ビジネスでは、取引先・顧客からの依頼や、上司の声かけを断らなければならない場合があります。
「断る」ことは、相手にマイナスイメージを与えかねません。
相手と良好な関係を築いたり、大切なビジネスチャンスを逃さないためにも、ポイントをおさえた印象の良い「お断りメール」を心がけましょう。
この記事では、お断りメールの基本的な書き方や印象を良くするために注意すべきポイント、すぐに使えるシーン別例文やフレーズ集をご紹介します。
好印象なお断りメールを書くためのポイント
ビジネスシーンでお断りメールを送らなければならない場合、どのような理由であれ”相手を不快にさせないこと”が大切です。
印象の良いお断りメールを送るには、下記の3つを意識してみてください。
「断る」ことを明確に伝える
断ることに躊躇して曖昧な表現をしてしまうと、相手はYESなのかNOなのか判断できず、さらにマイナスイメージを与えてしまいます。
意図したことの反対の意味に捉えられてしまうと、後々トラブルにも発展しかねません。
例えば、「検討しております」や「状況次第では可能なのですが」など、結果ではなく過程だけを述べて相手に察してもらおうとしても、相手に正しく伝わるとは限りません。断るという意思がはっきりと相手に伝わるように気をつけましょう。
クッション言葉で印象を柔らかく
「お断りします」「できません」といったお断りの文章は、相手にきつい印象を与える恐れがあります。そこで「クッション言葉」を使うことで印象を柔らかくすることができます。
<クッション言葉のフレーズ>
- 恐れ入りますが
- 大変心苦しくはありますが
- 申し訳ございませんが
- 誠に恐縮ですが
- 残念ではございますが
上記のようなクッション言葉の後にお断りの文章を続けることで、相手を気遣いながら意思を伝えるメールに仕上がります。
今後につなげるフォローを忘れない
今回はお断りメールを送ることになったものの、引き続き良好な関係を保ちたいケースもあるでしょう。その場合には、今後につなげるフォローの文章を添えることを忘れないようにしましょう。
<フォローのフレーズ>
- またの機会がございましたら、ぜひお声掛けいただけるようお待ち申し上げております。
- あいにく〇日は所用のため参加できませんが、来月は参加させていただく予定です。
- お問い合わせいただいたA商品はただいま欠品しておりますが、代替品として新発売のB商品をご利用いただくことも可能です。
次の機会を期待する旨を伝えたり、代替案や別の機会を設けるなどのアピールをしたりすることで、都合がつかないことへのお詫びの気持ちがさらに伝わり好印象につながります。
お断りメールの基本的な書き方
ここでは、お断りメールの基本的な書き方・メール構成についてご説明します。
お断りメールで重要なのは、「お礼」「意思表示」「理由」「フォロー」「結び」の5つです。それぞれ書く際に意識するポイントは以下のとおりです。
お礼 | 本題に入る前に、まずは相手からの提案や誘いについて「お礼」を伝えましょう。お断りというマイナスな内容の前に入れることで、相手の不快感を軽減することができます。 |
---|---|
意思表示 | 「断る」という明確な意思表示を心がけましょう。あいまいな表現だと誤解を招く可能性もあり、かえって印象が悪くなりかねません。 |
理由 | 相手が納得できるように、具体的かつ簡潔にまとめた理由を伝えましょう。また、理由の前に「大変魅力的なご提案ですが」「社内で慎重に検討しましたが」のような肯定する言葉を一言沿えることで、印象良く受け取られやすくなります。 |
フォロー | 今回限りで終わりではなく、”またの機会があれば検討する気持ちがある”という旨の一文も含めましょう。今後のビジネスチャンスを逃さないためにも重要です。 |
結び | 最後は、相手を気遣う結びの言葉で締めくくりましょう。 |
「件名」「宛名」「挨拶文」「署名」の4つは、お断りメールに限らずビジネスメールにおける基本的なマナーに準ずるため、以下の関連記事をぜひご参照ください。
お断りメールで使えるフレーズ集
ここでは、お断りメールを書く際に使えるフレーズをシーン別にご紹介します。
ぜひご活用ください。
シーン | フレーズ |
---|---|
誘いを断る |
|
依頼・要望を断る |
|
提案・購入を断る |
|
お詫び・謝罪 |
|
【シーン別】お断りメールの例文
ここからはビジネスシーン別に、お断りメールの例文を見ていきましょう。
相手からの提案を断るメール
外部からの営業で商品やサービスの提案を受けた件に対して、お断りメールを送る際の例文です。
今回の提案は見送るものの、今後もつながりを持ちたい場合の参考にしてください。
件名:<□□システム導入のご提案の件について>株式会社〇〇 〇〇(自分の名前)
本文:
株式会社□□□□ 営業部 第一営業課
□□様
お世話になっております。
株式会社〇〇〇 〇〇課 〇〇グループの〇〇と申します。
この度は貴社の在庫管理システムについて導入のご提案をいただき、誠にありがとうございます。
社内で慎重に検討を重ねました結果、大変恐縮ではございますが今回は見送らせていただきます。
貴社の□□システムは大変魅力的でしたが、どうしても購入費用の折り合いがつかないとの判断に至りました。
今回はこのような結果となり誠に残念ではありますが、またの機会がございましたらぜひよろしくお願いいたします。
末筆ではございますが、貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
メールの書き方
押さえておくべきビジネスメールのマナーやポイントを紹介!
資料をダウンロードする
相手からの製品購入依頼を断るメール
自社の製品の購入依頼を申し出た顧客に対して、廃盤によりお断りしなければならない場合の例文です。
顧客の取り逃がしを防ぐためにも、代替案の提案を忘れないように行いましょう。
件名:<弊社製品□□について>株式会社□□□ □□(自分の名前)
本文:
株式会社〇〇 営業部 第一営業課
〇〇様
お世話になっております。
株式会社□□□ □□課 □□グループの〇〇でございます。
この度は弊社製品□□についてのお問い合わせをいただき、誠にありがとうございました。
大変恐縮ではございますが、現在□□は廃盤となっており、在庫も入手できない状況となっております。
□□の代替品として弊社新商品の△△がございます。
(Webサイトの紹介など)
□□よりも機能面に優れながら価格は維持しておりますので、
ぜひご検討いただけると幸いです。
ご不明点等につきましても、なんなりとお声かけくださいませ。
この度はご要望にお答えできず、誠に申し訳ございません。
引き続きよろしくお願いいたします。
見積もり請求したが購入を断るメール
購入検討のため見積もり請求をしたが、結果取引をしないことになった場合の例文です。
見積もりを出してくれたことへの感謝と、相手に手間をかけたにも関わらず取引につながらなかったことへのお詫びを併せて伝えましょう。
件名:<お見積もりの件について>株式会社□□□ □□(自分の名前)
本文:
株式会社〇〇 営業部 第一営業課
〇〇様
お世話になっております。
株式会社□□□ □□課 □□グループの〇〇でございます。
先日は○○(製品名)の件でお見積もりをいただき、誠にありがとうございました。
いただいた金額と製品情報をもとに、社内で慎重に検討を重ねましたが、
費用の折り合いがつかず、残念ながら今回は購入を見送らせていただくことになりました。
お手数をおかけしたにも関わらず、大変申し訳ございません。
またの機会がございましたら、ぜひお取引させていただきたく存じます。
末筆ではございますが、皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
上司からの誘いを断るメール
上司から社内イベントや宴会への参加を促された時に、断らなければならない場合の例文をご紹介します。
取引先や顧客など、社外の人に対して送る時ほど丁寧でなくても構いませんが、声かけへの感謝とお断りする意思表示、お詫びについてはしっかり明記しておきましょう。
件名:<新人歓迎会への参加の件について>□□(自分の名前)
本文:
□□課 □□グループ 〇〇課長
お疲れさまです。□□課 □□でございます。
この度は、社内イベントの件でお声かけいただき、ありがとうございます。
残念ですが、当日は実家に帰る用事がありまして、参加できそうにありません。
別の機会には、ぜひ参加させていただきたいと思っております。
私事ではございますが、参加できないことを重ねてお詫び申し上げます。
よろしくお願いいたします。
セミナーやイベントへの誘いを断るメール
社外のセミナーやイベントへの参加を誘われた際にお断りメールを送る場合の例文をご紹介します。
招待してくれたことへの感謝と参加できない旨を明記したうえ、また誘ってほしいという今後につなげる一文も添えましょう。
件名:<△△への参加について>株式会社□□□ □□(自分の名前)
本文:
株式会社〇〇 営業部 第一営業課
〇〇様
お世話になっております。
株式会社□□□ □□課 □□グループの〇〇でございます。
この度は、△△(セミナー・イベント名)にご招待いただき、誠にありがとうございます。
せっかくご招待いただいたにも関わらず大変申し訳ございませんが、
所用のため、今回は見送らせていただきます。
また機会がございましたら、ぜひお誘いいただけますと幸いです。
末筆ながら、〇〇様の今後のご活躍とご健勝をお祈りしております。
採用を断るメール
採用に関するお断りメールについての例文です。
このようなお断りメールは基本的に定型文を用いて連絡するのが一般的です。過度な気遣いで曖昧なメール文にならないようにしましょう。
件名:<株式会社□□□>選考結果のお知らせ
本文:
◎◎様
株式会社□□□ 人事部 〇〇と申します。
この度は弊社の採用試験にお越しいただき、誠にありがとうございました。
社内で慎重に検討を重ねました結果、
誠に残念ながら今回は採用を見送らせていただくことになりました。
貴殿のご希望に添えず、申し訳ございません。
何卒、ご了承いただきますようよろしくお願いいたします。
末筆ではございますが、◎◎様の益々のご活躍をお祈り申し上げます。
「お断りメール」に対する返信メール
最後に、お断りメールを受け取った時に返信するメールの例文をご紹介します。
件名:<□□システムの提案 ご回答につきまして>株式会社□□□ □□(自分の名前)
本文:
株式会社〇〇 営業部 第一営業課
〇〇様
お世話になっております。
株式会社□□□ 営業部 第一営業課 □□と申します。
弊社の□□システムの提案につきまして、ご検討いただき誠にありがとうございました。
今回は見送られるとのこと、承知いたしました。
お忙しいところお時間をいただき、重ねてお礼を申し上げます。
またご提案の機会がございましたら、何卒よろしくお願いいたします。
末筆ではございますが、貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
お断りメールには誠意を込めて印象良く
ビジネスシーンでお断りメールを用いる場合は、取引先や顧客、上司など、断りにくい相手が多いものです。断り方に躊躇して、曖昧な表現にとどめたくなるでしょう。
しかし後々のトラブルを防ぐためにも、誠意ある気持ちを伝えつつ明確に意思表示することが大切です。基本の要素を押さえながら、言葉を和らげるフレーズをいくつか覚えてみてください。
ただし、相手との関係性にもよりますが、よくある定型文のままでは冷たい印象は拭えないかもしれません。自分が断られた時のことをイメージして、相手目線で文章を綴ることが大切です。
今回ご紹介したお断りメールのポイントを意識して、円滑なビジネス関係づくりに努めてください。
※本サイトに掲載されている情報は、株式会社ラクス(以下「当社」といいます)または協力会社が独自に調査したものであり、当社はその内容の正確性や完全性を保証するものではありません。