企業がビジネス活動を行っていると、自ずと業務の推進や課題解決に役立つノウハウが蓄積されていきます。企業活動を活発化させるには、日々蓄積されるノウハウを共有して有効活用することが重要なポイントです。
当記事では、ノウハウの概要、ノウハウ共有を行う意味、ノウハウ共有にツールを活用するメリット、ツールの選び方、おすすめのツールについて解説しています。
社内のノウハウ共有の体制を構築したい方や、より良いノウハウ共有の方法を模索している方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
ノウハウとは何か?
ノウハウ共有の重要性が叫ばれていますが、そもそもノウハウという言葉にはどういった意味があるのでしょうか。
ノウハウとは、英語の「know-how」が語源となった和製英語です。それぞれを直訳すると「知る」「方法」という意味となります。一般的には、「物事の進め方や手順に関する知識」と解釈されており、ビジネスに限らずさまざまな分野で活用されているワードとなります。
ビジネスにおいては、一般的に「製品開発・製品製造に関する知識や方法」「企業経営に関する情報や方法論」と解釈されており、企業の知的資産や情報資産として扱われる傾向が強くなります。
ノウハウを共有する意味とは
近年のビジネスシーンでは、社内でのノウハウ共有やノウハウの活用に注目が集まっていますが、ノウハウ共有を行うべき意味や理由についてわからない方もいるのではないでしょうか。
ここでは、ノウハウ共有を行う具体的な目的・意味について解説します。
業務効率の向上
有益なノウハウが社内に存在していても、だれもがスムーズに活用できる形で共有されていなければ、実務に役立てることはできません。ノウハウ共有を推進すれば、社内に点在するノウハウを集約することで、だれもが手軽に活用できる環境ができあがるため、社員全体の業務効率を向上させることができます。
組織全体でのノウハウ活用を活性化することで、組織力や生産性をベースアップできることが、ノウハウ共有を実践する大きなメリットです。
教育の効率化
企業活動においては、社内で培われたノウハウを新しく採用した人材へ伝えることで、後進を育成していく必要があります。しかし、ノウハウの共有が行われていないと基本的に口頭での伝達やマンツーマン指導といった方法でしか人材の育成を行うことができず、極めて非効率です。また、育成に従事する人材のリソースも圧迫します。
新人が自身で学べるノウハウは自己学習できる状態にすることで、人材育成の効率化や簡便化を図ることも、ノウハウ共有を推進すべき理由のひとつです。
暗黙知を形式知に
企業内に存在するノウハウは、個人の経験や勘といった容易には共有できない形で存在しており、このような知識のことを暗黙知と言います。暗黙知の状態のままでは、メンバー間でノウハウを伝授したり共有を行ったりといったことが難しいため、テキストや図表を用いてドキュメント化を行い、共有できる形へと変換する必要があります。
このようにノウハウ活用の非効率性を解決することも、ノウハウ共有の施策を推進すべき理由のひとつです。
ノウハウ共有にツールを活用するメリット
ノウハウ共有は上記のようにさまざまなメリットを得ることができますが、実際に取り組んでみると多くの時間や労力が必要となるため、スムーズな推進が難しい場合があります。
そこでおすすめとなる方法が、ノウハウ共有ツールの活用です。ここでは、ツールを活用してノウハウ共有を行うメリットについて解説します。
ノウハウの蓄積
社内でのノウハウ共有を促進するためには、社員が持つノウハウを共有できるようにドキュメント化を行い、ノウハウを蓄積していく必要があります。
ノウハウ共有ツールを活用すれば、専用のフォーマットやエディターを活用することで、スムーズにノウハウの作成や蓄積を行うことが可能です。また、蓄積したノウハウもわかりやすく整理して、取り出しやすい形で管理することができます。
ノウハウ共有の下準備となるノウハウの蓄積や管理を効率化できることは、専用ツールを活用する大きなメリットです。
ノウハウの検索性が向上
蓄積したノウハウは、必要な時にすぐに活用できる環境を整えておくことが非常に重要です。いくら優れたノウハウを保有していても、いざという時に見つけられなければ、ビジネスの現場では有用性を発揮することができません。
ノウハウ共有ツールには、蓄積したノウハウをわかりやすく整理する機能や、必要な情報をスムーズに探し出す検索機能が搭載されています。ツールを導入することでノウハウの検索性を向上させることができるため、実務においてもスムーズにノウハウを活用できることがメリットです。
ノウハウの更新が可能
ビジネスの状況は常に変化するため、既存のノウハウは定期的に更新を行っていかなければ、いずれ陳腐化して役に立たないものとなってしまいます。
ノウハウ共有ツールであれば、既存のノウハウへの編集・追記・タグ付けといった更新作業を容易に行うことができ、情報も一元化されているためバージョン管理もスムーズに行うことが可能です。エクセルシートでのノウハウ共有のように、バージョンや更新の有無が混在してしまうリスクを回避することができます。
スムーズなノウハウ更新により、常に最新のノウハウを活用できる環境を構築できることも、ノウハウ共有ツールを活用するメリットです。
問い合わせ対応の効率化
ノウハウ共有ツールを導入すれば、疑問や問題を抱えた社員はツール上から自分で回答を探し出して自己解決を図ることができるため、問い合わせ対応業務を効率化することができます。
また、社外の顧客や取引先へ問い合わせ対応を行う際にも、速やかに必要な情報を探して回答を行うことができるため、対応業務の効率化を図ることが可能です。
社内外の問い合わせ対応の効率化を実現できることも、ノウハウ共有ツールを導入するメリットのひとつです。
ノウハウ共有ツールの選び方
ノウハウ共有ツールはさまざまな製品がリリースされていますが、実際の現場でパフォーマンスを発揮するには、自社の状況・環境に合ったツールを選定することが非常に重要です。
ここでは、ノウハウ共有ツールの選び方とポイントについてご紹介します。
使いやすさ
ノウハウ共有ツールを選ぶにあたってまず重要となるポイントが、ツールの使いやすさです。
ツールを選ぶ際には機能・性能ばかりに目が行きがちですが、ツールを使いこなせなければノウハウ共有においても有用性を発揮することはできません。そのため、社内のだれもが無理なくスムーズに利用できるツールを選ぶことが非常に重要となります。
ITリテラシーやITスキルは人それぞれ異なる点に留意して、ツールの操作が苦手な社員も容易に操作方法や活用方法を習得できるツールを選ぶようにしましょう。
目的に合っているか
ノウハウ共有ツールを導入する目的や用途は企業により異なるため、一概に機能・性能の単純比較だけでは最適なツールを選ぶことができません。ノウハウ共有ツールは、ノウハウ共有の方法・仕組み・機能などにおいてさまざまな違いがあるため、自社の目的や用途にあったタイプのツールを選ぶのが重要なポイントとなります。
「ノウハウの蓄積を優先したい」「既存ノウハウの検索性を重視したい」「コミュニケーションや問い合わせ対応を円滑化したい」「ノウハウ共有の簡便化や省力化を重視したい」など、まずは自社の目的や用途を明確化して、そのうえで要件を満たせるツールを比較検討していきましょう。
検索性は十分か
ノウハウ共有は、蓄積したノウハウを実際に活用するために行う施策であるため、検索性に優れたツールを選ぶことが非常に重要です。そのため、以下のようにツールの検索性能について多角的なチェックを行っておくことがポイントとなります。
- カテゴリやタグを使用できるか
- 検索精度は優れているか
- 表記ゆれを吸収できるか
- 階層構造ごとの検索は可能であるか
検索性については実際にツールを操作してみないと判断できない部分が多いため、無料トライアルを試して違和感なく活用できるか、自社が求めるスペックを有しているかを確認しておきましょう。
セキュリティは万全か
ノウハウ共有ツールでは、自社が培ってきた貴重なビジネスノウハウを取り扱うため、万全のセキュリティ対策が施された製品を選ぶことが非常に重要です。万が一社外に情報が漏えいしてしまうと、自社のビジネスの推進や成長に大きな損害をもたらす恐れがあります。
ツール選びの際には機能や性能が優先され、セキュリティ面については後回しにされやすい傾向にあるため、特に注意しておきましょう。
おすすめのノウハウ共有ツール
ノウハウ共有ツールの選び方についてご紹介しましたが、実際にどのようなツールを選べばよいかわからない方もいるでしょう。
ここでは、多くの企業が実際に活用しているおすすめのノウハウ共有ツールをご紹介します。ツール選びに迷っている方や、安心して導入できるツールをお探しの方は、ぜひご参考下さい。
メールディーラー
メールディーラーとは、株式会社ラクスが提供するinfo@やsupport@などの共有メールアドレス宛に届くメールを複数人で対応することに特化した問い合わせ管理システムです。
メールごとの対応状況や担当者が、利用ユーザー全員に共有されるため、対応漏れや重複対応を防止できます。
また、メールディーラーは、属人化を防止するための機能を多数搭載しており、その一つとして、社内向けのマニュアルとして活用できる「社内Q&A機能」もあります。属人化防止のための機能を詳しくご紹介します。
メールディーラーの属人化防止機能
メールディーラーは、複数人での情報共有を効率化し、担当者しか把握していない情報があり業務が滞るといった問題を解消します。
ポイント
- 担当者・チャネルをまたいだ過去の対応履歴をワンクリックで確認できる
- メールごとにコメントで対応方針を記録できる
- テンプレートや社内Q&A(社内マニュアル)で担当者全員がノウハウを共有できる
NotePM
NotePMは、社内用に特化したWikiタイプのノウハウ共有ツールです。ウィキペディアのようにだれでも手軽にコンテンツの作成や編集を行うことができるため、社内メンバーが保有しているノウハウを集約して一元化することが可能です。Wikiに登録されたノウハウは、ツールに搭載された検索機能を駆使してスムーズに探し出すことができます。外部連携による情報の出力も可能となっており、ノウハウの活用面においても優れたツールです。
操作方法も簡単で機能性にも優れているため、Wikiタイプのツールを導入してノウハウ共有を推進していきたい方にはおすすめです。
Qiita Team
Qiita Team(キータチーム)は、ドキュメントの作成・管理・共有・活用に至るまで、とにかく「かんたん」であることを重視して開発されたノウハウ共有ツールです。
特別な知識やスキルも必要無く、だれでも簡単にノウハウの作成から活用までを行うことができるため、社内でのノウハウ共有をスムーズに推進することが可能です。情報共有だけでなくコミュニケーションも活性化させやすいため、ノウハウの有効活用により企業の生産性向上を実現することができます。
ノウハウ共有ツールを導入したいけれども、メンバーのITスキルやITリテラシーに懸念のある方は、ぜひ検討して頂きたいツールです。
esa.io
esa.ioは、さまざまな業界・業種の3,000以上の企業・団体に活用されている実績を持つ、チームでのドキュメント共有と育成を行うことを目的としたノウハウ共有ツールです。
最初から完璧なドキュメントを目指さず、何度も更新しながらブラッシュアップを重ねていくことを前提に開発されたツールであることが大きな特徴です。常に見直しや改善が必要となるビジネスノウハウの共有には非常に適した機能や特性を備えています。
ノウハウの育成に課題を抱えている方や、ノウハウの育成に重きを置きたい方には、非常におすすめのツールです。
自社に最適なノウハウ共有ツールを選びましょう
状況の変化が激しく柔軟な対応やスピード感が求められる現代のビジネスシーンにおいては、社内でのノウハウ共有をいかにスムーズに行うかが、ビジネスの成長や成否を左右します。
社内でのノウハウ共有を推進するのであれば、やはり専用のノウハウ共有ツールを導入するのがおすすめです。自社の状況や環境に合ったツールを導入すれば、的確で効率的なノウハウ共有を行える体制を実現できるでしょう。
これから社内でのノウハウ共有を推進したい方や、現在のノウハウ共有に課題を抱えている方は、ぜひ当記事を参考にして自社に最適なツールの導入を検討してみて下さい。
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