取引先や顧客とのメールで、どのように伝えたら良いか、どこまで返信すれば良いか、不安になることはありませんか?
ネガティブな内容を伝える時や、「返信不要」と記載があったりすると、余計に迷う人も多いと思います。 今回は、ビジネスメールにおける返信について、基本的なマナーから注意点までを解説します。状況別の返信メールの例文も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
ビジネスメール返信の3つの基本マナー
まずはビジネスメールの返信における基本的なマナーを3つご紹介します。社内外どちらに向けたメールでも、マナーを意識して送りましょう。
1:翌日中には返信する
基本的にはどのような相手・内容のメールであっても、翌日中には返信しましょう。
2020年に一般社団法人日本ビジネスメール協会が行った調査によると、「メールの返信を4時間よりも長い時間待てない人は16.68%」という結果もあります。
すぐに返信できない場合は、メールを受け取った旨と「〇日までにお返事します」といった期日を記載しましょう。
急ぎの用件で、営業時間外や休日に送る場合は、「お休みのところ失礼します」などの言葉を添えることがおすすめです。
2:件名の「Re:」はそのままで
件名の「Re:」は削除せずに残しましょう。「Re:」があることで継続したやりとりのあるメールだと一目でわかります。
3:自分が「Cc」のときは返信不要
CcとはCarbon Copyの略です。自分がCcに入っている場合は、基本的に返信不要です。情報共有のために送られているので、内容を把握すれば良いでしょう。ただし、自分に対する質問事項がある場合は返信します。返信の際はほかのCcは残したまま送信しましょう。
返信メール作成の注意点
件名で「Re:」が増えたら1つだけ残して削除
やりとりが長引き、「Re:Re:Re:Re:」といったように「Re:」が重複してしまった場合は、1つだけ残して重複分は削除しましょう。
または「Re(4):」のように回数に書き換えても問題ありません。
本来の件名が表示されなくなってしまうと、受け取り側がメール対応しづらく、かえって失礼になりかねません。
「お礼メール」に返信はするべき?
相手からのお礼メールは、必ず返信するのがビジネスマナーです。感謝の気持ちや厚意が込められたお礼メールには、誠意をもって返信しましょう。
ただし、お礼メールの返信に対して更に相手から返信があった場合、新しい用件が追加されていなければ、返信しなくてもマナー違反にはなりません。
「返信は不要です」には返信するべき?
「返信は不要です」と記載されている場合は、相手の立場によって判断します。取引先や社内の上司にあたる人たちには、ひとことでも返信すると丁寧でしょう。
「返信は不要です=返信してはいけない」という意味ではなく、あくまで返信する側を気遣った表現です。
相手に返信を催促したいとき
急ぎの用件ではない限り、丸2日ほど待ちましょう。
3日以降も返信がないときは、まず「メールがきちんと相手に届いているのか」を確認します。送信エラーやアドレス間違いがなかったか確認しましょう。また、迷惑メールフォルダの確認も重要です。
このチェックが完了したら、催促メールを送ります。催促メールは当日中に対応してもらえるように、午前中に送信すると良いでしょう。
前回送信したメールの内容に追加して返信期限を記載することで、相手がメールを検索する手間を省くことができます。
相手の要望や提案を断りたいとき
相手からの要望や提案を断る場合でも、配慮が大切です。「できない」などの直接的な表現は避け、「大変恐縮ですが」などのクッション言葉を活用しましょう。断る理由は簡潔かつ明確に伝えることがポイントです。
返信メールの書き方
本文は定型に当てはめて書く
ビジネスメールには「定型」があります。定型に当てはめることで誰にでもわかりやすく、読みやすい文章になります。
宛名
会社名や団体名などは正式名称で記し、個人名のうしろには「様」をつけます。
CCで複数名に送る場合は役職が高い順に記載しましょう。
挨拶
「お世話になっております」や「お疲れ様です」などの挨拶にあわせて、「株式会社〇〇社の✕✕です」と自分の社名と名前を名乗ります。
はじめて連絡する場合は「株式会社〇〇社の✕✕と申します」とするとよいでしょう。
内容
内容は、わかりやすくシンプルに書くことを意識しましょう。本文の最初に結論を述べると、メールの趣旨が伝わりやすく、文章がすっきりします。
また、用件が複数ある場合は箇条書きにしましょう。
結び
メール本文の最後には「よろしくお願い致します」や「お気軽にお問い合わせください」などの挨拶を添えます。状況に応じて「今後とも」や「恐れ入りますが」などをつけ加えましょう。
署名
メールの下部には署名を入れます。会社名や担当部署名、担当者名のほか、メールアドレスや住所、電話番号などを記載しましょう。
引用箇所は「>」を入れる
ビジネスメールにおける返信は、相手の文章を引用して行うことが一般的です。引用した文章の頭に「>」を入れましょう。
また、文章の改ざんを疑われないために、誤字脱字があっても元の文章は一切変更しないようにしましょう。
ビジネスメールに適切な表現を使う
ビジネスメールは、プライベートのメールと表現が異なります。敬語や丁寧語の使い方や、「代表取締役」「部長」などの肩書、「様」の敬称の間違いにも注意しましょう。(^ ^)などの顔文字や(笑)、☆などの記号も利用しません。
ビジネスメールの返信例文
日程調整:取引先からの候補日に回答する
商談や打ち合わせの日程調整を回答するシーンでの例文です。
人事部 佐藤一郎様
お世話になっております。
株式会社××の鈴木花子です。
○○ミーティング日程調整のご連絡、誠にありがとうございます。
ミーティングにつきましては、ご連絡頂いた下記の日程でお願い申し上げます。
>●月●日(●)●時〜●時
お忙しい中大変恐れ入りますが、よろしくお願い申し上げます。
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署名
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日程調整:取引先へ候補日を提示する
自分から相手に日程や時間の候補を提案するシーンの例文です。候補日は3日程度を提案しましょう。
人事部 佐藤一郎様
お世話になっております。
株式会社✕✕の鈴木花子です。
先ほどは弊社にご足労いただき誠にありがとうございました。
第二回ミーティングでは、弊社営業部の高橋も交えて
下記の日程で調整できれば幸いです。
■日時候補
(1) ●月●日(●)●時〜●時
(2)△月△日(△)△時〜△時
(3)□月□日(□)□時〜□時
■会場
弊社3F会議室
■内容
共同プログラム「ABC」進行スケジュール確認
お手数をおかけしますが、佐藤様のご都合のよい日を
ご回答くださいますようお願いいたします。
恐れ入りますが、ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。
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署名
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日程調整:日時の変更をお願いする
提示された候補日の都合がつかなかった場合には、以下を参考に返信しましょう。
人事部 佐藤一郎様
お世話になっております。
株式会社✕✕ 鈴木花子です。
表題の関西支部見学の日程調整のご連絡、誠にありがとうございます。
誠に申し訳ありませんが、いただいた日程は出張のため同席がかないません。
つきましては、下記日程から再度ご調整いただけないでしょうか。
(1)●月●日(●)●時〜●時
(2)△月△日(△)△時〜△時
(3)□月□日(□)□時〜□時
大変恐れ入りますが、ご都合のほど
ご確認よろしくお願い申し上げます。
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署名
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引継:退職や担当者変更の連絡に返信する
取引先からの担当者変更や退職の連絡に対する返信例文です。これまでの感謝と今後の活躍をお祈りする言葉を添えましょう。
人事部 佐藤一郎様
お世話になっております。
株式会社✕✕ 鈴木花子です。
お忙しい中、退職のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。
佐藤様には長期にわたり大変お世話になりました。
突然のご報告に非常に残念な思いではありますが、
今までのお力添えに深く感謝いたします。
佐藤様のより一層のご活躍をお祈りしております。
またご縁がありましたら、何卒よろしくお願い申し上げます。
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署名
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お礼:取引先にお礼を伝えたい
お礼をする際の基本的な例文です。相手の気づかいや配慮に対する感謝を伝えましょう。
人事部 佐藤一郎様
お世話になっております。
株式会社✕✕ 鈴木花子です。
この度はお忙しい中、関西支部見学日程について
再度調整いただきまして誠にありがとうございます。
ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
では当日
>●月●日(●)●時〜●時
にて、よろしくお願い致します。
集合場所などに関しては改めてこちらからご連絡させていただきます。
何卒よろしくお願い申し上げます。
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署名
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お詫び:お客様へお詫びを伝えたい
お客様への謝罪を伝える際の例文です。内容は簡潔にし、謝罪すべきポイントと、原因や詳細を報告するポイントをしっかりとわけて伝えましょう。
平素は、誠にお世話になっております。
株式会社〇〇 鈴木花子と申します。
この度は、弊社製品「△△」のトラブルにより
ご迷惑をおかけしてしまい誠に申し訳ありません。
原因を調査したところ、✕✕✕に不具合が見つかりました。
故障した製品に関しては早急に新しいものと交換対応させていただきます。
交換の方法につきましては、下記「製品交換について」をご一読いただき、
お買い上げ商品をご返送くださいますようお願い申し上げます。
以後、このようなことがないよう、再度弊社マニュアルを徹底し、
再発防止に努める所存です。
メールでのご連絡となってしまい、大変恐縮ではありますが、
取り急ぎお詫びのご連絡を申し上げます。
=====製品交換について=====
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・・・・・・・・・・・・・・・・・
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署名
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受付完了:お客様への自動返信メール
問い合わせフォームなどに届いたメールに対する自動返信の例文です。件名冒頭に社名を入れると信頼度があがります。また、本文に問い合わせ内容を記載すると、用件がスムーズに伝わります。
この度は、株式会社〇〇へお問い合わせいただきありがとうございます。
下記の内容でメッセージを受け付けました。
後日、担当者より改めてご連絡いたします。
=====お問い合わせ内容=====
お名前:佐藤 一郎 様
お問い合わせ日時:20○○年○月○日 ○○時○○分
お問い合わせ内容:○○の資料が欲しい
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署名
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返信スピードを向上させる便利機能
ビジネスメールでは返信の内容やマナーだけでなく、スピードも相手の印象を左右します。ここでは、返信スピードを高めるための便利機能をご紹介します。
自動返信機能
自動返信機能とは、予め登録した例文を自動で返信する機能です。
前述した問い合わせフォームの受信完了メールや、長期休暇中であることのお知らせなど、一次対応を自動で行うことができます。
テンプレートの階層化
前述の例文を自社用にアレンジしたら、メールシステムに登録しましょう。ただ登録するだけでなく、「営業メール‐新規」「営業メール‐ルート」、「日程調整‐候補日提示」「日程調整‐変更依頼」など、階層に分けて管理することで、メール作成時に迷いなくテンプレートを選択することができます。
ビジネスメールの返信は正しいマナーで関係性構築を
ビジネスメールの基本的なマナーやポイントを注意することは、相手との関係性の構築につながります。返信メールを送る場合でも、ただ送り返すのではなく、定型をおさえ、ちょっとした気遣いを心がけることが大切です。
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