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カスタマーサクセスが設定すべきKPI25選!目標設定や達成方法も解説

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カスタマーサクセスが目標を達成するためには、KPIを設定することが大切です。KPIには多くの種類があり、どれを設定すべきか迷っている方も多いでしょう。今回は、カスタマーサクセスが設定すべき12個のKPIや設定方法、ポイントやKPIの重要性などを解説します。カスタマーサクセスを成功させたい方はぜひ参考にしてください。

この記事の目次

    カスタマーサクセスとは?

    カスタマーサクセスとは、商品やサービスを購入しているお客様に成功体験を提供するための取り組みです。

    カスタマーサクセスには「お客様の成功」という意味があります。カスタマーサクセスの担当者は自社商材の利用履歴や契約状況を収集・分析することで、どうすればお客様により多くの満足やメリットを提供できるかを考えます。

    カスタマーサクセスのメリットや役割、重要なポイントについては下記記事で詳しく紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

    KPIとは?

    KPI(Key Performance Indicator)とは、最終目標(KGI)に至るプロセスを評価する指標です。日本語で「重要業績評価指標」と呼ばれ、KGIを達成するための中間目標を具体的に設定することを「KPIを設定する」といいます。KPIは、目標を順調にクリアできそうか、進捗はどうなっているかなどを計測する際に活用する指標です。

    カスタマーサクセスがKPIを設定する重要性

    カスタマーサクセスがKPIを設定する重要性は以下のとおりです。

    • 目標達成のためにやるべきことが明確化する
    • 効率的に業務を改善できる
    • 業務の一貫性を維持できる
    • 客観的な人事評価が可能になる

    それぞれのメリットについて見ていきましょう。

    目標達成のためにやるべきことが明確化する

    KPIを設定することで、KGIを達成するために具体的に何をするべきなのかが明確になるのがポイントです。

    たとえば、カスタマーサクセス全体で「お客様のリピート購入率を◯%増加させる」という目標のみを立てたとしましょう。そのために何をやるべきなのかはわかりにくく、従業員によって目標へのアプローチ方法は変わってきます。

    一方、「既存のお客様との商談を毎月◯◯件実施する」「既存のお客様に対して毎月◯◯件メルマガを配信する」などのKPIを細かく設定すれば、目標達成までの道のりが明らかになります。その結果、目標を達成しやすくなり、従業員のモチベーションアップも期待できるでしょう。

    効率的に業務を改善できる

    KPIを設定することで、達成度合いを適宜計測できるようになり、効率的な業務改善が実現するのもポイントです。

    KPIの達成度を見れば、「お客様への架電数が足りていない」「お客様にメールを送っているが開封率が低い」などの原因がわかります。それを優先的に解決することで、KGI達成に向けて効率的に業務を改善できるでしょう。

    業務の一貫性を維持できる

    カスタマーサクセスでKPIを設定することは、業務の一貫性を保つためにも非常に重要です。KPIを設定することで、最終目標であるKGIの達成に向けた指標が明確になり、具体的に何をすべきかを共有できるようになります。業務の属人化が防げるため、人事異動などで担当者が変わるたびに業務の進め方が変更してしまうことを避けられるでしょう。

    客観的な人事評価が可能になる

    KPIの達成度合いを人事評価に活かすことで、客観的な人事評価も可能です。

    KPIは、数値で表せる定量的な指標です。KGIの達成度合いだけではなく、KPIを着実に達成している従業員を評価すれば、従業員を客観的かつ公平に評価できます。

    人事評価に対する不満も生まれにくくなり、従業員のモチベーションもアップするでしょう。

    カスタマーサクセスで設定すべきKPI25選

    カスタマーサクセスを追求するには、意識して分析すべき数値があります。ここでは、カスタマーサクセスが設定すべき代表的な25個のKPIを紹介します。

    1.オンボーディング完了率

    オンボーディングとは、お客様がサービスを利用し始めて定着するまでの期間を指します。定着した状態を「完了」とみなし、全体の何%が完了したかを算出したのがオンボーディング完了率です。

    オンボーディング完了率は、以下の計算式で算出されます。数値が低ければ、サービスは使われておらず解約される可能性があるとみなし、具体的な解約防止策につなげましょう。

    オンボーディング完了率(%)
    =完了した会社数÷オンボーディング期間の全会社数

    2.オンボーディングコスト

    オンボーディングコストとは、契約に至ったお客様がオンボーディングプロセスを完了するまでにかかったコストのことです。

    お客様にサービスや商品により早く慣れてもらうためには、適切なサポートを提供する必要があり、そのためにかかるサポートコストを意味します。オンボーディングコストの計測によって、カスタマーサクセスの活動の効率性を測れます。

    オンボーディングコストは、以下のように計算しましょう。

    オンボーディングコス=カスタマーサクセス時間単価×投下時間数

    3.有料化率

    有料化率とは、無料版の商品やサービスを使っているお客様の何割が、有料商品・サービスの契約に至ったかを表す指標です。有料化率は、収益に直結する重要な指標です。

    また、この数値が高いほど、お客様が自社の商品やサービスの価値を認識し、継続的に利用する意欲が高いことをあらわします。無料版での離脱が多いのは、お客様が商品やサービスの価値を感じられている証拠であるため、商品やマーケティング戦略の見直しが求められるでしょう。

    有料化率の計算式は、以下のとおりです。

    有料化率 = 有料プランを利用するお客様数 ÷ 無料プランを利用するお客様数

    4.初回CS対応解決率

    初回CS対応解決率は、あらゆるチャネルにおけるお客様からの問い合わせに対して、初回の対応で解決できる割合を示す指標です。問い合わせをしたときに、その場で納得のいく回答や十分な対応を受けられると、お客様の満足度が向上します。

    初回CS対応解決率の計算式は以下をご参照ください。

    初回CS対応解決率=初回の問い合せ解決件数÷問い合わせ総数

    5.継続率

    継続率は、お客様が契約を継続してくれる平均期間を示した数値です。継続率を改善することで、費用効率の良いサービスに成長させることができます。

    継続率は、以下の計算式で算出されます。

    継続率(%)=契約中の会社数÷ある期間に契約を開始した全会社数

    KPI設定の際には、オンボーディング完了後の360日以内の継続率、720日以内の継続率などと期間と対象顧客を分けて設定するとよいでしょう。お客様の属性(to Cであれば年齢など/to Bであれば業種など)によって極端に継続率に違いがある場合は、解約防止策も分けて考えるべきであるため、属性によって異なったKPIを設定してもよいかもしれません。

    6.リテンションレート(顧客維持率)

    リテンションレート(顧客維持率)は、一定期間中に契約しているお客様の割合を示す指標です。顧客定着率やCRRとも呼ばれ、以下のように算出できます。

    リテンションレート= (期間終了時のお客様数 - 期間中のお客様獲得数)
    ÷ 期間開始時のお客様× 100

    リテンションレートが高ければ、その分お客様を安定的に確保できているということであり、解約率は低くなります。

    カスタマーサクセスにおけるリテンションの重要性やリテンションを高める方法については、下記記事で詳しく解説しておりますので、ぜひご参考ください。

    7.チャーンレート(解約率)

    リテンションレートと並び、KPIとして注目したい指標が解約率です。解約率の低さは収益の安定につながります。解約率の算出方法には2種類があり、お客様数から見た解約率はカスタマーチャーン、売上額から見た解約率はレベニューチャーンと呼びます。

    計算式は以下のとおりです。

    カスタマーチャーン(%)=お客様の数÷契約顧客数
    レベニューチャーン(%)=(サービス単価×解約数)÷売上

    サービス提供などを行う場合、料金体系が1つしかない場合は、カスタマーチャーンのみで事足りるでしょう。

    しかし、料金体系が複数ある場合は、低単価プランの解約と高単価プランの解約では売上に与える影響度合いは異なるため、収益を基準に割合を算出するレベニューチャーンを使用する必要があります。

    チャーンレートの目安や改善策については下記記事で詳しく紹介しておりますので、あわせてご確認ください。

    8.アップセル/クロスセル率

    アップセルとクロスセルは、いずれもお客様の単価を上げる方法です。

    アップセルとは、より高いものを購入してもらうことを指します。たとえば、利用中のプランから上位プランにアップグレードしてもらうことは、アップセルに該当します。です。

    クロスセルとは、お客様が購入した商品やサービスと関連性のあるものを購入してもらうことです。

    アップセルもクロスセルも売上を伸ばすには効果的な方法ですが、そもそも契約中のサービスの満足度が十分であることが前提です。アプローチする時期を間違えないように、契約中のお客様の満足度、利用率をしっかりと把握しましょう。

    アップセルとクロスセルについては、下記記事で詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。

    9.CAC(顧客獲得単価)

    CACは「Customer Acquisition Cost」の頭文字を取った用語で、日本語に直訳すると「顧客獲得単価」を意味する言葉です。顧客を獲得するために必要な平均費用のことであり、具体的にはセールスの人件費や広告出稿などのマーケティング費用などが含まれます。

    経営視点では、常にLTV(顧客生涯価値)>CACとなることが望ましいとされます。いかにCACを下げられるかどうかがポイントであり、たとえば展開中の広告を見直し、より効果が見込める出稿先やチャネルのみに絞る、MAツールやCRMツールを活用するといった対策が有効です。

    CACは、以下の計算式により算出します。

    CAC=顧客獲得コスト÷顧客獲得数

    10.CRC(顧客維持コスト)

    CRCとは「Customer Retention Cost」の略語であり、日本語では顧客維持コストを意味します。つまり、既存のお客様を維持するのに必要なコストであり、カスタマーサクセスチームの人件費やプラットフォーム費のほかオンボーディング費、既存のお客様向けのマーケティング費などの総計です。

    CRCは、以下のように算出します。

    CRC=お客様維持にかかる人件費+システム費用+お客様支援実施費用など

    収益を上げ続けるためには、既存のお客様に長く商品やサービスを利用してもらうことが大切であるため、既存のお客様との関係維持は企業にとっての生命線と言えるでしょう。

    そして、お客様を維持するための活動にどの程度のコストをかけているかを知ることは、カスタマーサクセスの支援の充実度合いや、ビジネスの健全性を図るうえでは欠かせません。

    CRCが少なすぎると、お客様に十分満足してもらうことが難しく、解約率の上昇といったリスクにつながります。一方で、CRCが著しく高いと投資家からの評価が得られにくい側面があります。

    自社のCRCが適切かどうかを判断するには、以下の計算により、売上に対するCRC比率を確認するとよいでしょう。

    CRC比率=年間CRC÷ARR(年間経常収益)

    11.LTV(顧客生涯価値)

    LTVは「Life Time Value」の略で、あるお客様の契約開始から、終了までにもたらす売上を表す数値です。LTVは「購買単価×購買頻度×継続期間」で求められます。

    お客様1人あたりのLTVの改善は、利益率の改善や事業の成長速度向上につながります。

    LTVを上げるためには、単価・頻度・期間の数値全てを向上させることが理想です。

    まずはオンボーディング完了率や継続率などの定量データとインタビューのような定性データを分析し、どこからアプローチすべきかを検討しましょう。

    12.NPS(顧客推奨度)

    NPS(Net Promoter Score)は、お客様が商品やサービスを他者にどのくらい勧めたいと考えているかを数値化したものです。

    NPSを計測するには「あなたはこのサービスについて、身近な人にどの程度おすすめしたいですか」という質問を投げかけ、0~10点で評価してもらうのが一般的です。

    あくまでもアンケートをもとにした指標であり、お客様の属性によって偏りが発生する可能性があります。契約開始からの日数や年齢層など、分析対象とするお客様の属性を定期的にかき混ぜて、分析し直すことが大切です。

    13.NRR(収益継続率)

    NRRとは、「Net Retention Revenue」の頭文字を取った用語で、収益継続率を意味し、具体的には既存のお客様からの収益が一定期間でどの程度維持できているかを示します。

    NRRをチェックすることで既存のお客様からの収入の増減を確認でき、お客様が商品やサービスに感じている価値の変化を判断できるほか、短期的な収益予測にも用いられます。

    NRRは、カスタマーサクセスの取り組みの成果を評価するために役立つ指標の1つです。カスタマーサクセスの目的は、お客様が商品やサービスを活用し継続的に利用することです。そのためNRRが向上すれば、カスタマーサクセスの取り組みの成果と言えるでしょう。

    月次のNRRであれば、以下のように計算できます。

    NRR=(月初MRR(月次経常収益)+拡大MRR-解約・ダウングレードMRR)÷月初MRR

    14.CRR(契約終了を迎えた顧客維持率)

    CRRは「Customer Retention Rate」の頭文字を取った用語で、一定期間に契約終了を迎えたお客様のうち、再契約または契約更新をしたお客様の割合を指す言葉です。お客様が商品やサービスに価値を感じているかを計るという意味ではNRRと似ています。しかし、NRRは収益継続率をあらわし、収益額にフォーカスした指標であるのに対し、CRRは顧客数を計測する点が異なります。

    会社が収益を上げるためには、新規のお客様を獲得するよりも、既存のお客様を維持する方が効果が高いことが多いです。CRRが低い場合、何らかの課題が潜んでいることがあるため、ビジネスモデルや商品・サービスを見直す必要があるでしょう。

    CRRを算出する計算式は以下のとおりです。

    CRR=(再契約・契約更新したお客様の数)÷契約期間が終了するお客様の数

    15.ARPA(アカウント単価)

    ARPAとは「Average Revenue Per Account」の略であり、サービスにおけるアカウント1つあたりの平均売上を表す指標です。読み方は「アーパ」あるいは「アルパ」です。

    似た用語に、「ユーザー単価」を意味する「ARPU(Average Revenue Per User)」があります。ARPUが1ユーザーあたり、ARPAは1アカウントあたりの平均売上を意味する点に注意しましょう。

    ARPAは、SaaSやWeb関連事業などのサブスクリプション型ビジネスや、携帯電話キャリアなどの通信事業にも用いられる指標です。また、スマホゲームをはじめとした、ゲーム関連事業を行う会社も効率的に業績を判断するための指標として活用する傾向があります。

    APPAは、以下の計算式で求められます。

    APPA=MRR÷総アカウント数

    16.CSAT(顧客満足度)

    CSAT(Customer Satisfaction)は、お客様の満足度を計測するための指標です。商品やサービスを使ってお客様がどのような体験をしたのかという、感情的な価値に焦点を当てています。

    CSATを測定するためには、NPSと同じくお客様に対してアンケート調査を実施しましょう。商品やサービスに対する満足度を「非常に不満・不満・普通・満足・非常に満足」の5段階に分けて評価してもらい、以下の計算式でCSATを算出します。

    CSAT(%)= 満足または非常に満足と回答した数 ÷ 全回答数 × 100

    17.定着率

    定着率とは、お客様の商品・サービスへの定着度を計測する指標です。具体的には、一定期間のうちに同じ商品やサービスを購入したお客様の割合のことであり、定着率が高い場合、お客様満足度も高いと判断できます。特に、お客様が毎日あるいは頻繁に使うような性質の商品やサービスを提供している場合に、重要となる指標です。

    定着率は、以下のような計算式で求められます。

    定着率=DAU(日次利用者数)÷MAU(月次利用者数)

    18.アクティブユーザー数

    アクティブユーザー数は、サービスに対して積極的に行動するお客様の数のことです。アクティブユーザー数が多いということは、その分お客様のサービスに対するモチベーションが高いことがわかります。

    アクティブユーザー数の定義は、サービスの内容によって異なります。たとえば、クラウドサービスにおけるアクティブユーザー数は、一定期間中にサービスにログインしたお客様の数やプランをアップグレードしたお客様の数などと定義できるでしょう。

    アクティブユーザー数が低い場合は、オンボーディング完了率やCSATなどの改善に努める必要があります。

    19.アクティベーション率

    アクティベーション率とは、新規に契約したお客様がアクティブ化する割合を示した指標です。たとえば、インターネットで提供されている会員サービスなどに新規会員として登録した後、サービスの価値を実感できるような特定のアクションを起こしたユーザーの人数をあらわします。

    SaaSのようなビジネスにおいて、契約が完了していることとアクティブに利用していることは大きな違いがあるため、アクティベーション率を測ることが重要です。それによって、お客様満足につながるアクションにつなげられるでしょう。

    アクティベーション率を算出する計算式は、以下のとおりです。

    アクティベーション率=新規アクティブ利用者数÷新規契約者数

    20.セッション時間

    セッション時間は、お客様がサービスにログインしてからログアウトするまでの時間です。

    セッション時間が長ければ、その分長くサービスを利用しており、満足度が高い状態と言えます。

    「セッション時間の短さと解約率の高さには相関関係がある」というように、セッション時間とほかのKPIの相関関係について仮説を立て、分析することも可能です。

    セッション時間が短い場合は、その分お客様がサービスに満足していないと考えられます。特にセッション時間が短い機能を分析し、機能を改善することが大切です。

    21.ヘルススコア

    ヘルススコアとは、お客様のサービス利用状況を健康状態として可視化したものです。

    健康な状態は、サービスの利用時間や回数が多いことを指します。

    ヘルススコアを測定するためには、お客様の行動や頻度ごとに点数を与えましょう。1週間に1回もログインしていないお客様は0点、毎日ログインしているお客様は10点のように点数を与え、点数を合計します。

    ヘルススコアを測定することで、解約や他社サービスに乗り換える兆候をいち早く把握でき、解約を食い止めるための提案ができるでしょう。

    22.CSQL

    CSQL(Customer Success Qualified Lead)とは、カスタマーサクセスによって既存のお客様から精査されたリードのことです。一定の基準をクリアしたお客様であり、アップセルやクロスセルにつながる可能性を秘めています。

    CSQLが多ければ多いほど、カスタマーサクセスの成果が出ていると判断できます。

    23.TTV(価値提供までにかかった時間)

    TTVとは「Time to Value」の頭文字からなる用語で、お客様が商品・サービスを使い始めてから価値を実感するまでの時間を意味する言葉です。「価値」とは、お客様がその商品やサービスを利用することで得られるものと期待する利益を指します。

    たとえば、BtoBの商品・サービスの場合、利用することで事業の効率化や収益向上できることがお客様にとっての価値と言えるでしょう。

    TTVは短いほどよいとされています。SaaSのビジネスモデルであれば、1か月や1年などの一定期間ごとに契約更新をしてもらわなければなりません。更新時期までにそのサービスの価値を伝えられなければ、解約リスクが高まってしまいます。そのためには、サービスの明確化やサポートの強化などの、早期に価値を実感してもらえる仕組みづくりが欠かせません。

    24.口コミやレビューサイトへの投稿獲得数

    口コミやレビューサイトへの投稿獲得数も、カスタマーサクセスを追求する際に意識すべきKPIの1つです。

    インターネットの普及により消費者行動は大きく変化し、購入や契約を検討するにあたり、事前に商品・サービスについてリサーチすることが少なくありません。カスタマーサクセスの活動の結果、お客様が自社商品やサービスを利用した成功体験を発信してくれれば、見込み顧客へのアピールとなるでしょう。それによって、問い合わせ数の増加などが期待できます。

    25.口コミや紹介からの問い合わせ数

    既存のお客様の口コミや紹介によって新たに寄せられた問い合わせ数も、カスタマーサクセスのKPIとして挙げられるでしょう。

    カスタマーサクセスの活動によって既存のお客様との関係性が強化されたことから、自社商品やサービスに対するポジティブなレビューや口コミが投稿され、結果的に新規のお客様の獲得につながることもあります。

    カスタマーサクセスを通じて、新規のお客様の獲得にまでつなげたい場合は、口コミや紹介からの問い合わせ数もKPIとして設定するとよいでしょう。

    カスタマーサクセスとカスタマーサポートのKPIの違い

    カスタマーサクセスとカスタマーサポートで設定されるKPIは、それぞれ以下のとおりです。

    • カスタマーサクセス:売上や解約率、顧客満足度など
    • カスタマーサポート:対応件数、一次応答時間、処理時間など

    カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、どちらもお客様を支援する役割を担います。しかし、前者の目的はお客様に成功体験を提供すること」である一方、後者は「お客様の疑問やトラブルを解決すること」が目的です。

    カスタマーサクセスのKPI設定方法

    ここでは、カスタマーサクセスがKPIを設定する方法を紹介します。

    1.現状分析と課題の把握を行う

    まず、自社の現状分析と課題の把握を行いましょう。必要なKPIを取捨選択するためには、実際にどのような課題が発生しているのかを特定しなければなりません。

    たとえば、スムーズなアップセルやクロスセルがなされておらず、顧客単価が低いことが課題であれば、現状のサービスプランへの顧客満足度の低さが要因と考えられます。この場合、設定すべきKPIとしては、「NPS(顧客推奨度)」や「CSAT(顧客満足度)」などが挙げられます。

    自社の課題を踏まえて設定するKPIを決めることで、効果検証の効率が向上し、適切な対策を講じられるでしょう。

    2.KGIを設定する

    KPIを設定するには、まずKGIを設定しましょう。

    KGI(Key Goal Indicator)は、日本語では「重要目標達成指標」と呼ばれます。会社が達成すべき最終目標と言えるでしょう。

    KGIには、「売上高」「利益率」「成約件数」など、数値化できるものを選択します。そして、KGIを達成できているかを明確に判断できるよう、達成すべき時期や具体的な数値を設定することが大切です。

    会社の将来ビジョンや経営理念などに沿った、達成可能なKGIを設定しましょう。

    3.KGIを達成するためのプロセスを洗い出す

    KGIを設定したら、KGIを達成するまでのプロセスを洗い出しましょう。これをKFS(Key Success Factor)と呼びます。

    たとえば、「売上を〇〇%アップさせる」というKGIを設定する場合、そのためには「新規のお客様顧客リストの獲得」「インサイドセールスでのアプローチ」「成約したお客様の後の顧客単価のアップ」などが必要です。

    それぞれのKFSについて数値を定めることで、KPIを設定できます。

    4.KPIに落とし込む

    KPIを検討した後は、現場に落とし込んでKPIを確定させましょう。KPIは従業員全員が取り組む目標であるため、一部の幹部が出席する会議で決めるのではなく、現場の意見を取り入れることが大切です。

    また、現状を確認し、KPIの達成可能性をチェックすることも欠かせません。KPIの各項目について実績をチェックし、現状と目標との乖離を確認しましょう。あまりにも乖離が激しい場合は、KPIを達成可能な数値に下方修正する必要があります。

    カスタマーサクセスがKPIを設定する際のポイント

    ここでは、カスタマーサクセスがKPIを設定する際のポイントを解説します。

    「SMART」に当てはまるKPIを設定する

    「SMART」は、KPI設定にあたって注意すべき以下の5つの頭文字を取ったものです。

    • Specific(明確性)
    • Measurable(計量性)
    • Achievable(達成可能性)
    • Relevant(関連性)
    • Time-bound(適時性)

    KPIを設定する際には、SMARTに当てはまるかを確認しましょう。

    以下では、それぞれの目標について解説します。

    Specific(明確性)

    KPIは、社内のだれが見てもわかりやすいよう、明確に設定することが大切です。具体的な目標を設定することで、一人ひとりが効果的な行動計画を立てやすくなります。

    Measurable(計量性)

    KPIには、測定結果を数値化しやすいものを選びましょう。たとえば、「発注回数」や「設計変更回数」、「販売数」などがあります。

    Achievable(達成可能性)

    根拠なく高い目標を掲げるのではなく、現実に即した数字を設定することが必要です。

    設定した目標が達成できれば、モチベーションを高められます。達成可能かつ、本人の評価につながりやすい目標を設定しましょう。す。

    Relevant(関連性)

    KPIやKGIは、相互に関連性のあるものである必要があります。関連性がなければ、目標を達成する指標となりえません。「KPIが達成されれば、KGIが達成される」「KGI達成のためにはKPIが達成されなければならない」という互換性が必要です。

    たとえば、解約率の5%低減がKGIならば、解約が起こりやすい導入初期のお客様のオンボーディング成功率、お客様単価の2割アップがKGIならば、高単価プランへの移行率など、目標との関連性があるものに設定しましょう。

    Time-bound(適時性)

    KGIやKPIは、適切な期間に設定することが大切です。期間を定めないと、ただ漠然と設定するだけになり、緊張感のある行動が失われてしまうためです。適切な期間を設定することで、行動に緊張感や具体性が生まれます。

    たとえば、訪問件数や販売台数などの集計には、月、四半期、上・下半期などの期間を定めておきましょう。

    多くのKPIを設定しすぎない

    KPIは多く設定すればよいというわけではありません。KGIを達成するために、KPIをあれこれ設定するのはやめましょう。

    KPIが多すぎると、全てが中途半端になってしまったり、KGI達成のために何をするべきなのかがわかりにくくなってしまったりします。

    KPIは3~5個程度が適当です。多くても10個程度に抑え、設定したKPIを確実に達成できるようにしましょう。

    KPIを定期的に見直す

    設定したKPIは、定期的に見直す必要があります。

    KPIはあくまでもKGI達成に向けた中間目標です。設定したら終わりではなく、常に検証し、必要に応じて修正していくことが大切です。アクションを起こしたときに反響がわかりにくいKPIは、別の指標に変える必要があるでしょう。

    また、実態とはかけ離れた数値目標は形骸化してしまい、カスタマーサクセスには活かせません。KPIは定期的に確認して、改善しながら運用していきましょう。

    よくある指標だけを利用しない

    KPIを設定するときには、自社の商品やサービスに適したものを設定することが大切です。

    たとえば、一般的には単価を向上させるべきとされていても、提供しているサービスやターゲットによっては継続率の改善の方が重要である可能性があります。

    よくある指標だからといってKPIを設定するのではなく、KGIの達成につながる適切なKPIを選びましょう。

    コホート分析を活用する

    カスタマーサクセスとしてKPIを設定する際に、コホート分析を活用することもおすすめです。

    コホート分析とは、お客様の属性や条件によってグループ分けを行い、動向を分析する手法のことです。そもそもコホートとは、同じ性質を持つ集団のことを意味する言葉であり、分類された同一の属性や性質のグループが、時間の経過に伴いどのように行動が変化するかを分析できます。

    たとえば、お客様を契約開始月ごとにコホートとして分類し、各コホートの解約率を追跡します。これにより、特定の期間に加入したお客様の解約傾向を分析でき、解約率が高いコホートに対して特別なサポートや改善策を検討できるでしょう。

    KPIのみを判断材料としない

    KPIはあくまでも指標の1つであるため、KPIのみで全てを判断しないことも重要です。

    KPIはもちろん重要な指標ですが、KGIと関連性が薄いKPIを設定してしまっている可能性も否定できません。その場合は、KPIを達成できているか否かのみで判断してしまうと、肝心なKGIの達成に至らないことがあります。

    現場の声やお客様からの意見も参考にしながら、柔軟に対応していくことが大切です。

    KPIの達成度合いを人事評価にも反映する

    KPIの達成度合いは、人事評価にも適切に反映させましょう。KGIだけではなくKPIの達成度合いも評価対象になるとわかれば、従業員がKPIを意識しようとするモチベーションにつながります。目的意識を持って行動できるようになるでしょう。また、公平な人事評価も実現できます。

    従業員ごとのKPIの達成度合いを把握するためには、KPIの進捗を可視化できるツールを導入することがおすすめです。

    カスタマーサクセスを成功させる方法

    カスタマーサクセスにおけるKPIの重要性について説明してきましたが、ここではカスタマーサクセスを成功させるためのコツを解説します。

    お客様のニーズを常に把握する

    お客様の要望を聞き出し、本来のニーズをとらえて適切な商品やサービスを提供することがカスタマーサクセスの成功につながります。

    リピーターのニーズに応えることはもちろん、すでに解約したお客様や導入に至らなかったお客様の声を聞くことも大切です。

    お客様のニーズを把握するためには、VOC分析を導入しましょう。VOC分析とは、お客様の声(VOC)を収集し、商品開発やサービスの改善などに活かすための分析手法です。アンケート調査の結果やSNSでの口コミ、問い合わせフォームに寄せられた意見などを収集して、改善につなげましょう。

    部門間で連携し、会社全体で取り組む

    カスタマーサクセスに取り組むためには、担当部門だけではなく他部門との連携が欠かせません。顧客へのセールスは営業部、PRはマーケティング部、システム改善はシステム部と連携する必要があります。LTVや解約率の改善に取り組む際も、部門間が連携して取り組む場面も多いはずです。そのためにも、KPI設定の際に部門を横断した共通認識が欠かせません。

    オンボーディングプロセスを改善する

    カスタマーサクセスを成功させるためには、オンボーディングプロセスが適切でなければなりません。オンボーディングが完了していない状態は、サービスが利用されていないことを意味します。それにより、解約リスクが高まってしまうためです。

    カスタマーサクセスを成功させるには、オンボーディングプロセスが適切かどうかを見直し、必要に応じて改善することが大切です。

    お客様ごとの個別の状況に合わせてアプローチする

    お客様がいるそれぞれのフェーズを確認し、適切なアプローチを行うことも、カスタマーサクセスで成功するためには重要です。

    導入初期やオンボーディング期に、すぐにサービスを使いこなせるケースはほとんどありません。そのため、お客様の不安を取り除けるようなアドバイスをできるかどうかが、商品やサービスを継続利用してもらうための鍵となります。

    PDCAサイクルを回す

    KPIは、設定して終わりではありません。設定後に仮説検証を繰り返し、目的達成を目指していくことに意味があります。

    KPIの目標値と結果が大きく乖離している場合は、そもそも目標値が高すぎたり、適切なKPI指標でなかったりする可能性があります。KPIを設定した後はしっかりとPDCAを回し、どの部分に原因があったかを見極め、対策を行いましょう。

    ツールを活用する

    カスタマーサクセスを成功させるためには、ツールを活用して業務を効率化することもポイントです。メール管理や情報入力、KPIの測定などのノンコア業務に時間がかかってしまうと、コア業務にリソースを割くことが難しくなってしまいます。カスタマーサクセスにおけるコア業務とは、お客様に寄り添い、お客様ごとに適切な提案をすることです。

    お客様を万全の状態でサポートするためには、ツールの導入で効率化を図りましょう。

    カスタマーサクセスが活用したいツールとしては、以下のような種類が挙げられます。

    • メール共有管理システム
    • SFA(営業支援システム)
    • CRM(顧客関係管理システム)
    • オンボーディング管理ツール
    • LTV管理ツール
    • NPS計測ツール

    まとめ

    カスタマーサクセスは、お客様に成功体験を提供するための部門です。カスタマーサクセスに成功するためには、KGIだけではなくKPIを設定し、KGI達成に向けてやるべきことを明確化しましょう。

    カスタマーサクセスが設定するKPIとしては、オンボーディング完了率や継続率、解約率などが挙げられます。KGI達成のために必要なKPIを設定しましょう。

    カスタマーサクセスを成功させるためには、ツールを活用して業務を効率化することも大切です。お客様からの問い合わせメールに迅速に対応したい場合は、メール共有管理システム「メールディーラー」の導入がおすすめです。メールへの対応状況を見える化し、二重対応を防止できます。

    メールディーラーの特徴について下記ページで詳しく紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

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    複数名での「問い合わせ対応業務」がラクになる?

    ※本サイトに掲載されている情報は、株式会社ラクス(以下「当社」といいます)または協力会社が独自に調査したものであり、当社はその内容の正確性や完全性を保証するものではありません。

    この記事を書いたライター

    メールディーラー通信編集部

    メールディーラー通信編集部

    メールの例文などメールに関するお役立ち記事の執筆・案出しをしています。メール業務を実際に行っている方に役立つ情報を届けられるよう日々編集しています。
    好きな定型文は「お心遣いに重ねてお礼申し上げます。」です。

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