「社内ヘルプデスクの対応に追われてコア業務が回らない」「社外ヘルプデスク対応が膨大な業務量で人員を増やしても追いつかない」このような課題を抱えている企業は、実は少なくありません。
インターネットが普及したことで、人々の購買行動はオンラインが中心になりました。それに伴い、夜間でも休日でも常にサービスや製品に関する質問が寄せられるようになり、対応しなければ業績に悪影響を与える可能性すらあります。
また、近年のコロナ禍の影響でリモートワークを導入した企業では、業務中に起きたトラブルについて周囲の人に聞くことができなくなり、問い合わせがヘルプデスクに集中、その結果、ヘルプデスクの負担が増大しています。
そこで今回は、ヘルプデスク業務を自動化し、課題解決に役立つ方法としてチャットボットを紹介します。チャットボットが役立つ理由、効率的に使う方法などを解説しますので、ヘルプデスク業務に課題を抱えている方はぜひご参考にしてください。
ヘルプデスク業務とは?
まずは、そもそもヘルプデスク業務とはどのようなものなのかを紹介します。
ヘルプデスク業務には「社内ヘルプデスク」と「社外ヘルプデスク」の2つがあります。両者の違いや業務内容を確認しておきましょう。
社内ヘルプデスク
社内ヘルプデスクとは、自社の社員からの問い合わせに対応する部署を指します。社内の基幹システムやIT機器、社員に支給されているパソコンやインストールされているツールについてなど、技術的な質問に回答するのが役割です。
社内ヘルプデスクを独立した部署とさせているところは少なく、技術的な対応が必要となることから情報システム部が兼任している企業が多いようです。
社外ヘルプデスク
社外ヘルプデスクは、社外からの問い合わせに対応する部署のことです。自社プロダクトの導入を検討している、あるいはすでに運用中の顧客からの質問に回答したり、トラブルに対応したりするのが主な仕事です。
社外ヘルプデスクは、コールセンターが兼任しているケースもあれば、反対にヘルプデスク部門がコールセンターを兼ねているケースもあります。
ヘルプデスク業務は負荷が大きい
社内・社外どちらに関しても、ヘルプデスクの業務負担は大きくなりがちです。
ヘルプデスクに寄せられる問い合わせの内容は多岐にわたります。プロダクトを利用することで顧客に被害が発生した、社内の基幹システムが故障し業務が回らないといった重大なトラブルから、送料を知りたい、メールが送れないといったこまごました質問まで寄せられます。
ヘルプデスクが独立した部署であるならまだしも、情シスなどが兼任している場合には、自分たちの業務を抱えながら問い合わせに対応しなければなりません。場合によっては日中は問い合わせ対応に追われてしまい、本来の自分たちの業務は営業時間が終了してほかの社員が退社してから、といったケースもあるようです。
ヘルプデスク業務の負荷が大きすぎると、コア業務に注力できず、企業としても損失が大きくなってしまうのです。
ヘルプデスクは「自動化」で効率アップしよう
ヘルプデスク業務の負荷を減らすキーワードは「自動化」です。
業務負荷が大きいからといって、人員を増やすことは人件費の増大という別の課題を生み出します。人を増やすことなくヘルプデスク業務の負荷を減らすには、顧客や社員に自己解決を促す仕組みを作らなければなりません。
社外ヘルプデスクであれば、サイト内のお問い合わせ先を知らせるページに「よくある質問」へのリンクを目立つように掲載すれば、電話やメールを送る前に目を通してもらえる確率が高まります。社内ヘルプデスクにおいても、社内イントラネットにFAQを設置し、知りたい情報にすぐにアクセスできる環境を整えておけば、社員の自己解決を促せます。
また、社内・社外どちらのヘルプデスクにおいても、チャットボットを活用するのも方法の1つです。次章からはチャットボットとは何なのか、なぜおすすめなのかを紹介します。
ヘルプデスクの自動化にはチャットボットがおすすめ
ヘルプデスクを自動化し、顧客や社員に自己解決を促すには、チャットボットがおすすめです。
チャットボットとは、「チャット(chat=会話)」と「ロボット(robot)」を組み合わせて作られた言葉で、自動応答システムを指します。
ECサイトでお買い物するときや、ホテルの予約をするときなどに、ホームページの片隅に「何かご質問はありませんか」と小さなチャットウィンドウが開いているのを見たことはありませんか?あれがチャットボットです。
チャットボットには、「シナリオ型」と「AI型」の2種類があり、以下のように特徴が異なります。
シナリオ型
シナリオ型は、あらかじめ設定されたルールに沿って動作するタイプです。顧客や社員はチャットウィンドウ上の選択肢を選ぶか、知りたい内容をテキスト入力することで質問を行い、チャットボットはその回答を表示します。比較的、単純なFAQへの回答に向いています。
AI型
AI型は、顧客や社員がチャットウィンドウに入力した質問文をAIが解析し、適切な回答を返す仕組みです。シナリオ型よりも複雑な受け答えが可能で、人間とチャットしているのと同じように自然な会話で進行します。良質な学習データが多く集まるほど回答精度が上がっていくのも、AI型ならではの特徴です。
このように、チャットボットの種類によって向き・不向きがあるため、導入に際しては目的を明確にしたうえで適切なサービスを選ぶことが大切です。
ヘルプデスクの自動化にチャットボットが役立つ理由
ヘルプデスクを自動化するにあたって、チャットボットが役立つ理由は3つあります。
それぞれ解説します。
問い合わせの有人対応数を減らせる
問い合わせの有人対応を減らせることは、チャットボットを導入するメリットの1つです。
社内・社外問わず、ヘルプデスクに寄せられる問い合わせには「マニュアルに書かれている」「FAQを見ればわかる」といったものが少なくありません。そのような質問に担当者や情シスの社員が対応していては、いくら人がいても足りません。
チャットボットを導入すれば、繰り返し何度も寄せられる単純な質問への回答を任せられるようになります。人間はチャットボットが回答できないような複雑な質問にだけ答えればよくなるので、対応数を減らせるのです。
対応品質を一定に保てる
チャットボットを導入して問い合わせ対応を自動化する2つ目のメリットは、対応品質を一定に保てるようになることです。
顧客や社員からの問い合わせに有人対応する場合、回答する人によって内容が変わることがあります。社外ヘルプデスクでは、新入社員とベテラン社員では知識量に差があるのは当然です。社内ヘルプデスクでは、詳しく熱心に教えたいと思う人もいれば、できるだけ簡単にすませたいと思う人もいるでしょう。
その点チャットボットであれば、だれがどのように操作しても、得られる回答は同じです。対応品質にばらつきがなくなるため、顧客や社員の満足度も上がります。
24時間365日対応できる
チャットボットは機械であるため、24時間365日対応できることが3つ目のメリットです。
顧客からの質問は、営業時間中に寄せられるとは限りません。夜間や休日は対応不可の場合、顧客は不満を感じ、別の企業で購入を決めてしまう可能性があるでしょう。
そんなときでもチャットボットを設置していれば、1年中早朝でも夜中でも問い合わせ対応ができるようになります。顧客は質問に対する回答を、知りたいと思ったときに得られるようになるため、ビジネスチャンスを逃すことがなくなります。
チャットボットによる自動化を最大限活かすために
ヘルプデスク業務の自動化に際し、チャットボットを最大限活かすためには以下の3点に注意する必要があります。
順番に解説します。
対応範囲を定める
チャットボットの効果を最大限引き出すには、対応範囲を決めておくことが大切です。
チャットボットは万能ではなく、すべての質問に回答できるわけではありません。1つの文章の中に複数の質問があるものや、複雑な質問に答えるのは苦手としており、そういった部分は有人対応する必要があります。
どこからどこまでをチャットボットに任せるのか、どのタイミングで有人対応に切り替えるのかをあらかじめ決めておくと、顧客に何度も同じ質問をさせたり、回答が引き出せなくて不満を感じさせたりすることがなくなります。
複雑な問い合わせへの有人対応には、問い合わせ管理システムがおすすめです。後ほど詳しく解説します。
リリースまでに十分な検証を
チャットボットを導入する際には、リリースまでに十分な検証をしておくことも重要です。
たとえば社内ヘルプデスクでチャットボットを導入しても、回答精度が低ければ、継続利用してもらえる可能性も低くなります。また社外ヘルプデスクでチャットボットがきちんと機能しなければ、かえって顧客の満足度を下げクレームになる恐れがあります。
そのためチャットボットをリリースするまでには、テスト公開などをしたうえでチューニングを行い、一定の精度を担保するようにしましょう。
活用してもらえるように工夫する
チャットボットを導入しても、存在自体が認知されなければ使ってもらえません。活用を期待するのであれば、できるだけ多くの人に認知してもらえるような工夫が必要です。
社内ヘルプデスク向けであるなら、社内メールで通知したうえで、ポータルサイトのどのページからでもアクセスできるようにすると効果的です。社外向けに関しても、サイト上での動線をわかりやすくするよう工夫しましょう。
問い合わせへの有人対応には「問い合わせ管理システム」がおすすめ
ここまで、チャットボットの活用方法を紹介してきました。しかし、前述のとおり、FAQページやチャットボットを導入しても、複雑な問い合わせにはヒトが対応する必要があります。
そこで、まずは有人で行う問い合わせ対応の効率化や時短から実現したいという方におすすめの「問い合わせ管理システム」についてご紹介します。
問い合わせ管理システムとは
メール・チャット・電話といった各チャネルからの問い合わせを一元管理することで、効率的な問い合わせ管理を行うためのシステム。複数人で対応を分担するための機能も充実しており、対応漏れや二重対応を防止できる。
問い合わせ管理の効率性や正確性を向上させるための機能が豊富に搭載されており、リリースされているツールの種類も豊富であるため、自社に適したツールを導入することで最適な業務環境を構築することができます。
問い合わせ管理システムのメリット
問い合わせ管理システムを導入すれば、具体的には以下のようなメリットを得ることができます。
効率的な問い合わせ管理を実現できる
システムに搭載されている便利機能や自動化機能を活用することで、効率的でスピーディーな問い合わせ管理を実現できます。これにより担当者の負担も軽減することが可能です。
対応品質の向上
担当者間で問い合わせ対応に必要なナレッジ・ノウハウや対応状況を共有することで、対応品質を向上できます。属人化を解消し、担当者間での対応品質の均質化にもつながります。
ミスの低減
対応状況や進捗を共有することで、対応漏れや二重対応などのミスを減らして確実性の高い問い合わせ対応が行えます。
担当者・利用者の満足度向上
スムーズに問い合わせ対応が行えれば、問題の解決スピードも高まります。これにより問い合わせに対応する担当者と問題や疑問を解決したい利用者双方の満足度を向上することが可能です。
問い合わせ内容の集計や分析が可能
システムによっては、問い合わせ内容の集計や分析をシステム上で簡単にできるものがあります。よくある問い合わせを把握することで、FAQのコンテンツやチャットボットを適切に更新することができるようになり、問い合わせ件数の削減につながります。
おすすめの問い合わせ管理システム「メールディーラー」
複数人での問い合わせ対応効率化のために、問い合わせ管理システムを導入するなら、「メールディーラー」がおすすめです!
Point
- チームでのメール共有に特化
- メールの見落としや返信漏れを防止
- レポート機能で問い合わせ内容の分析が可能
メールディーラーとは、株式会社ラクスが提供するinfo@やsupport@などの共有メールアドレス宛に届くメールを複数人で対応することに特化した問い合わせ管理システムです。
チーム全員のメールを対応状態ごとに「新着」「返信処理中」「対応完了」のステータスに自動で振り分けてくれます。どのメールにだれが対応しているのかリアルタイムで共有できるので、対応状況がひと目でわかり、メールの見落としや返信漏れを防ぐことができます。
また、メールごとに属性情報を付与することができ、メールディーラー上のレポート機能で簡単に集計ができます。
問い合わせ内容を分類しておくと、どういった問い合わせが多いのかを分析することが可能です。分析結果をもとにFAQページを充実させるなど、問い合わせ件数を削減する施策に活用いただけます。
コストパフォーマンスにも優れており、無償で専任担当者によるきめ細かいサポートが付随しているため、初めての方にもおすすめできる製品です。
ヘルプデスク業務はシステムを活用して自動化しましょう
社内・社外を問わず、ヘルプデスクの業務を効率化するには、いかに「自動化」を進め、顧客や社員の自己解決を促すかが成功の鍵を握ります。ヘルプデスク業務を自動化するには、FAQを充実させるのはもちろん、チャットボットを導入すると効果的です。
チャットボットは、対応品質を一定に保てるうえ、24時間365日の対応を可能にするのがメリットです。単純なFAQに対する回答をチャットボットに任せれば、ヘルプデスクに関わる人員の削減にもつながります。
また、チャットボットの導入と合わせて、「問い合わせ管理システム」の導入も検討してはいかがでしょうか?
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