ビジネスメールの中で、「インラインで失礼します」や「インラインで回答いたします」という文言を目にすることがありませんか。
インラインは一般的にもよく使われていますが、正しい意味や使い方をご存じでしょうか。
使い方を知らずになんとなく使っていると、無意識のうちに失礼な文章になり、相手を不快にさせてしまうこともあります。
この記事では、ビジネスメールにおける「インライン」の意味や正しい使い方について解説していきます。
インラインとは
インラインとは、相手から送られてきた文章を引用し、質問に対する回答文を記入する返信方法のことを指します。
もともとの語源は、英語で「中」を意味する【in】と「行・列」を意味する【line】を組み合わせた「直列の」や「一直線に並んだ」という意味の英単語です。
ITの世界では、【インラインコード】や【インライン展開】というプログラミング言語があり、関数として定義したコードをプログラムコードに直接「埋め込む」という意味で使用されます。
ここから、メールに引用文面を「埋め込む」という意味合いでも【インライン】と表現するようになりました。
インラインで返信するメリット
インラインを使ってメールの返信・回答するメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
1.返信内容の簡潔化
まず、返信内容が簡潔化され、分かりやすくなるというメリットがあります。
インラインを使うと、各質問ごとに回答を記載する形になるため、返信内容が整理され、どの質問に対する回答かをひと目で理解することができます。
また質問者側にとっても、回答メール内に質問した内容が引用記載されていることで、過去に送ったメールを見返す必要がなくなるため大きなメリットといえます。
2.回答漏れの防止
次に、回答漏れが起きにくくなるという点も大きなメリットの1つです。
ビジネスシーンでは1日に何通ものメールをやりとりする中で、なるべく通数を減らすため、1つのメールに複数の話題や質問項目が含まれている場合も多くあります。
インラインを使って、1項目ずつ引用しながら返信メールを作成することで、回答が漏れてしまうリスクを防ぐことができます。
3.複数人での共有
最後に、複数人で質問・回答のやりとり内容を共有しやすいというメリットもあります。
メールのやりとりを行っている当事者ではない人に内容を共有する場合、誰がどのような質問を送り、どのような回答を送ったのかを把握するために、過去のメールを見返し、1つ1つ照らし合わせるという手間が増えてしまいます。
インラインを活用すれば、当事者ではない人でもやりとりの経緯をスムーズに把握することができるため、複数人でメールを共有することが多い場合は有効です。
インラインの使い方
インラインを使ってメールの返信・回答をする際は、引用文の先頭に「>(不等号)」をつけるのが一般的です。
オンラインでの打ち合わせでお願いいたします。
「■」や「●」などの記号を用いている場合もありますが、これらの記号は文字化けしてしまう可能性があるので、不要なトラブルを防ぐ為にも使用はなるべく避けましょう。
ただし、メーラーによっては引用形式が異なる場合もあります。
例として、よく使われるGmailでは「>(不等号)」の代わりに「|(灰色のバー)」が表示されます。
このままメール返信しても問題はありませんが、分かりづらい場合は「>」に変更することも可能なので、シーンに合わせて使いわけましょう。
GmailやOutlookでのインラインのやり方
ここでは、GmailやOutlookでのインラインの使い方や手順についてご説明します。
Gmailでのインラインのやり方
Gmailでは、引用符を1クリックで入力出来る機能がありますが、前述にも記載した通り「>(不等号)」の代わりに「|(灰色のバー)」が表示される仕様です。
- Gmailで返信したいメールを開く
- 返信したいメールの本文で、引用したい文を選択しコピー
- 「返信」アイコンをクリック
- 返信画面下のツールバーで、「A」(書式設定オプション)をクリックし、「“」(引用)をクリック
- 追加された「|」の右横に、2でコピーした引用文を貼り付け
- Enterで改行し、貼り付けた引用文の下に返信内容を入力
- メールが完成したら、「送信」をクリック
「|」ではなく「>」を使用したい場合は、上記の機能は使わず手動で入力しましょう。
Outlookでのインラインのやり方
Gmailと同様に、ブラウザ版Outlookにも引用符を1クリックで入力出来る機能があり、こちらも「|(灰色のバー)」が表示される仕様です。
- Outlookで返信したいメールを開く
- 返信したいメールの本文で、引用したい文を選択しコピー
- 「返信」アイコンをクリック
- 返信画面下のツールバーで、「…」をクリックし、「“」をクリック
- 追加された「|」の右横に、2でコピーした引用文を貼り付け
- Enterで改行し、貼り付けた引用文の下に返信内容を入力
- メールが完成したら、「送信」をクリック
インラインで返信するときのマナー
ここでは、インラインでメールの返信・回答をする際のマナーについてご紹介します。
お詫びの一言を添える
ビジネスメールではよく使われているインラインですが、中にはインラインを使ったメールを不快に感じる方もいます。
こういった方にも配慮するために、「インラインにて失礼します」「インラインにて回答します」など、一文をメールの冒頭に記載しておくといいでしょう。
インラインでの引用は簡潔に
インラインは、意見・質問を分かりやすくまとめて、コミュニケーションを円滑に進めることを目的に活用します。
そのため、インラインの内容はできるだけ簡略化されていることが大前提です。
相手の質問が長文の場合には、必要な箇所のみを抜粋して引用し、なるべく簡潔にまとめるよう心がけましょう。
そのまま相手の文章を引用すると文章全体が長くなり、かえって読みにくく、分かりにくいやり取りになってしまいます。
長文に対し長文で返信しているだけのやり取りになってしまうため本末転倒です。
どうしても長文で伝えたいことがある場合は、インラインとは別に、一から本文を作成しましょう。
相手がインラインで返信しやすいように文章を構成することも、ビジネスの上で欠かせない思いやりです。
誤字・脱字があってもそのまま引用
万が一相手のメールに誤字脱字があっても、そのまま引用しましょう。
勝手な判断で内容を修正してしまうと、相手が書いた内容を意図的に改ざんしてしまう恐れがあるためです。
このような少しの綻びが影響し、後に大きな食い違いに繋がりかねません。
明らかな誤字や脱字があっても、返信内で正しい情報の確認を行いましょう。
インラインを使った文例
インラインを使ったメール返信・回答の文例を紹介いたします。
いつもお世話になっております。
株式会社●●の××です。
先日ご連絡いただいた件について、インラインにて回答いたします。
>先日のミーティングで議題にあがった●●の件ですが、データはございますでしょうか。
はい、データをまとめた資料の用意がございますので、添付いたします。
ご確認お願いいたします。
>次回の合同ミーティングお時間は何時ごろが良いでしょうか。
>□月1日(月)9:00~11:00 or 13:00~16:00
>□月2日(火)終日可能
>□月3日(水)16:00~18:00
候補日時の提示ありがとうございます。
□月1日(月)9:00~11:00 でお願いできますでしょうか。
お忙しいところ、お時間いただき、ありがとうございます。
>ミーティングは下記の内容で検討しておりますので、内容に過不足がないかどうかご確認お願いいたします
>・◯◯◯
>・■■■
>・×××
ご検討いただき、ありがとうございます。こちらの内容で問題ございません。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
上記のように、時間帯の選択や会議のアジェンダなど、項目ごとに整理・厳選して指し示すことが、インライン活用のポイントです。
また一つのメールの中で打診したい内容が複数にわたる場合や、ひとまとめの文章にすると伝わりにくいような場合は、インラインを使って整理するといいでしょう。
インラインを使用しなかった場合には、回答内容についての前置きをする必要があったり、相手からすると何についての回答や反応なのか分からず、メールを見返す必要があったりと、お互いに手間がかかってしまいます。
インラインを使って、伝わりやすく、分かりやすい返信・回答メールを作るように心がけましょう。
インラインで返信するときは読みやすさが重要
今回は、メールでの「インライン」返信・回答の意味や使い方を紹介いたしました。
ビジネスシーンにおいて、メールを活用してコミュニケーションを取る場面が多い一方で、こうしたテキスト中心のやりとりは、誤解やコミュニケーションミスを生みやすいことが難点です。
インラインを活用し、できるだけ相手に分かりやすく、簡潔に伝えられる工夫をしてみましょう。
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