプレッドシートを活用する
Googleスプレッドシートは、無料のクラウド型のサービスです。複数人での同時作業が可能で、更新されたものがリアルタイムで反映されるので、情報共有しやすいツールと言えるでしょう。
多くの人が使い慣れているExcelと変わらないフォーマットであるため、操作方法が直感的に分かりやすいのも大きなメリットです。
ただし前述のExcel・パワーポイントと同様に、ファイルのデータ量が増えると操作が鈍くなる、ファイルが開かなくなるなどの問題が発生する恐れがあります。
ナレッジ共有ツールを活用する
ナレッジ共有ツールとは、ナレッジの共有を効率的に行うためのツールです。
共有ツールの活用には以下のようなメリットがあります。
ナレッジの収集や共有が簡単
組織内のナレッジをツール内に集約させることで、収集や共有が簡単になります。
また、ナレッジを蓄積していくのにも適しています。他の方法と違い、ナレッジ共有に特化したツールなので、情報量が多くなっても重くなることはありません。
有料のものが多いですが、無料のものよりもさまざまなセキュリティ対策が施されているので、機密情報を含んだナレッジも安心して蓄積できるでしょう。
作業効率アップが期待できる
ナレッジ共有ツールであれば、同時に複数人での作業ができ、リアルタイムで最新の情報が共有されるので、「間違えて古い情報を参考にしていた」などのトラブルを防ぐことができます。
ナレッジ共有の注意点・ポイント
ナレッジ共有を成功させるためには、ただ情報を集めるだけではなく、共有しやすい仕組みや継続的な改善が欠かせません。以下では、効果的なナレッジ共有に必要なステップや環境づくりについて詳しく解説します。
正しいステップで取り組む
ナレッジ共有を進める際は、計画性を持つことが重要です。たとえば、情報を収集する段階で目的が曖昧なまま進めると、後に手戻りが発生する可能性があります。一般的なナレッジ共有のステップには以下が挙げられます。
ステップ | 内容 | 例 |
---|---|---|
1.目的設定 | 何を達成したいかを明確にする | 顧客満足度の向上、業務効率化など |
2.情報収集 | 必要なデータや知識を集める | 問い合わせデータ、手順書 |
3.整理 | 情報を分類しやすく整理する | フォルダやタグで整理 |
4.共有 | 適切な方法で共有する | ツールや定例会議で共有 |
このように段階を踏むことで、目的達成に近づく効果的なナレッジ共有が可能になります。
ナレッジは継続して更新する
共有したナレッジが古いまま放置されると、かえって混乱を招く恐れがあります。特に業務フローや顧客ニーズが変化する現代においては、定期的な更新が不可欠です。たとえば、以下のような仕組みを取り入れると、ナレッジ更新の効率が向上するでしょう。
更新スケジュールの明確化
定期的に見直しを行う日程を決め、責任者を割り当てます。たとえば、四半期ごとに情報を確認するルールを設定することで、情報の鮮度を保てます。
フィードバックの活用
現場の社員や顧客からのフィードバックを収集し、それを基に改善点を洗い出します。
「ナレッジは資産」という意識を持ち、定期的な見直しを行うことで、長期的な価値を維持できます。
ナレッジ共有しやすい環境をつくる
情報が共有されやすい環境を整えることも重要です。たとえば、社員が必要なナレッジをすぐに見つけられる状況をつくるには、以下のような工夫が求められます。
アクセスしやすいツールの導入
クラウドベースのナレッジ共有ツールは、どこからでも情報にアクセスできるため、社員の生産性を高めます。
直感的なインターフェース
複雑な操作を必要としない、シンプルで使いやすいデザインが好まれます。
これらの取り組みにより、社員間の連携がスムーズになり、組織全体の業務効率化が期待できます。
ナレッジ共有の手順・流れ
ナレッジ共有を円滑に進めるためには、具体的な手順を明確にすることが必要です。ここでは、ナレッジ共有の流れを詳しく解説します。
担当者を決める
まず、ナレッジ共有の責任者を明確にしましょう。担当者がいない場合、情報が散逸し、効果的な共有が難しくなります。たとえば、以下のような役割分担がおすすめです。
役割 | 主な業務 |
---|---|
共有責任者 | 情報収集や整理の統括 |
更新担当者 | 情報の定期的な見直しと更新 |
利用サポート | 他の社員へのツール使用支援 |
このように役割を分担することで、各自の責任が明確になり、業務が効率的に進みます。
ルールを決める
ナレッジ共有の運用を成功させるには、全員が従うべき明確な基本ルールを設定することが不可欠です。これにより、情報の混乱や重複を防ぎ、効率的かつ統一感のある運用が可能になります。具体的なルールを以下に示します。
フォーマットの統一
共有される資料の形式やテンプレートを統一すれば、だれが見てもわかりやすい情報の整理が実現するでしょう。たとえば、文書や表のレイアウトを決めたり、使用するフォントや色彩を統一したりすると、視認性が向上し、内容の確認がスムーズになります。
更新頻度の明確化
ナレッジは、時間の経過とともに陳腐化しやすい情報です。そこで、「月に一度全員が情報を確認・更新する」や「新しい業務プロセスが導入された際は即時更新する」などのルールを設ければ、情報の鮮度を保つ仕組みが生まれます。こうした定期的な見直しは、情報の信頼性や正確性の向上にも寄与します。
アクセス権限の設定
また、関係者以外が編集できないよう、共有内容に応じたアクセス権限の設定も必要です。これにより、誤った変更や情報漏えいのリスクを低減できます。
これらのルールを定める際は、社員全員が理解しやすく、現場の負担にならない内容を心掛けることが重要です。
ナレッジ共有のツール・方法を決める
ルールを設定した後は、実際に使用するツールや方法を慎重に選定します。適切なツールの選択は、ナレッジ共有をスムーズに進める鍵となります。選定時には以下のポイントを重視しましょう。
使いやすさ
ナレッジ共有ツールは、社員全員が日常的に活用するものです。そのため、だれでも直感的に操作でき、学習コストの低いツールを選ぶことが重要です。たとえば、操作画面がシンプルで、初めて使う社員でも迷わず操作できるインターフェースが理想的です。
拡張性と柔軟性
企業が成長し、組織の規模が変わっていく中で、ツールがその変化に対応できることは非常に重要です。たとえば、クラウド型のナレッジ共有ツールは、企業規模やニーズに応じて柔軟に機能を拡張できるため、多くの企業で採用されています。
情報の一元管理
クラウド型ツールを活用すれば、社内の情報を一元管理できます。これにより、情報が散在している状況を改善し、どこからでもアクセスできる環境が整うでしょう。特にリモートワークの普及が進む中で、場所や時間に縛られない情報共有は、大きな利点となるでしょう。
顧客対応業務のナレッジ共有はメール共有システムで
ナレッジ共有ツールとしておすすめなのが株式会社ラクスの提供するメールシステム「メールディーラー」です。ここでは、メールディーラーの概要やおすすめポイントをご紹介します。
メールディーラーとは
メールディーラーは、メールや電話、チャット等で届く問い合わせを一元管理し、複数名で分担しながら対応できるメール共有システムです。
誰がどの顧客にどんな対応をしているのか、リアルタイムにチーム内で情報を共有できるので、顧客対応業務のナレッジ共有に役立ちます。
また、顧客のアドレスをワンクリックするだけで、受信メール・送信メール・電話応対メモなど全ての履歴をまとめて時系列で表示されます。過去の履歴を見ながら、顧客に合わせたきめ細かな対応ができるだけでなく、対応事例として参照することも可能です。
社内Q&A機能
メールディーラーの社内Q&A機能は、問い合わせと回答例を登録できる機能です。誰でも一目見て回答例がわかるので、ナレッジの共有に最適です。
Excelやスプレッドシードなど、別のブラウザを立ち上げる必要がなく、メールディーラーだけで完結できるので作業工程の削減にも役立ちます。
テンプレート機能
メールソフトであるメールディーラーには、GmailやOutlookと同様にテンプレートを登録することができます。さらに、件名や本文のキーワードを条件に、適切なテンプレートを自動で選出されるように設定することもできます。
まとめ
社内でナレッジ共有を行うのはさまざまなメリットがあります。属人化しがちだった情報やノウハウ、知識などを組織全体で共有することにより、業務効率化や対応品質の向上が期待できます。またナレッジ共有により、社員による対応の差もなくなるでしょう。
こうしたナレッジを効率よく蓄積・共有するには、社内での仕組み作りが大切です。
一番効率的なのは、ナレッジ共有ツールを利用することです。中でも顧客対応業務のナレッジ共有には「メールディーラー」がおすすめです。メールソフトを切り替えて顧客対応業務自体を共有することで、ナレッジ共有のために作業を増やす必要がなくなります。
他にも、メールディーラーはナレッジ共有に役立つ機能が搭載されています。気になる方はぜひ資料請求や無料トライアルをご検討ください。
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